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「#第7回書くを楽しむ140字小説コンテスト」結果発表+講評!
こんにちは。カクタノコン主催のmimi(@mimi_00_coco)です。
第7回大会は、141作の力作が集まりました。
全体の講評として、今大会はいつにも増してみなさんの発想力やアイデアが光る大会だったように思います。
普遍的な題材であっても、少し違った着眼点から書くことで、ユニークかつオリジナリティーあふれる物語に仕立て上げらた作品が多くみられました。
今回は、その中でも日常の光景を、一つ一つ言葉の表現で違うテイストにすることで、豊かな読後感を味わわせてくれる作品を、大賞に選ばせていただきました。
【大賞】 桧杉 ほたる さん (Amazonギフト券3000円分贈呈!)
馴れない土地、交通量が多い道。
— 桧杉 ほたる (@SatrunSATRUN) August 22, 2021
たまたま車が途切れたから、一時停止を無視して大通りに出た。
すると、運命の赤いサイレンが響いてくる。はっ、と振り向けば、白バに乗ったおじ様が追いかけてきた。
まさか、私か? 私なのか?
おどおどしながら脇に停車して窓を叩く。
「これからの話をしよう」
大賞は、桧杉 ほたるさんの作品です。
一時停止を無視して、それを白バイが追ってきて注意される…そんな路上の光景を描いた物語でした。
一貫として交通違反の物語ではあるものの、《運命の赤いサイレン》《白バ(白バイ)》《「これからの話をしよう」》と少しニュアンスを変えた言葉を入れるだけで、童話の世界がクロスオーバーして見えてくるような、不思議な読後感が味わえる物語でした。
言葉遊びのセンスと、ユーモアに溢れた物語に魅力を感じ、今回の大賞に選ばせていただきました。
みなさんも交通規則はきちんと守って、白バに追いかけられないよう、気をつけてください。
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【優秀賞】 うさぎのしっぽ さん
ヒーローショーに出るのが夢だった。あの熱狂、声援、忘れられない。そして今、僕は夢だった舞台に立っている。
— うさぎのしっぽ (@sippo_usagino) August 23, 2021
『出たな、怪人ワルインダー! このジャスティスレッドが貴様を成敗する!』
決め台詞の直後、ヒーローは怪人に強烈なキックを見舞う。
ああ、憧れのヒーロー……もう一発お願いします。
優秀賞は、うさぎのしっぽさんの作品です。
ヒーローショーに出ることを夢見た男性の物語でしたが、憧れた先はヒーローかと思いきや、まさかの怪人。そしてまさかのマゾヒスティックな発言。
次々と読者の意表をついていくさまが痛快な作品でした。
また、オチを2段階つけることで、より強烈なインパクトを残す物語でもあったように思います。
ちなみに「僕」はいつごろヒーローショーに出る夢を持ったのか、詳しく書かれていないのも個人的にはミソだと思っています。笑
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【審査員特別賞①】 奈和良人 さん
凄い力を身につけてしまった。
— 奈和良人 (@nawayoshi5000) August 27, 2021
この力は簡単に人を傷つけることができるし、一歩間違えれば自分の身さえも滅ぼしてしまう。
しかし、使い方を間違えなければ人を救うこともできるらしい。怖いが思い切って使ってみよう。
「マ…マ…。」
「あなた!この子初めて喋ったわ!」
審査員特別賞1作目は、奈和良人さんの作品です。
ある「すごい力」を身につけてしまった主人公。
異世界転生を思わせるような書き出しで、その力が何なのかを明確に示されないまま、期待を持たせる形で物語は進みます。
クライマックス、生まれて初めて「言葉」を発する子供の感動的な姿が描かれる中、人を救い・傷つけることのできる能力が「言葉」であることも同時に示され、なんとも言えない読後感に。あえて「言葉」と明言せず、セリフで見せたところに奈和さんなりのセンスが光ります。
人類に与えられたチート能力は「言葉」であり、その使い方次第で生き方は変えられることを、物書きらしい観点で教えてくれる素敵な物語でした。
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【審査員特別賞②】 飛馬 光 さん
君の笑顔が見たくて君の大好物のスイーツを買って一緒に食べる.隣にいられることは凄くすごく幸せで,笑い合いながら美味しいものを頬張るのは,やっぱり特別な瞬間.
— 飛馬 光 (@AsumaHikaru) August 29, 2021
それを享受するために僕は今日も筋トレに励む.じゃないとすぐにお腹に浮き輪が付いちゃうからさ.
あれ?海に行くならいいのかな?
