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「#第7回書くを楽しむ140字小説コンテスト」結果発表+講評!

 こんにちは。カクタノコン主催のmimi(@mimi_00_coco)です。

 第7回大会は、141作の力作が集まりました。
 全体の講評として、今大会はいつにも増してみなさんの発想力やアイデアが光る大会だったように思います。
 普遍的な題材であっても、少し違った着眼点から書くことで、ユニークかつオリジナリティーあふれる物語に仕立て上げらた作品が多くみられました。
 今回は、その中でも日常の光景を、一つ一つ言葉の表現で違うテイストにすることで、豊かな読後感を味わわせてくれる作品を、大賞に選ばせていただきました。

【大賞】 桧杉 ほたる さん (Amazonギフト券3000円分贈呈!)

 大賞は、桧杉 ほたるさんの作品です。
 一時停止を無視して、それを白バイが追ってきて注意される…そんな路上の光景を描いた物語でした。
 一貫として交通違反の物語ではあるものの、《運命の赤いサイレン》《白バ(白バイ)》《「これからの話をしよう」》と少しニュアンスを変えた言葉を入れるだけで、童話の世界がクロスオーバーして見えてくるような、不思議な読後感が味わえる物語でした。
 言葉遊びのセンスと、ユーモアに溢れた物語に魅力を感じ、今回の大賞に選ばせていただきました。
 みなさんも交通規則はきちんと守って、白バに追いかけられないよう、気をつけてください。

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【優秀賞】 うさぎのしっぽ さん 

 優秀賞は、うさぎのしっぽさんの作品です。
 ヒーローショーに出ることを夢見た男性の物語でしたが、憧れた先はヒーローかと思いきや、まさかの怪人。そしてまさかのマゾヒスティックな発言。
 次々と読者の意表をついていくさまが痛快な作品でした。
  また、オチを2段階つけることで、より強烈なインパクトを残す物語でもあったように思います。
 ちなみに「僕」はいつごろヒーローショーに出る夢を持ったのか、詳しく書かれていないのも個人的にはミソだと思っています。笑

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【審査員特別賞①】 奈和良人 さん

 審査員特別賞1作目は、奈和良人さんの作品です。
 ある「すごい力」を身につけてしまった主人公。
 異世界転生を思わせるような書き出しで、その力が何なのかを明確に示されないまま、期待を持たせる形で物語は進みます。
 クライマックス、生まれて初めて「言葉」を発する子供の感動的な姿が描かれる中、人を救い・傷つけることのできる能力が「言葉」であることも同時に示され、なんとも言えない読後感に。あえて「言葉」と明言せず、セリフで見せたところに奈和さんなりのセンスが光ります。
 人類に与えられたチート能力は「言葉」であり、その使い方次第で生き方は変えられることを、物書きらしい観点で教えてくれる素敵な物語でした。

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【審査員特別賞②】 飛馬 光 さん

 審査員特別賞2作目は、飛馬 光さんの作品です。
 主人公の幸福度が物語の隅々で感じられる、スイーツのごとく甘い作品でした。
 好きな子のために海でかっこいい身体を見せようと、体型維持に励む主人公。
 しかし、泳ぐなら筋肉ではなく脂肪をつけたほうがいいのか?(脂肪は水より密度が低く軽いので浮く、筋肉は逆でしずんでしまう)と悩む姿すら微笑ましく、その天然なところも主人公の魅力の1つであることが垣間見える作品でした。

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【Pick Up①】 TAKA001 さん

 そして、ここからはピックアップとして、気になった作品をいくつか挙げさせていただきます。 

 1作目は、TAKA001さんの作品です。
 雨が降り、不快指数も高まる満員電車の中、SNSで繋がっていた2人が奇跡の出会いを果たす、そんな美しく詩的な情景が魅力の作品でした。
 雨の月曜日、2人に陰鬱な厚い雲が漂う中で、一筋の光がさしたかのようにも感じられる描写が印象的で、この2人の出会いを鮮烈なものにしていました。

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【Pick Up②】 七下 さん

 2作目は、七下さんの作品です。
 客と店員、なんとなく棘のある2人の会話に違和感を感じつつ読み進めると、2人がサレ妻・不倫相手の関係であったことが分かります。
 小指の真横で鋏を切る動作をする妻、それを地の文の冷静な様子から、動じずに受け止めたであろう不倫相手。
 夫のいない場所で繰り広げられる、水面下での争いにゾクリとしてしまう作品でした。

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【Pick Up③】 朱 さん

 3作目は、朱さんの作品です。
 一見すると怖い人物であるものの子ども思いの優しい人、かと思いきや注射嫌いの甘党男性…と、物語の中でコロコロと男性の印象が変わっていくのが面白い作品でした。一気に覆すのではなく、少しずつ読者の想像を裏切っていく読ませ方に手腕を感じます。
 また、恥ずかしそうにケーキを買う男性の姿が目に浮かび、ほっこりさせられる素敵な作品でした。

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【Pick Up④】 泥からす さん

 4作目は、泥からすさんの作品です。
 毎夜降りてくる謎の釣り針、その先には男性を誘惑するさまざまな物や人。
 欲望よりも懐疑心のほうが今は勝っているものの、その均衡を崩すものは何なのか。そして釣り上げられた先にあるものは何か。読者も想像を掻き立てられます。
 今作も泥からすさんの発想力の豊かさと安定の文章力が光り、大いに楽しませていただきました。

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【Pick Up⑤】 文月 さん

 5作目は、文月さんの作品です。
 死後の世界がID管理されており、なおかつ徳はポイント制で、そこから今後を振り分けていくという設定の面白さが光る作品でした。
 また、天国に行くためには8万点以上も貯めないといけないという事実も示され、その途方もない数字に読者も圧倒されます。
 500点以下であれば何に生まれ直すのか、また生まれ直した先でどう徳を積むのかも気になる、読み応えある作品でした。

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まだまだ素敵な作品がたくさんあります! 全応募作はこちら!

 こちらでご紹介させていただいたのは、ほんの一部で、このほかにも魅力溢れる作品はたくさんあります!
 今大会の応募作品は以下のリンクからすべて読むことができますので、ぜひ読んで、お気に入りの作品にリアクションされてみてください!

応募作品集①(100作)
応募作品集②(41作)

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第7回大会連動「私の大賞」企画はこちらから!

応募期間終了後、「第7回書くを楽しむ140字小説コンテスト」応募作の中から、読み手の皆さんのイチオシ作品を選んでもらい「私の大賞」として推薦していただく企画も行っています!
今回は35の推薦があり、大いに企画を盛り上げていただきました。
誠にありがとうございました。

第7回大会連動企画「私の大賞」(35)

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最後に

 以上、結果発表と講評でした。
 今回もたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございます。 
 そして次大会も、引き続き皆さんのご参加をお待ちしております。
 大会概要は2021年9月12日(日)19:00ごろ発表。
 そして作品の募集期間は2021年9月18日(土)19:00〜9月26日(日)19:00となっていますので、お気をつけください。
 これからも引き続き「#書くを楽しむ小説コンテスト」をよろしくお願いいたします。

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