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【番外編の番外編】鈴木敏夫とジブリ展について

カンちゃんケンちゃんおすすめの横須賀美術館の「鈴木敏夫とジブリ展」に滑り込みで行ってきました。
とにかく圧倒される空気に感動したのですが、鈴木敏夫さんとカンタくんに通ずるものを感じておそらくちょっと特殊な楽しみ方をしてきました(笑)
そんな感想をぽつぽつ書いているだけなので本当に番外編です。
事前にご理解いただきたいのが、ジブリは好きなものの、鈴木敏夫さんに関してはほぼ初見で行っています。
「わかってないなぁ」で当たり前だと思ってください。
そして、写真OKのところは撮った写真を載せますし、だらだらっとネタバレ含みますのでお気をつけください。

いやぁ、とにかく入った瞬間の別世界感にまず圧倒された。
あくまでもこれまでの続きではない感じ。
のれんから入った瞬間、音楽が流れており、上から下がっている提灯と風鈴。
いきなり先制パンチを打たれたような気持ちになった。
小さい風鈴の先には鈴木敏夫さんの書かれたイラスト。
あの世界が切り替わる感じをプロデュースした方に心からお礼が言いたい。
素晴らしい導入でした。

そして続いていく鈴木敏夫さんの人生と影響を受けた数々の作品。
学校の文集の鈴木さんの言葉を読んでいると、カンタくんがたまに言っている「怒り」のようなものを感じた。 
御本人が理不尽と感じたことに対する迎合しない姿勢。
本当に圧倒されるするほどたくさんの作品に触れていたことが全てのパートから伝わってくる鈴木さん。
それなのに彼の根本は譲らない、そんな一本気な印象があった。
カンちゃんケンちゃんのお勧めで宮さんのドキュメントを見た時、宮さんと高畑さんのクセの強さを強烈に認識したのだが、やっぱりそこに入れる鈴木敏夫さんもクセ強だなぁ。
鈴木敏夫さんが触れてきた作品はとにかく数が多くて、多種にわたっていた。
己の通ってきた作品なんてほんと一握りで、「インプット」とはこういうことなんだなと痛感しながら拝見した。
児童文学もあれば漫画もあり、雑誌もあれば詩集もある。
少し斜に構えた言葉遣いをする印象があったから、児童文学が置かれているのを見てなんだかびっくりしてしまった(笑)
また、そのちぐはぐなラインナップが同時期に影響を与えているから驚きなのだ。
個人的には自分も小さな頃に読んでいた「ふたりのロッテ」や「二十億光年の孤独」などあったのが印象的だった。
時代も凄さも違っても、通るものは同じだったりするんだなぁ。

そしてアニメージュの編集へと移り変わる中で、ジャーナリストの時代もあったことを知った。
本当に多才だな、この人は。
紆余曲折を経てたどり着いたアニメージュ創刊。
私も学生時代に読んでいたアニメージュ。
この人達が作ったのか!と改めて感動した。
アニメージュは印象的に「絵」にたっぷり場所をとっているイメージがあったのだが、今ここがそこにかけるアニメージュの作品を作る側への思いを知るタイミングになるとは想像していなかった。
(ちなみにあしたのジョーの葬儀の話も知らなかったので新鮮だった)
そして、そこから広がっていく「取りまとめる立場としての鈴木敏夫の凄さ」
いや、賢い人だなぁ。
周りを引っ張る熱意、説得するだけの知識量(忙しくてたまらなかった時期だろうに高畑勲さんと対等に喋るために話に出てきた本を全て読んだというエピソードに震えた)、言葉や数字を用いて伝える力、視聴する側の意見を取り入れる柔軟さ。
そして何より仕事をする時のメリハリ。
うーん、カンタくんが憧れる理由がわかってしまった。
あまりに理想の上司だ。
月刊誌の発行を続けながら全員で旅行に行くために先回りして仕事を詰めに詰め、その結果しっかり休みをもぎ取ってみんなで旅行に行く。
余裕がないと、という鈴木敏夫さんの言葉、間違いなくカンタくんに影響を与えていると思う。
カンタくんの理想ってここなんだろうなぁ。

