無視する古畑【古畑・今泉】

古畑今泉コンビが和気藹々と話してるとこが見たくて自給自足したかっただけなのですが、自分がどうしようもなせいで2人が盛り上がれる話題とか、全然わからない…何も……わからない………になってしまった幻覚の与太話。
作中時間は、いつか、どこか…。
時期としては2期以降か3期…??クソ雑テキトー) 総集編『消えた』で屋敷に時々遊びに行ってるとも言ってたからテキトーにそういうことで…(???)

―――――――――

「古畑さん」
「……」
「古畑さん。古畑さん!」
「……」
「無視しないでくださいよっ」
「……」
「ええぇ? ちょっと、聞こえてないんですか?
 ついに耳遠くなっちゃったの?あんた」

瞬間ムッとして眉がつり上がった。が、無言を貫く古畑。
その反応でちゃんと声が聞こえているのは判った。
また理不尽なイジワルを受けてる……今泉の頭がキリキリと痛み、苦虫を噛み潰したような顔になる。
それでも無視されるのは腹が立つし寂しい、このまま無視されるのは癪だ。なんとしてでも無視できなくしてやる、そう決心した今泉は、古畑の周りをちょこまかと動きながらおどけた表情を見せる。
気づけば今泉の中では『古畑を笑わせたら勝ち』のゲームになっていた。

必死に相手を笑わせようとしている滑稽な姿は、見る者が見れば笑ってくれただろう。いや、笑うとすればそれは優しさだろうが…。
ともかく、今泉との付き合いが長い古畑からすればその姿は見慣れたものだった。何よりこんな事で笑うようでは程度が知れる、センスが無い、笑えるバカではない面白くないただの馬鹿だ、幾多もの悪口が頭の中に思い浮かぶ。直接言ってやりたい衝動に駆られるが、自ら始めた遊びから降りてしまうのは何か『負けた』ような気がして止められなくなってしまっていた。このまま無言を貫いたところで最終的に困るのは己自身だとしても、これで無言を諦めた瞬間 我が意を得たりと言わんばかりに今泉のヤツが調子に乗ってはしゃぐ姿は容易に想像できた。

「―――はぁ……。なんなんだよ、これ……バカじゃないの?
 ったくよぉ。そうやっていつまでも黙ってりゃいいんですよ! 僕もう知らないですからね! ほんとバカっ…!」

誰がバカだ鏡見ろ、と言いかけた瞬間、頭に血が上って冷静さ皆無になっている今泉は勢いよく足を踏み出し、転んだ。そう、転んだ。
あるわけも無いが、決してバナナがあるだとか 濡れた雑巾があるだとか ズレやすい床マットが敷かれてあっただとか、そんな小細工は一切ありはしない。床のみ。散々動き回っていたことで床が滑りやすくなっていたのかもしれない。だとしても、傍から見て『何もない所で』転び尻餅をついてみせたのだ。呆れるのを通り越してしまった。

「アッ…ハハハハハ! えぇ?! どうしてそうなったんだよ君! 今泉くん、何もない所でスッ転べるのかい! バカだねぇ~!」
「うっ うるさいなぁ…!
 ……あ。喋ったぁ!」
「ああ、だから?」
「え?だから…僕の勝ち!」
「ふーん。だけどそんな話はしてなかったからね」
「え、いやだって、そういうアレでしょ!?
 笑わせたら勝ちみたいな!」
「そんなルール言ってないだろ誰も」
「言ってない…!?」
「言ってない。君の頭の中だけ」
「…じゃあ、なんで無視してたんですか」
「したかったからしてただけだよ」
「ひどいなぁ!? せっかく遊びに来たのにぃ…」
「ま、ちょっとは楽しませてもらったよ。暇つぶし程度には」
「あのままずっと無言で無視され続けたら、どうしようかと思いましたよ…?」
「またやろうか」
「ヤだよぉっ!」
「…フフッ。ああ駄目だ、さっきのは傑作だったよ。
 いつもならイラつく所なのに笑ってしまう」
「えぇ~っ? そんなにですかぁ?」

無言で額を叩こうとする古畑、ニヤニヤとした顔つきを見て小憎たらしい奴だなと思いながらつい笑みがこぼれてしまう。照れ隠しかのように今度こそ額をパチンと叩いた。

<おわれ>

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