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AD21「クリエイターになる方法」

先日角田陽一郎の新刊『13の未来地図 フレームなき時代の羅針盤』(ぴあ刊)が発売されました。
僕の本としては6冊目。5年前はどうやったら本が出せるのか?どうやったら出版社の人と知り合いになれるのか? それすらもわからなかったホント本の初心者だったのに、今では「どうやったらベストセラーを作れますか?」って時折出版社の方から逆に相談が来たりします。
そんな風にどうやれば自分の本が出せるのか?
今回はそんなクリエイターになりたい人のために、僕が伝えることができる『クリエイターになる方法』のお話です。

そもそもただのテレビプロデューサーだった僕が、本を書くようになり、自分自体がテレビやラジオに出演するようになり、一昨年末にTBSテレビを辞めて、フリーのバラエティプロデューサーになったのも、この水道橋博士のメルマ旬報のおかげなのです。
僕がこのメルマに連載を開始したのは2014年の2月25日号からですが、そのきっかけはその一ヶ月前の1月25日に恵比寿で開催された“メルマ旬報フェス”でした。
このフェスに登場する執筆者の方々を見て、僕も加わりたいと思ったのでした。

でも、これはきっと誰もが思うことでしょうが、自分の文章がいざ他人の目に触れるとなった時に、自分の文章がはたして他人に読ませられる程度のものなのか?って不安を感じませんか?
この他人に自分が作ったものを見せることでの、羞恥心というか、劣等感との戦いに打ち勝つことが、実はクリエイターで生きることの第一歩、いやほとんど全部なのではないかと思うのです。

だからこの羞恥心と劣等感との戦いに勝つことさえできれば、実は皆クリエイターには少なくともなれるのです。
でもやっかいなのが、その戦いは、普段の会社の中での自分とか、社会人としての自分というある種の公人としての自分ではない、もっと秘めた内面を見せる私人的行為なので、実はこれは歳をとればとるほど、要するに公人感が強い人になればなるほど、恥ずかしいと思ってしまうものなのです。なので若い時からクリエイターになりたいとの夢や野望を持っていても、そしていつか自分にそのスキルが付いたらクリエイターになるぞ!クリエイターを名乗るぞ!と思っていても、その気持ちとは逆に年をとればとるほど、仮にスキルを身につけたとしても、クリエイターにはなれないものなのです。

この自分の羞恥心と劣等感という壁は、多分幼少の頃はみんなそんなに持っていなくて、自分が描いた絵や自分の作った空想話など家族に普通にさらけ出していたと思うのです、つまり最初はみんな私人だから。それが小学校に上がると他者と比較されることを経験し、公人としての自分が誕生します。そこで外面の自分と違った自分の内面を出すことを徐々に躊躇することを覚えます。それでも自分の生み出したモノを公開できる人は確実にいます。そういう人はもう生まれながらのクリエイターなのでしょうが、はっきり言って僕はそれができない子供でした。そしてそのまま自分の書いたものなんて、きっと世の中に通じないんだって劣等感を持ち続けて、躊躇しながら大人になったのでした。
いや、でもあなたはTBSテレビに入社して、テレビ番組制作者という、クリエイターに若くしてなっているじゃないか?と思われる方もいるかもしれません。
確かに、自分が25歳の時初めてディレクターになって、初めて撮影して編集して作った映像を他者に見せるとき、ものすごく恥ずかしかったことを覚えています。本当にオナニーを他人に見せるような恥ずかしさでした。でも一回それを乗り越えたら、むしろそれで恥ずかしがっている人の方がむしろ恥ずかしいってやがて思えるようになりました。そういう意味では自分の内面を見せるという行為の突破感はその際経験しています。でもテレビ局で長年番組を作って、番組を作るというクリエイティブな行為が外面になったりすると、普段仕事で見せている顔、つまり外面の自分として作品を生み出している番組というモノとは全く違う、自分の思ったことを文章にして公開するという本当の内面の自分をさらけ出すという行為は、むしろさらにどんどん大きな高い壁になっていたのです。
この恥ずかしさは、仕事としてクリエイターをやっている人たちがたくさんいる職場独特の躊躇感でした。社内の周りの人たちから揶揄されるのではないかという気持ち、「なに本とか書いて、お高くとまってんだよ!」的な陰口を想像してしまいます。もし自分が本を書くのなら、そんな陰口に負けない、かなりレベルの高い作品にしなければ、僕なんかが本を書いちゃいけないんだって、ずーっと躊躇していたのでした。こうして30代は何もせずまま過ぎ、いつしか40代になったのでした。

そして43歳の冬、2014年の1月のメルマ旬報フェスを見た僕は、そんな状況にいてもたってもいられず、というかもう頼むなら水道橋博士しかないだろうと思って一念発起して博士のTwitterにダイレクトメッセージを送ったのでした。博士なら断られないだろうと、なんとなく思ったからでした。逆に言えば博士に断られたのならば、もう僕が自分の文章を世に出すことなんて未来永劫なかったんじゃないかと思うのです。
恥ずかしながら、こんなメッセージを送ったのでした。

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