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AD15「無限軌道上の資本主義 capitalism on the caterpillar」

今最悪の心境でこの文章を書いている。
最悪の状況から始まる小説は多数存在するし、それは多分読んでいておもしろいんだろうけど、作者が最悪の心境で書いている小説にはたして、おもしろさはあるのだろうか?
なぜ最悪の心境なのかというと、22年間勤めて、会社から追われているからだ。
ある転職を経験した人に言われたことがある、会社は辞めたとなると、それまでのやさしい対応からは掌返しするよ、気をつけてねと。
そんなことないだろうと思っていたら、まさに掌返しだった。
でもそんな僕に掌返ししてまでいじわるするメリットが会社にあるのだろうか。
むしろ優しくしといたほうが、のちのち絶対得するのに。
ということで今、そんな最悪の心境なのだ。
で、僕はなぜその会社に入り、なぜ会社を辞めたか?
そんなことを書き留めてみようと思っています。

入社してすぐの20代のころは30歳になる前に会社を辞めてやると思っていた。
そして27歳くらいになって、それは35歳になる前に会社を辞めてやるに変わった。
そして、30歳を超えた時、僕は会社を辞めないという選択肢を選んだ。
家族もいるし、家も買ったし、実際会社での仕事も楽しかったんだろう。
辞めるメリットがなかったんだろうな。
でも、38歳になった時、とたんに今まで歩んできた会社人生がとてつもなく退屈に思えた。それは会社という資本主義が永遠に続くであろうと頑なに信じている無限軌道上を歩み続ける人生に、まるでそれは檻の中の回転式遊具の中で同じところをくるくる回っているハムスターのようで、でも檻の中のハムスターは実際楽しそうにくるくるしてるし、でも僕はきっと檻の中を出たくなったんだろうな。そう思う。

でもこれは、この文章で、少し偽っている自分がいる。 

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