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軽快さと偶発性。中華製超広角レンズとSIGMA fpの組み合わせで写真の楽しさを再確認した話。

 案の定、SIGMA fpを持って歩くのは楽しい。キットレンズである45mm/f2.8は極めて優秀で、キレもコクも兼ね備えた描写には惚れ惚れする。

 贅沢な悩みは尽きないもので、コンパクト極まりないその取り合わせですら億劫になったり、もう少し広い画角が欲しいなと思ったり、とにもかくにも、なんか違うフィーリングで写真を撮れないものかとネットサーフィンをしては「便利ズームに手を出せばコンパクトもへったくれも無くなってしまうし、ライカの単玉に手を出すほどの根性も自分にはないな」と逡巡していた。

 ある日、Instagramのフィードに流れてきた広告に目が釘付けになった。Funleaderというメーカーのそのレンズは、フルサイズ対応、パンケーキライクな見た目、18mm/f8.0固定というそのスペック。150ドルという冗談みたいな価格は、画質がどうのこうのといったモロモロを考える前にクリックさせるだけの魅力があった。

 遅々として進まない小包の追跡ログを眺めながらヤキモキすること2週間。家に届いたのは本当になんの機構も持たぬ、金属とガラスを組み合わせただけの薄い円盤だった。

 「ああだこうだと考えるのではなく、ただひたすらシャッターボタンを押して写真を撮る喜びを即物的に味わいたい」という理由で買ったfpに、このレンズはとても似合うように思えた。カバンの中に入れている時の存在感だってグッと小さくなったし、首からストラップでぶら下げていても、ゴロンゴロンとその向きを変えることもない。

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 18mmの画角の前に、周辺の光量落ちがドギツい。インスタにupするためにスクエアフォーマットでクロップすればまだ見られるかもしれないが、これは周辺減光というレベルではなく、ほとんど「ケラれている」という領域だ。Lightroomに突っ込んでいろいろといじるとわかるが、収差も像の流れも盛大だし、そもそも色ノリが場所ごとに全く異なっているので光学的に正しいという意味でのまともな写真に補正することは不可能だ。

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 だが、根気よく弄ればスマホでは絶対に手に入らない写真が飛び出てくる感覚はあるし、そもそもフルサイズで18mmというのは替えの効かない魅力に満ちている。絞りもフォーカスも変えることができないので、ただひたすら構図を決めて、パチっと撮るだけ。その軽やかさが気持ちいい。

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 驚いたのは、中央部の解像力は普通のレンズと遜色なく、存分にシャープネスを見せてくれるところ。うまくハマれば、「これこれ!」と叫びたくなるような気持ちのいい写真が出来上がる。この感覚は、まるでガチャ。夜でも昼でも、うまくいくときとそうでない時の差がすごい。ここぞという写真を撮るのではなく、なんだか知らんが撮れた、なんだか知らんが撮れてない……というのを家で確認するのが無性に楽しい。

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 フレア/ゴーストへの耐性など望むべくもなく、画面外の光源からも画面全体を覆うような盛大なフレアが降り注ぐ。それを狙って撮れるようになれば、こっちのもんだ。負け惜しみでもなんでもなく、ただひたすらにヤンチャな子供と外で遊んでいる時のような愉快さがある。

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 Funleaderのレンズとfpの組み合わせは、軽快さと偶然性が心地よく結びついた不思議な感覚に満ちている。そんなおり、軽快で偶発的な友人との旅行が実現した。ここぞとばかりに一眼レフは家に置き去りにし、ただ何も考えずにバシャバシャと撮った写真たちを最後に添えて、このレンズを作ってくれた大陸の面白い奴らへの感謝とエールに変えたい。

◻️記事はここで終わり。この先はJPG撮って出しのリサイズのみを施したSIGMA fp + Funleader 18mm/f8.0の写真を掲載します。この記事を読んで興味を持ってくれた人は、ぜひ見てみてください。

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