vol.67 『愛するということ』

角田陽一郎のメルマガDIVERSE vol.67 2021年2月27日Full Moon
『愛するということ』

ユニバースUNIVERSE(単一の世界)からダイバースDIVERSE(多元的な世界)へ
多視点(バラエティ)でみると、世界はもっと楽しくなる。
それが角田陽一郎の考えるバラエティ的思考です。まさにいろいろなことをバラエティに多元的に多視点で紐解くメールマガジンです。


■Cm■「自由なんていらない 平和なんていらない」

今日は満月。まもなく2月も終わります。こうやって月日は過ぎていくのですね。
昨日、自分の学生時代のアルバムをふと開いてみました。20歳そこそこの自分、今より30キロは痩せている。学園祭に、新歓合宿に、演劇の公演に、初めて金髪にしたときに、北海道旅行した時に、友人たちと写っている若い自分がいる。今の僕が見ると初々しいというか、すごく楽しそうな未来を希望で満たしような自分がいます。
でも、ちょっとその時代を冷静に振り返って思い出してみると、実際は日々思い悩んでいたと思うのです。将来のこと、学業のこと、就職先のこと、お金のこと、恋愛のこと。なんかすごく記憶に残っているのですが、ベッドに横たわってなんかで悩んでいて眠れないでいると、ふとマットの下に手を入れて、リセットスイッチを探していたのです。このリセットスイッチを押すと、また初めから人生をスタートできないかな、って。でもテレビゲームのようなそんなリセットスイッチは、マットの下にはありませんでした。きっと自分の人生をリセットしたいくらいのつらいことがあったのでしょう。今では、そんなリセットスイッチを探すことはなくなりました。むしろそんなリセットスイッチを探さなくたって、いつゲームオーバーするかわからないくらい、人生なんてはかないものなんだって、歳を重ねるごとに気付いてしまったからかもしれないですが。
なんとなく、そんな風に悩みというか、迷いというのは、歳とともに変化していくものなのですね。だから、歳とったものが、若者に伝えるアドバイスなんて、実はその瞬間にはそんなに役に立たないんだって、思うわけです。それは、その年齢を通して見たその瞬間の世界の中での、その人がたまたま思っている瞬間の想いでしかないのだから。その瞬間にたまたま20歳の人と、たまたま50歳の人には、やはり見えている世界は違うものなんじゃないかと思うわけです。

あれは、確か高校1年の頃だったと思います。お昼の食事の時間に校内放送で音楽が流れていました。かかったのは、大江千里の「愛するということ」という曲。傑作アルバム『乳房』を発売して、これから大江千里さんが人気爆発する直前のころです。ちなみに1986年はちょうど皆がレコードからCDに乗り換える頃で、ボクは高校入学記念で両親にお祝いで買ってもらったオーディオコンポが嬉しくて、CDを買い始めたころなのでした。ボクも『乳房』をCDで買って、大江千里さんの魅力に取り憑かれた頃なのでした。

「愛するということ」、サビで、こんな歌詞が流れます。

自由なんていらない、平和なんていらない、君がそばにいればいい、君が全てなればいい

ボクは、そんな歌詞を、特にふかく考えずに、ポップなラブソングだと想いながら聞いていたのでした。
そして数日して、全校集会があったのです。全校集会では校長先生がお話をしましすよね。全校集会って月一だったのかな? それとも学期始めと終わりだったのかな? 今となっては全く憶えていません。そして先生方が話した言葉も、長いなあと思ったことはあったにせよ、全く覚えていません。でも、このことだけが小中高を通してたくさんの全校集会で話された話の中で、唯一ボクの脳内に残っているのです。
校長先生は、こう話されました。
「先日お昼の放送で流れた曲があります。その中で、自由なんていらない、平和なんていらない、という歌詞がありましたが、皆さん、皆さんが誰かをそれほどまでに好きでいられるのも、自由だからです、平和だからです。

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