ツケとしての0円
戦慄の0円
0円。無料。タダ。うるわしい響きだスマイルだ。
が、とある給料日の夜、目の前の銀行ATMの画面に表示された
0円
には戦慄をおぼえた。
頭が真っ白になって10秒ほどのちに最悪の現実を受け容れた。
「区に銀行口座を差し押さえられたんだ」
区=住民税滞納が原因だ。
住民税は返済開始当初に担当者と「支払える金額を納付」といった内容で話していて、余力のあるときに多少は納付してきた。が、優先順位的には一番最後。正直甘えていた。
帰宅してポストを確認すると、区の税務課から少し前の日付けの赤い用紙の勧告書が届いていた。連絡をしないと財産の差し押さえをするという内容だった。郵便物の確認を怠ったことを激しく悔やんだが、過ぎたことは仕方ない。
翌朝、私は仮病を使って会社を休み、家を出た。
区役所にて
区役所税務課のカウンターで、私は泣いていた。不安やら恐ろしさやらがいっきに噴出したのだと思う。しゃくりをあげて泣いてしまった。
担当の若い男性職員がティッシュの箱を持って来てくれた(笑)。そして私が落ち着いたのを見計らって「大丈夫ですか?」と声をかけ、本題に入った。
結論を言えば、
「毎月の手取り給与から10万円を差し引いた額をすべて持参して納付」
を条件に口座の差し押さえを解除。
つまり滞納分の納付を終えるまでは10万円で生活してね、という話でもあった。
ちなみに当時の生活に必要な経費は
家賃:6万5千円
交通費:約9千円(当時、派遣社員への交通費は支給なし)
毎月の最低返済額:4.8万円
※この時点で10万円を超えたので他の項目は割愛
さくっと赤字だ。
「私が悪いのは分かっています。でも借金をしないと生活できなくなるんですが・・・」
「そうですか。ではこちらに相談してみてください」
と、法律相談の連絡先が記された紙を渡された。
ここで私は債務整理するしかないんだなと観念し、一番アクセスの良い法律相談センターに向かった。
法律相談センターにて
法律相談センターの相談室でベテラン世代の男性弁護士との面談が始まって5分も経たないうちに、私は立ち去りたい気持ちで一杯になっていた。
男性弁護士は全身から強いタバコの臭いを放っていたのだ。タバコを吸うのは勝手だが絶対に他人に迷惑や不快感を与えないのが大前提だとおm(以下自粛
さらに、目の前の借金を抱えた女をうんざり見下しているような高圧的でぶっきらぼうな物言い※に、委縮しいたたまれなくなっていた。
※不快バイアスが最高にかかっていた可能性アリ
15分後、
「検討します。ありがとうございました(棒読み)」
と告げて相談センターを出た。
そして少し途方に暮れたあと、腹を括った。
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