見出し画像

AD10「若い頃の忸怩たる思いは、歳を取っても続くのか?」

「皆様おはようございます。バラエティプロデューサーの角田陽一郎(かくたよういちろう)といいます。
先日、今から9年前の2008年に書いた文章を見つけた。
僕は今が46歳なので、37歳の時の文章。その時の文章を載せようと思う。

後輩が、異例の抜擢をされた。
相当若くて29歳なのだが、次期番組のプロデューサーをなんと指名されたのだ。
其のこと自体は、非常に喜ばしいことだ。
でも僕は、ちょうどレギュラーでやっていた番組の打ち切りを迎えていた。
番組が始まるとき、相当優秀なフリーのディレクターを集めたのだが、まもなく自分のチームを散開しなければならない状態で、優秀な奴らなので再就職先に困ることはないだろうけど、そんな優秀な人材が他局に流れるのは嫌だなと思いながらも、僕も浪人状態だし何もできないなあと悩んでたところ、その後輩が、
「彼らを使っていいですか?」
って言うので、快く
「使ってください」
と昨日伝えた次第である。

このこと自体はとても喜ばしいことだ。
けれど、この機に僕は、昔の自分をつい思い出してしまう。
というのも、自分も若い時に異例の抜擢をされた口だからだ。

今から10年くらい前、当時28歳のとき、爆笑問題がMCの4時間特番の総合演出に大抜擢された。
まあ、内容はさておき、というのも内容で苦労するのが僕らの仕事なので、それはよいとして、一番大変なのはスタッフ集めだ。
普通は、自分が今まで働いてきた中で、“こいつは優秀だ!”ってディレクターとかA Dとか目星をつけて頼み、スケジュールが空いてたり、番組との相性等で、やるやらないが決まるのだが、なにせ自分はまだ若いので、今まで出会った、なおかつ、頼める、頼みやすいスタッフ候補ってのはとても少なく、非常に限られる。そんな中、やっぱり結局頼めるのは、自分が在籍しているレギュラーの番組のスタッフしかいないのだ。
なので僕は、そのことをレギュラー番組の一番偉い人=プロデューサー〈上司〉に頼み、何人かを特番でレンタルする算段をつけた。
で、なおかつそのレギュラー番組へなるたけ負担をかけないように、当時その番組のスタッフは火曜日が比較的仕事が詰まってなかったので、特番の収録日をわざわざ爆笑問題さんのスケジュールを調整してまで火曜日に設定したのである。
スタッフはなんとかそろった。
で、大変ながらも何度も会議をし、スタンバイし、あと3日で本番って日に、会議室で打ち合わせしながら台本作ってると、いきなりそのレギュラー番組で2番目に偉いチーフディレクターが乗り込んできたのである。
そのチーフディレクターは、僕の10年も先輩、要するに大先輩である。
で、彼はいきなり
「お前には、うちのスタッフは一切貸さない」と。
それだけ言って部屋を出てったのである。

ここから先は

1,213字

¥ 200

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?