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突然発狂したクラスメイト

僕のクラスには、“横山君”という男の子がいる。
横山君はあまり人と関わりを持とうとしない人物で、いつも無口だった。
そして頭が良かった。いつもテストは上から数えて五番以内にいる。
そう、所謂“真面目くん”なのだ。
だがある日、事件が起こった。
それは、数学の授業中の出来事だった。
「それではこの問題を……横山君。」
横山君が先生に当てられた。
皆の視線が横山君に集まる。
だが、待てども待てども横山君は俯いたままで、立とうとしない。
教室がシンとなる。
その時、横山君が俯いたまま何かをボソボソと呟いていることに気づいた。
僕は彼の隣の席なのだが、彼が何を頻りに声に出しているのかは分からない。
「………を……て〜…」
段々と声が大きくなっている。
ふと先生を見ると、戸惑っているのかアワアワと視線を揺らしていた。
無理は無い。横山君は無口だが先生に当てられればしっかりと答えるし、間違えたことは無い。
「横山君……?分からなかったかな…?それじゃあ、誰が別にわかる人──」
先生が全員の方へ向き、誰かを当てようとすると、横山君がガタッ!と勢いよく立って叫んだ。
「シカを焼いて〜〜!」
全員が硬直した。
それと同時に、横山君の発した言葉の内容に恐怖した。
“鹿を焼く”
こんな言葉、生活していく中で絶対に使うことは無いし、そもそも鹿を焼くことを誰かに頼むのもおかしいし、数多なる種類の動物の中からシカを選んだ事も普通ではない。
皆も戸惑いを隠せずにいたが、そんなことお構い無しに横山君は続けて言った。
「ダマジカを、ダマジカを焼いて〜〜!!」
今度は鹿の種類を指定してきた。
彼は鹿の違いがわかる程、鹿を食べてきたというのだろうか。
すると、それを聞いた先生の目の色が変わり、鷹のような目力で
「認証コード、受理。校長室へどうぞ」
と言った。
横山君はそれを聞くなり口角を少し上げ、
「今年のハンター試験会場は校長室か……道理で凶悪な“オーラ”が盛れ出してると思ったゼ……!!」
横山君は、校長室へ向かった。
僕はライバルはなるべく消しておきたかったので、背後から横山君を狙撃し殺した。
「横山君、ありがとよ。」
そのあとハンター試験に出た僕は、普通に落ちたし、なんなら右腕を封印されてしまった。
来週には北へ行って除念師を探す予定である。

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