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光の戦士たち(14)ナントカ減税会なんてくだらない。そんな館山に祭は…【小説】

友情は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする
『ヴァレンシュタイン』
リードリヒ・フォン・シラー

登場人物
祭あつし:25歳 市役所勤務 減税会で勉強し始めている
館山敏宏:49歳 市議会議員 減税会に批判的

それ以来、逆に祭のことを気に入ってしまった館山は、時々自ら祭を飲みに誘うようになっていた。とはいえ、祭と飲むのが楽しいと悟られるのは恥ずかしいのか、常に冷静さを装っている。

その夜も、二人は地元の居酒屋で酒を交わしていた。館山は、祭が勧める日本酒を一口飲み、
「やっぱり、ここの酒は最高だな」
と感心したように言った。

「そうですね。やっぱり地元の味が一番です」
と祭が微笑んだ。

少し酒が進むと、館山は顔を赤らめながらも口を開いた。
「ナントカ減税会なんて、くだらないよ。そんなに不満があるなら、自分たちで政治家になればいいんだ。」

祭は笑いをこらえながら、
「そうですか。不満があるなら館山さんも主婦になればいいんですよ。」と軽く突っ込んだ。

館山は一瞬戸惑った表情を見せたが、やがて恥ずかしそうに笑った。
「痛いところを突かれたな。」

祭は笑顔で、
「今度、その嫌いなナントカ減税会の勉強会に顔を出してください。きっと新しい発見がありますよ。」

館山は少し考え込んだ後、
「そうだな、考えてみるよ。でも、期待しないでくれよ。」と照れ隠しのように言った。

「もちろんです。お待ちしてますから。」
と祭は笑顔で応えた。

館山と祭の友情は、少しずつ深まっていくのだった。

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