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会員様寄稿【連続小説】ラコタ(4)台湾有事は日本の有事 墜落の原因…
桜林の声が部屋に響いた。「なんだよ、部品のつけ忘れって!」
墜落の原因は、整備士の和田が部品を付け忘れたことだった。連日の激務が原因で、彼は疲れ果てていたのだ。
桜林は怒りを抑えきれずに叫んだ。「どう責任取るんだよ!」
和田は黙ってうつむいていた。そのとき、和田に直人の部屋に来るよう連絡が入った。
和田は緊張しながら直人の部屋に入った。「失礼します。」
直人は落ち着いた声で言った。「今回の件はすべて報告を受けている。」
和田は覚悟を決めた。「どんな処分でも甘んじて受けます。」
直人は深いため息をついた。「ヘリはまた作れるが、失った兵は戻らない。全員無事に帰還できたので処分はなしだ。
防衛省に待遇改善の要望を出した。まあ、聞いてはくれないだろうけどな。」
和田は涙ぐみながら頭を下げた。「ありがとうございます!」
一礼して部屋を出る和田。その背中を、直人は静かに見送った。
ヘリ墜落の原因が発表され、X上の過激な意見も徐々に下火になった。とりあえず日中衝突は回避された。
X上の書き込みでは台湾のために日本も血を流すべきだなど、戦争を望む声が大きいが、
一般の人々は長い自粛に疲れ、一日も早く平和が訪れてほしいと願っていた。
そんな中、アメリカが日本に相談なく単独で経済制裁を解除したのだった。
続く…
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