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BC38「文章を書くことで、会話も上手くなる」
[水道橋博士のメルマ旬報 vol.51 2014年12月10日発行より一部改定]
『メルマ旬報』の先号は祝!50号記念号でしたが、今回は僕自身の連載が祝20回記念です。2014年2月からはじめて、10ヶ月あまり。毎回いつも締め切りギリギリで入稿してますが、なんとか書き続けてきました。僕みたいな文章素人が文章を定期連載すると、ものすごく勉強になることがあります。
まず、書くことで、普段の会話自体も、上手くなる。
毎回、締め切りまで書く内容を漠然とですがなんとなく考えて生活しているわけですから、なんか頭の中にいつも、考え方のシステムみたいなものが無意識にできていて、なんか人に会った時とか、モノゴトが起こった時に、これは書く内容のネタになるなあ、とか無意識に頭の中に事例がストックされていくのです。
で、それを後々文章に組み立てるわけですから、今までのようにただ頭の中の記憶として、漠然とストックされるというよりは、「◯◯は、この考え方の根拠になるなあ」とか演繹的に考えたり、逆に「この◯◯は、この考え方で、できてるんだ」とか帰納的に、これまた自動的に頭の中で気づかされたりします。
で、実際スポンサーや取引先とのプレゼン中の会話の中でも、無意識にその考えをその事例を織り交ぜて喋ってるわけですから、今までの「昨日こんなことありまして・・・」ってだけの“ただの時候の挨拶的エピソードトーク”や、また「僕、今こんなこと考えてるんですよね」ってだけの“自分の考えをただ述べるだけの身勝手トーク”もなくなり、「◯◯が起こった。それはつまりこういうことなのでは?」って構造の話し方に、これまた自動的になっちゃうわけなのです。
そうすると『メルマ旬報』始めてから「角田さんの話おもしろいですね」って言われる機会が、スポンサーや取引先へのプレゼン中にものすごく増えました。
そんなこと自体をここで書いてるのもものすごく手前味噌ですが(笑)、でも自分自身もそう言われても、なんか腑に落ちるのです。
確かにおもしろさがかなり増していると思います。
それは、僕自身も含めて、大部分の人の日常の会話は、先ほど書いた「昨日こんなことあってさ・・・」ってだけの“ただのエピソードトーク”や、また「俺、今こんなこと思うんだよね」ってだけの“自分の考えを述べるだけの身勝手トーク”だからだと思うからです。
いえいえ、それらを否定しているわけでは全くないです。
だって、日常なんてそんなものだからです。それ以上に“根拠のある事例と、そこから見出せる独特な考え方”ばっかり普段しゃべっている奴がいたら、それこそ頭がおかしいと思います(笑)。
先日、ある構成作家さんと会議することになり、夕飯も食ってなかったので、「食べながら会議しますか!」って話になり、会社近くのある居酒屋に行ったのですが、お店の方に「個室は2名だと困ります」って言われたので、番組スタッフになったばかりの若い20歳前後の新人女性AD2名を会社から呼び出して、「僕たちは勝手に会議しているから、君たちは横で、好きな物食べながら勝手に会話してていいよ!」って言って、個室で4名で食事することになったのです。
僕と作家さんは、普通にあれやこれやさまざまな企画を、まさに“根拠のある事例と、そこから見出せる独特な考え方”を話し続けました。
その後食べ終わって会社に戻ると、その若い女性ADたちは他の先輩ADたちに「ご飯も美味しかったですけど、角田さんたちのお話、ものすごくおもしろくて、自分たちの会話なんかしないで、ずーっと聞き続けちゃいました!!」とかなり興奮気味に報告しているのです。
はたで聞いてて「おおお、僕もやっとモテキ到来か!」とか内心思ってたら、直後「でもあんなにおもしろいこと、ずーっと喋られたら、多分疲れちゃうんで、そんな男性は、彼氏には無理です」とか言ってました。
なるほど・・・日々の男女の暮らしには、“根拠のある事例と、そこから見出せる独特な考え方”はそんなに必要ないのですね・・・また学びました(笑)。
でもでも、これが特にスポンサーや取引先の前では、この“根拠のある事例と、そこから見出せる独特な考え方”こそが求められているのです。
そんな時、では僕たちはどうすればいいのでしょう?
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