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AD26「本を読まない人の、本を読まない5つの理由」

「最近の若者は本を読まない」
そう言われて久しく経ちます。
むしろ僕が若者だったころからそう言われていたかもしれません。
でも、ずーっと続く、出版不況。どんどん減っていく書店。本の未来は明るくありません。
僕は本が大好きなので、そんな話を聞くと、本がな無くなってしまうんじゃないかって、心配になってしまいます。

先日、若い人がなぜ本を読まないか?をある若い人に聞いてみました。
ちなみにそのAさんはユーチューバーや、ネットライブ配信をするライバーという、主に若い人に人気のインターネット動画界隈で活躍する20代半ばの起業家です。やり手ですし、話していてもとても頭がよい。でも本はほとんど読まないそうです。
そんなAさんは、なぜ本を読まないか?読書をしないのか?
ある時とても気になって、僕は質問してみたのです。
「あなたや、ネット世代といわれる若い人は、なぜ本を読まないのですか?」
すると、聡明なAさんは、自分や若い人がなぜ本を読まないのか?の理由を、なんと分析してくれたのでした。
そしてその「本を読まない人の本を読まない理由」は5つありました。

まず一つ目は・・・


〈理由その1〉「つらいから」
本を読むのが、「つらい」そうなんです。
Aさんは言ってました。もし楽しいんだったら、そりゃ自分も本を読むと。
でも、活字を読み進めるのが、苦痛であると。
そんな、苦行をなぜいちいちしなければいけないのか、意味がわからない。
そう言っていました。
その後いろいろ話を聞くと、要するに読書という行為を、勉強をするという行為の延長と捉えていることがわかりました。つまり学生時代に無理やり本を読まされた。なので読書を宿題をすることや試験勉強をすることと同義と捉えているのです。
あの時の苦行だったという勉強の原体験が、ある意味トラウマになっている。
なぜそのトラウマを喚起してまで、本を読まないといけないのか?
・・・そう言われてしまうと、なんか納得できることもありました。
読書好きには、本を読むことはエンタメ=娯楽なのですが、読書が嫌いな人には、それがそもそも娯楽と認識されていないのです。

〈理由その2〉「時間がもったいないから」
本を読むという行為は、時間が取られます。1冊読むだけでも数時間かかります。
そんな時間をかける行為をなぜしなくちゃいけないのだ。
忙しくて本を読んでる場合じゃない!
だそうです。
では、普段何をしてるんですか?
って聞いたら、「ネット動画を見るか、ゲームをしている」との答えが返ってきました。
本好きからすると、ネット動画見たり、ゲームをすることの方が、時間がかかる気がするのですが・・・。
まあ、これもわからなくはない理由です。本好きを公言している僕だって、結構分厚い本で、それも上下巻だったりすると、確かに読みたいなって思っても、読み始めるのに気後れする場合だってあります。読み始めてしまえば、ぐんぐん進んでいって、その気後れも徐々に減っていくのですが、確かにその障害は、そもそも〈その1〉で書いたように、読書をつらいって思ってしまう人にとっては、もはや越えられない壁なのかもしれません。つらい上に、それが長い時間かかる、そんな怖い想いをなぜ自分からしなければならないのか?
・・・そう言われてしまえば、確かにそうなのですが。

〈理由その3〉「楽しくないから」
そこで僕は、Aさんに言いました。本を読むことを、学生時時代に強いられた受験勉強と切り離して考えてみるのかどうかと。
読書=エンタメ、なんだと捉え直してみると、もしかしたら本を読むことだって、難しいゲームをクリアするのと同様に、苦痛じゃなくなるのではないかと。苦痛じゃないから長時間ゲームがやれるように、そうしたら読書だって、時間をもったいないと思わなくなるんじゃないか?って。
そうしたらAさんからこう答えが返ってきたのです。
「だってゲームほど楽しくないじゃないですか、読書って。」
ネット動画や、ゲームほどのエンタメ感を得られない。
そう返されてしまいました。
うん!?
なぜ、そうなんだろう?
僕がその答えを聞いて、なぜだか考えてみました。
僕にとっては、読書はエンタメなのに、なぜ本を読まない人にとっては楽しくないんだろうか?
すると、Aさんから次の答えが返ってきたのです。

〈理由その4〉「書き手が知らない人だから」
つまり、なんでよくわからない人の意見をいちいち聞かなきゃいけないんですか?
ということらしいのです。
知っている人だったり、好きな人の話だったら、積極的に聞こうとは思いますが、本の書き手は、大部分が知らない人で、その知らない人が自分の意見を述べたり、なんか勝手に作ったストーリーを押し付けられても、それが(仮におもしろいものだとしても)なかなかそれをわざわざ手にとって、わざわざ時間をかけて読もうとは思わない、ということらしいのです。
ネット動画、ユーチューバーは、なんか好きなトピックで検索して、その検索でひっかかった動画を見て、その動画を作ってる人(ユーチューバー)に興味がでたら、その人の動画を何個も見るらしいです。
ゲームだって誰が作ったかを知らないじゃないか?と言ってみたら、こう答えが返ってきました。
「ゲームは作り手がわからなくても、そのゲームが楽しければ、その楽しさが伝わるってくる」
なるほど・・・つまり、彼の言っていることは、それがおもしろいと思えるためには、ビジュアル(光景)が必要なのだということなのです。
本だと活字しかないから、そのおもしろさのビジュアルを、活字やその集合体である文章から、自分でイメージ(想像)しなければなりません。
その文章からビジュアルをイメージするという行為が、〈理由その1〉の「つらい」と思ってしまった学生時代の原体験から、苦行だと認識されて忌避される行為になったまま、文章からイメージすることが億劫に思えてしまう。あるいはその能力が、本を読む人より減退しているのかもしれません。
では、漫画はどうなのでしょうか?
漫画はビジュアルがはじめからあります。
でもある編集者に聞いたのですが、今や漫画も若い人には昔ほど読まれていないそうです(それはそれで、また衝撃でした)。
だってそのビジュアルが勝手に動く、アニメがあるから。
自分で活字からわざわざイメージしなくてもビジュアルがあって、そのビジュアルが勝手に動いてくれるのに、なぜ動かないビジュアル=漫画をいちいち読まなきゃいけないんですか?
そもそもビジュアルを自分でいちいち想像しなければいけない本を、なんで読まなきゃいけないんですか?
・・・つまり、そういうことらしいのです。

ここまで、4つの理由を聞いて、僕はなかなかの衝撃でしたが、でもまあなんとなく予想できる回答でもありました。
少なくとも本を読まない人の本を読まない理由を、本が好きな僕自身がイメージしてみるとこういう答えが返ってくるだろうなと想像できたものだからです(支持するかしないかは、さておき)。
でも、Aさんから最後の5つ目の理由を聞いて、僕は驚愕してしまいました。
僕にとって想像を超える答えが返ってきたのです。それは・・・

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