そして、鈴木敏夫さんの行動に一貫しているのは「人を見ている」ことのように思う。
チームのメンバーの面白さをコーナーとして見せてみたり、「何を伝えたいのか」を常に意識して宣伝を打つ。(作品の本質を掴むためにポイントとなるシーンたちを自分で描かれるらしい。すごい。)
人が好きなのかな、と思ったりした。
そしてそんな鈴木敏夫さんを惹き付けてついにジブリ一本にさせてしまった宮崎駿さん、そしてそんな宮崎さんを惹き付けて離さない高畑勲さんの凄さまで感じることとなった。
手を変え品を変え、対話を重ねて現実にしていく鈴木敏夫さん、すごい。
そして、ナウシカの時には7人でチームを組んでナウシカの新聞を作ってもらう、という見ている側をも巻き込むその作戦。
人の心理への理解とその理解にあぐらをかかず必死になる熱意。
脱帽です。

ちなみに私はジブリで言うならトトロが一番好きなのだが、まさかのトトロ1本ではGOがでず、火垂るの墓と一緒を条件に作成していたとは。
ラピュタはお金なくなっちゃったから作ることになったとは。
かぐや姫はなぜあのタイミングでの、と思っていたら恩人との関係性があったのか。
千と千尋で宣伝のあり方に思いを馳せた結果、ハウルはあんな宣伝方法になったのか。
ジブリは宮さんも高畑さんも鈴木さんも飽きっぽいから2を作らないこと。
など知っている作品の知らない面を知ることもできてそういった意味でも楽しかった。
そして、そんな様々なことがあっても「やれ」と言ってくれる人の存在があったこと。
これを知れたことが個人的には一番「得た」という感覚だったように思う。
やはり人と人との関係、縁が結果を引き寄せるんだなぁ。
カンタくんの映像側の動きを見ていても感じるので結局「人に興味を持ち、見ているか」と「インプットへの貪欲さ」が物を言うのかもしれないなと思った。

ちなみに、私はジブリの宣伝文句が好きなので、終わりのあたりでその話があったのも嬉しかった。
特に紅の豚、魔女の宅急便、もののけ姫は秀逸だな、と。
うちの姉の一番好きなジブリ作品は紅の豚で。
私たちの記憶にある中で一番初めに映画館で見たジブリ作品だと思う。
「かっこいいとは、こういうことさ。」も 
「飛べない豚はただの豚だ。」と
痺れるなぁ。



そんな充実した時間を過ごしたものの、後半はかなり体力が削られ(11時に美術館についたもののレストランに入れず立ち続け、12時30分に入場してから2時間経っていた。)、鈴木敏夫さんの本棚や映像作品の棚をもっとじっくり見られなかったことだけが悔やまれる。(かなり混んでいたので難しかったこともあるが。)
それでも、ゴルゴ、まどか☆マギカやアラサーちゃんの映像作品なんかが棚に入っているのを見て選り好みせずインプットし続ける鈴木敏夫さんの凄さを最後まで感じたのだった。
本棚のところにいたカオナシを添えて。


総合して満足感の非常に高い展示だったと思う。
もっとくわしくて思い入れのあるカンタくんは目をキラッキラさせて楽しんだろうなぁ。
期間内に行けてよかった。
カンちゃん、ケンちゃん、ありがとう!!
没入型ミュージアムではないのにそう錯覚するくらいの世界観でした。
私は動物園や水族館について学芸員の立場を学んだから思うのだが、これほど興味を抱かせ続ける展示を作るには見えるところから気づかないところまで相当な仕掛けがあるのだろうと思う。
素晴らしい展示でした。
(途中でトトロと写真が撮れるところもありました)


横須賀美術館のスタッフの方も皆さん丁寧で配慮が行き届いており、かなり待ったところもあるのだがスタッフの方のおかげで嫌な気持ちにならなかったという点も展示に集中できた大きな要因だと感じています。
ありがとうございました。
カンタくんが横須賀美術館自体もすごく良いと言っていた意味もわかるなぁ。
本当は屋上に行ったり他の館内も見たかったのだがいかんせん人が多く。
今度は人が少なそうなタイミングで美術館自体を楽しむために行ってみたいですね。


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