![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75153895/rectangle_large_type_2_62a6b0b7bdbd3f1e1a5dc1969a951969.png?width=1200)
「#第13回書くを楽しむ140字小説コンテスト」結果発表+講評!
こんにちは。カクタノコン主催のmimi(@mimi_00_coco)です。
第13回大会は、150作の力作が集まりました。
今回は前大会の記事がNOTEさんの注目記事やTwitterで取り上げていただいたり、カクタノコン初の2週間開催だったり、ということもあり、いつにも増して多くの方にご参加いただきました。本当にありがとうございます。
少しずつ大会に対する注目度が上がりプレッシャーもありますが、皆様の声が大会運営の支えとなっております。
もっと満足いただけるような大会を目指して、これからもさまざまな試みに挑戦してまいりたいと思いますので、温かい目で見守っていただけますと幸いです。
それでは以下、結果発表です!
【大賞】 ミックジャギー さん (Amazonギフト券3000円分贈呈!)
街にゾンビが大量発生中だ!
— ミックジャギー (@22ou812) March 8, 2022
俺は書店に隠れ、息を潜めている。
突然!窓ガラスが割れ、奴らがなだれ込んできた!
もうダメか..
いや、一か八かの勝負だ!
俺は最後の望みに賭け、大声で歌い出した!
すると..奴らは一斉に出口に向かって歩き始めた..
やったぞ!
俺はそのまま、蛍の光を熱唱し続けた!
大賞は、ミックジャギー さん の作品です。
《蛍の光》は閉店の合図という「日本ならでは」の感覚が染みついて、理性を失ってなお反射で帰ってしまう、そんなゾンビたちがユニークで面白い作品でした。
主人公の焦る心情を表すような勢いのある文章も、臨場感たっぷりでよく機能していたように思います。
このまま主人公は蛍の光を熱唱し続けるのか…「店」以外の場では使えない手段なのか、もしその感覚がないゾンビが来た場合主人公はどうなってしまうのか…等々、想像力を刺激しワクワクさせる内容であったのもよく、その「ゆるホラー」な物語に惹かれて、今回の大賞に選ばせていただきました。
・・・
【優秀賞】 陰時計 さん
筆が止まる。席を外す。数分経って席に戻る。真っ白だった原稿用紙に、胸躍る物語が綴られている。
— 陰時計 (@mtg315dana) March 5, 2022
事故物件だと聞いている。作家志望の若者が首を括ったと。
余程未練があるのか、越してきた当日から書きかけの原稿に勝手に筆を入れてくる。これが中々面白いから、ここを終の住処にせざるを得ない。
優秀賞は、陰時計 さん の作品です。
こちらは「人情ホラー」という感じで、物書きであった元住人の幽霊と主人公が「作品執筆」で、書き手と読み手として繋がっていく物語でした。
もしこの2人が早いうちに出会い、若者に理解者ができれば彼は亡くならずに済んだのかも…とやるせない気持ちにもなりますが、死してなお小説への情熱が冷めない彼のひたむきな姿に、この主人公も、そしてこの作品を読んだ読者さえも心動かされる素敵な物語となっていました。
・・・
【審査員特別賞】 うさぎのしっぽ さん & いえろー さん
「一生僕に味噌汁をつくってくれないか」
— うさぎのしっぽ (@sippo_usagino) March 7, 2022
あの時のプロポーズを少しだけ後悔している。
優しい妻、可愛い子どもたち。絵に描いたような幸せな家庭。……けれど。
「はい、あなた。どうぞ」
歳を重ねても美しい妻から、湯気が立つお椀を受け取る。
だが妻よ。そろそろ味噌汁以外もつくってくれないか。
短い生涯だったけど、お前と付き合えて幸せだった。ありがとな。最期に伝えたいのは、これ、一度も言ったことないんだけど、言えばよかったなってすごく後悔してることで、そうしなきゃ、お前、いい女なのに嫁の貰い手がなくなっちまうから。だから、これだけ。
— いえろー (@86001yellow) March 7, 2022
「……お前の味噌汁、不味かった……」
審査員特別賞は、うさぎのしっぽ さん と いえろー さん のお二方です。
この2作は前後に投稿され、同じ「味噌汁」というモチーフを使って夫婦の物語を書かれており、おそらくすべて「偶然」だとは思いますが、その状況・内容ともに面白かったので、審査員特別賞に選ばせていただきました。
うさぎのしっぽさんの作品は、自身のプロポーズの言葉が仇となり、味噌汁のみを作り続ける妻の姿を、