審査員特別賞2作目は、飛馬 光さんの作品です。
主人公の幸福度が物語の隅々で感じられる、スイーツのごとく甘い作品でした。
好きな子のために海でかっこいい身体を見せようと、体型維持に励む主人公。
しかし、泳ぐなら筋肉ではなく脂肪をつけたほうがいいのか?(脂肪は水より密度が低く軽いので浮く、筋肉は逆でしずんでしまう)と悩む姿すら微笑ましく、その天然なところも主人公の魅力の1つであることが垣間見える作品でした。
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【Pick Up①】 TAKA001 さん
同じ情景を見てるみたい。雨の月曜日は憂鬱。
— TAKA001 (@001TAKA) August 21, 2021
通勤の満員電車の中で書き上げたTwitter小説をツイートすると、このコメントが届いた。応援してくれるフォロワーさんからだ。
でもカーペンターズの歌の様に、救いを感じる朝です。あなたが応えてくれるから。
送信した瞬間、向かいの方のスマホが震えた。
そして、ここからはピックアップとして、気になった作品をいくつか挙げさせていただきます。
1作目は、TAKA001さんの作品です。
雨が降り、不快指数も高まる満員電車の中、SNSで繋がっていた2人が奇跡の出会いを果たす、そんな美しく詩的な情景が魅力の作品でした。
雨の月曜日、2人に陰鬱な厚い雲が漂う中で、一筋の光がさしたかのようにも感じられる描写が印象的で、この2人の出会いを鮮烈なものにしていました。
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【Pick Up②】 七下 さん
その客は「今時鋏専門店なんて」と、失礼なことを言いながら商品を持ってきた。「これください」「お目が高いですね。そちらは“縁切り鋏”人の縁を切り断ちます」
— 七下 (@7sagari8) August 21, 2021
「いいわね」そろり鋏の刃をなでながら会計にきた。そして算盤を持つ私の手を取り、小指の真横でバチンを鳴らし「夫と別れてくださる?」
2作目は、七下さんの作品です。
客と店員、なんとなく棘のある2人の会話に違和感を感じつつ読み進めると、2人がサレ妻・不倫相手の関係であったことが分かります。
小指の真横で鋏を切る動作をする妻、それを地の文の冷静な様子から、動じずに受け止めたであろう不倫相手。
夫のいない場所で繰り広げられる、水面下での争いにゾクリとしてしまう作品でした。
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【Pick Up③】 朱 さん
「いらっしゃい ま…」
— 朱 (@akm_762x39) August 22, 2021
目を逸らした。ガッツリ墨が入ってる。でもワクチンのご褒美にケーキをお探しとの事でホッとした。
「ふふ 注射好きな子はいませんもんね」
ではチョコは、たかしくん☆頑張ったねにして、お父様の氏名を尋ねると、刺青の男が頬を赤らめて目を逸らした。
「…僕が…たかしです」
3作目は、朱さんの作品です。
一見すると怖い人物であるものの子ども思いの優しい人、かと思いきや注射嫌いの甘党男性…と、物語の中でコロコロと男性の印象が変わっていくのが面白い作品でした。一気に覆すのではなく、少しずつ読者の想像を裏切っていく読ませ方に手腕を感じます。
また、恥ずかしそうにケーキを買う男性の姿が目に浮かび、ほっこりさせられる素敵な作品でした。
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【Pick Up④】 泥からす さん
夜、布団に入ると天井から釣り針が降りてきた。何コレ?と見ていると針は天井に消えた。次の夜、針には欲しかった漫画が付いていた。その次は流行の鞄。昨日はついに、好みの女子が付いてきた。正直、だんだん釣られて見たくなっている俺がいる。一体何が降りてきたら、俺は耐え切れなくなるのだろう?
— 泥からす (@mudness_crows) August 22, 2021
4作目は、泥からすさんの作品です。
毎夜降りてくる謎の釣り針、その先には男性を誘惑するさまざまな物や人。
欲望よりも懐疑心のほうが今は勝っているものの、その均衡を崩すものは何なのか。そして釣り上げられた先にあるものは何か。読者も想像を掻き立てられます。
今作も泥からすさんの発想力の豊かさと安定の文章力が光り、大いに楽しませていただきました。
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【Pick Up⑤】 文月 さん
次の方、IDの確認を…初めての方ですか、お待ちください。はい、確認しました。
— 文月 (@JulyFumiduki_33) August 25, 2021
今回の徳は827点でした。目標に届いていないので生まれ直しです。点数はこのまま貯めていけますよ。500点を越えているので人間として転生です。貴方の場合はあと82358点で極楽に逝けますので頑張ってください。ではまた。
5作目は、文月さんの作品です。
死後の世界がID管理されており、なおかつ徳はポイント制で、そこから今後を振り分けていくという設定の面白さが光る作品でした。
また、天国に行くためには8万点以上も貯めないといけないという事実も示され、その途方もない数字に読者も圧倒されます。
500点以下であれば何に生まれ直すのか、また生まれ直した先でどう徳を積むのかも気になる、読み応えある作品でした。
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まだまだ素敵な作品がたくさんあります! 全応募作はこちら!
こちらでご紹介させていただいたのは、ほんの一部で、このほかにも魅力溢れる作品はたくさんあります!
今大会の応募作品は以下のリンクからすべて読むことができますので、ぜひ読んで、お気に入りの作品にリアクションされてみてください!
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第7回大会連動「私の大賞」企画はこちらから!
応募期間終了後、「第7回書くを楽しむ140字小説コンテスト」応募作の中から、読み手の皆さんのイチオシ作品を選んでもらい「私の大賞」として推薦していただく企画も行っています!
今回は35の推薦があり、大いに企画を盛り上げていただきました。
誠にありがとうございました。
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最後に
以上、結果発表と講評でした。
今回もたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございます。
そして次大会も、引き続き皆さんのご参加をお待ちしております。
大会概要は2021年9月12日(日)19:00ごろ発表。
そして作品の募集期間は2021年9月18日(土)19:00〜9月26日(日)19:00となっていますので、お気をつけください。
これからも引き続き「#書くを楽しむ小説コンテスト」をよろしくお願いいたします。
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