いえろーさんの作品は、相手のことを思った発言ではあるものの、最期に残す言葉としては物悲しさが残る、どちらもシュールな物語に仕上がっていました。
同じ「味噌汁・夫婦」という題材でも書き手によって描き方が全く異なることもそうですし、2作を読むうちに実はこの「夫婦」は同一人物かもしれないと勝手に想像が膨らみ、その「偶然」がとても面白かったので審査員特別賞に選ばせていただきました。
(投稿順はいえろーさん→うさぎのしっぽさんですが、あえて逆にさせていただきました。ご了承ください)
・・・
【Pick Up①】 紗紗/イトスクナシ さん
目が覚めた
— 紗紗/イトスクナシ (@sasha_16_veil) March 5, 2022
ここは暗い、冷たい
陽の光が呼んでる
ぐっと足を伸ばす
体がパキパキと割れた
被さった重い土を掻き分けて
呼ばれる方へ手を伸ばす
もっと足を増やそう
足から潤いと美味しさが上がって来る
体と手が伸びてゆく
もうすぐ、もうすぐだ
陽の光に会える
ああ、会えた
「お。新芽は美味いぞ」
そして、ここからはピックアップとして、気になった作品をいくつか挙げさせていただきます。
1作目は、 紗紗/イトスクナシ さん の作品です。
少しずつ伸びていく新芽の成長を表すような、ゆったりとした文章レイアウトが素敵でしたし、一文一文重ねるたびに新芽が太陽に出会える喜びが伝わってきて、心温まります。しかしながら、土から出た瞬間のオチがなんとも切なく、胸を締め付けられます。
季節感があり、美しい描写に圧倒されながらも、皮肉めいたブラックユーモアがスパイスとなっている作品でした。
・・・
【Pick Up②】 雪菜 冷 さん
子供の頃は自由に夢を語れた。「漫画家になりたい」大人になると現実味が必要とされた。大切なのは仕事に直結するスキル。ちょっと好きではダメ。子供が産まれ全ては覆った。合唱部だったから子守唄は得意。漫画を描いてたからお絵描きも得意。手先が器用だから洋服も作れる。『私』は私の宝物だった。
— 雪菜 冷@140字小説 (@setsuna_rei_) March 9, 2022
2作目は、雪菜 冷 さん の作品です。
よく「即戦力」という言葉が使われますが、そういったハイスキルを求められる社会の世知辛さと、そんな社会で疲弊していく主人公の姿が物語を通して浮き彫りになってきます。
しかし、ハイスキルでなくても「好きの積み重ねが力」になることを、生まれてきた子供が肯定してくれ、気づかせてくれる、心温まるストーリーでした。
・・・
【Pick Up③】 みとむ さん
今日はお母さんとお父さんと寝る!小学生になった息子が言う。川の字だね。そう言うと、一番短い僕が真ん中だ!と飛び込んできた。私が左で妻が右で息子が真ん中。幸せだ。隣で嬉しそうに眠る息子と、それを幸せそうに見る妻を見て、僕は少し腰を反らせた。ふふ、完成。これからもずっと、3人一緒に。
— みとむ/mitomu 東大卒ライター (@mitomu_copy) March 13, 2022
3作目は、みとむ さん の作品です。
「川の字になって寝る」という言葉から着想を得て、親子の仲睦まじい姿を描いた作品でした。最後に父親が腰をそらせて《川》の字を完成させるところも、目に浮かんできて微笑ましいです。
とてもハートフルで、ユーモアあふれる素敵な作品でした。
・・・
まだまだ素敵な作品がたくさんあります! 全応募作はこちら!
こちらでご紹介させていただいたのは、ほんの一部で、このほかにも魅力溢れる作品はたくさんあります!
今大会の応募作品は以下のリンクからすべて読むことができますので、ぜひ読んで、お気に入りの作品にリアクションされてみてください!
・・・
最後に
以上、結果発表と講評でした。
今回もたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございます。
第14回大会は、大会概要2022年4月24日(日)19:00ごろ発表。
そして作品の募集期間は2022年4月30日(金)19:00〜5月15日(日)19:00の2週間募集いたします。
結果発表は2022年5月22日(日)予定です。
今回はGWに合わせての開催として、4月からコンテスト開催となりますので、お気をつけください!
また休止期間中は140字講座を行っておりますので、こちらもぜひ!
これからも「#書くを楽しむ小説コンテスト」をよろしくお願いいたします。
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは活動拡大のための費用として使わせていただきます!