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BC27「"ネガティブ"は"後ろ向き"ではない」

好きなことを仕事にするには、どうすればいいか?
僕は、よく「角田さんは好きなこと仕事にしてていいですね」と言われます。「前向きに仕事してて羨ましいです」とかも言われます。自分で言うのもなんですが、「はい!」って答えます。だって好きなことを実際仕事にしていますし、前向きにジャンジャン仕事してますから。
自分が自分をそう思ってるのはともかく、テレビ局でプロデューサーしているのは見た目が派手な職業なので、会社外の周りの人からそう見られがちなのはわかるのですが、実は自分の社内の仲間からもよく言われます。てことは、社外の方から比較的好きなことをしていると思われがちなテレビ業界という職種の中でも、僕は“特に”好きなことを仕事にしている稀有な人間ということになるわけです。

で、なぜ「好きなことを仕事にできるのか?」
考えるにあたって、もう少し深く考えてみましょう。仮にみなさんが自分の好きなことを仕事にしてないとして、「なぜ人は好きなことを仕事にできないか?」を考えてみます。
皆さん日々エクセルで売り上げとか仕事の実績とか表計算することがあると思います。ぶっちゃけ退屈ですよね?エクセルは本当に便利な表計算ソフトですし、僕も日々使ってます。そのエクセルの便利さと作業の純粋な楽しさは置いといて、ここでは便宜上、"つまらない仕事"を、"エクセルを作る"と表現しようと思います。Microsoftさん、すいません(笑)。
逆に楽しい仕事を、便宜上、自分のやりたいことをやる仕事、やりたい仕事を手に入れることを"美味しい果実を狩る"と言う意味で"狩り"と表現することにします。
貴方は日々エクセルを作っていて楽しいですか?
貴方はやりたい仕事、美味しい果実狩りをしていますか?

好きなことを仕事にするためには、この2択をどう選択するかが重要です。テレビ局だけでなくどんな職場でも、「エクセルを作っている人」から見ると、「美味しい果実狩りをしている人」は、楽しい仕事をしているように見えるのです。だから僕に社内で「好きなこと仕事にしていていいですね!」って声をかける人は多分エクセルを入力しているだけで、狩りに行かない(行けない)人なんだと思います。
「そう思うならなら貴方も狩りに行けばいいのに」って僕は思いますし、そもそも積極的に狩りにいかないとテレビというメディア仕事はおもしろくならないと思うのですが、それはここでは別問題なので置いておきます。

なぜ人は美味しい美味しい仕事狩りをしないのでしょう?なぜ退屈な退屈なエクセルを日々作ることに甘んじるのでしょう?

それは、“狩り”にはリスクがあるからなのです。そして好きなことを仕事にしていない人はリスクを取るということを、まさにリスクと考えて敬遠するからなのです。

ここで一つ伝えたいのが、僕はめちゃくちゃネガティブだということです。「えー?なんで??」「好きなことを仕事にしているのに、今までの文章見ても、全然ポジティブなのに、どこがネガティブなんですか?」とかもよく言われます。でも、そう周りから思われていたとしても、やっぱりもうことごとくネガティブだと自分のことを思うわけです。暗い男です(笑)。
そもそもネガティブって何を意味するんでしょうね。ネガティブは日本語で言うと、“否定的”“消極的”“後ろ向き”など…。あれ?でも僕はこのネガティブの日本語訳を聞くと、ちょっと違うかなとか途端に思います。だって僕は全然“後ろ向き”ではない。どちらかと言うと、超“前向き”です“積極的”になにごともやりますし、そもそも何を考えるのにも基本“肯定的”です。新しいこととか大好きだし、というか、古いことが嫌いと言うわけではなくて、古いことを、何も考えずにルールとか決まりだとか言って、絶対的に服従しているスタンスが大嫌いです。過去にさかのぼって、そう決まったことなんて、たまたまだったかもしれないし、ルールを決めた人が能力の無いやつで、そう決めざるを得なかった、ってケースだったかもしれない。ならばそんなこと全然従わなくて良い。僕らなら、そういう決まりに従わなくても、問題を解決できるかもしれない。仕事でやりたくないことが降ってくると、僕はすぐ“肯定的”に“積極的”に“前向き”にそう考えます。
ということはやっぱり僕はネガティブじゃないのかな?いやポジティブシンキングかネガティブシンキングかと問われると、やっぱり絶対ネガティブで暗い男です。つまり僕は“肯定的”で、“積極的”で、“前向き”だけどとっても“ネガティブ”ということになります。

こうして自分自身を自己分析してみると僕は、「前向きだけどネガティブ」、いやむしろ、「前向きだからこそのネガティブ」なのです。そして「前向きだからこそのネガティブ」というのが、冒頭で述べた好きなことを仕事にするための、“美味しい果実狩り”の必須条件なのです。

狩りにはリスクがつきものです。狩りに出かけていっても、何も手に入らないかもしれない。仕事でのチャレンジングスタンスってのは、その分の軋轢とか責任とか背負い込むわけで、至極疲れます。狩りは疲れるのです。もしかしたら、その(エクセルを作れ!って)ルールを決めたやつが、ものすごく優秀なやつで、「ほれ見ろ!だから私が決めたように行動した方がよかったのに!」って先見の明でそれを決めたのかもしれないという場合だってめちゃくちゃあると思います。

失敗するリスクは前向きであるがゆえに後ろ向きな人間たちより遥かに高いということを意味するのです。エクセルを日々作るより、狩りに出かける方が、失敗リスクが高い!そしてそのリスクを極力避けようとネガティブにネガティブに用意周到にめいっぱい考えて、襲ってくるであろうリスクと対峙するわけです。

だから、失敗のプレッシャーとか軋轢とかもめ事とかが、人よりたくさん降りかかり、阻止しようとして僕はネガティブ思考なんだと、そう、気付いたわけなのです。超前向きな分だけ超暗い(笑)。ということは、そこから帰結する事実があります。

好きなことを仕事にすると、ネガティブにならざるを得ない。

つまりもし皆さんが、好きなことを仕事にしたいならば、この肯定的で積極的で前向きに生きることの、リスクを負担する気概があるか?リスクと日々戦うことのネガティブな思いに耐えられるか?ということを意味するのです。“狩り”に行っても何も手に入らないかもしれない、その空腹に耐えられますか?

そこまでしてリスクに耐えるのは嫌だ、ともし貴方が実直に感じたのならば、ネガティブに感じた貴方は、いま一歩前進しています。なぜなら好きなことを仕事にした時に降りかかってくる具体的なリスクを今この瞬間想像でき、ネガティブに想像を巡らせたからです。具体的にそのリスクを考えられない人は、好きなことを仕事にするなんてそもそもできません。

ここまで考えて僕が言えるのは、狩りに行くかどうかは皆さんの自由、ということ。
好きなことを仕事にして、肯定的に積極的に前向きに、そしてネガティブに生きるか?

好きじゃないことを仕事にして、否定的に消極的に後ろ向きに、でもポジティブに生きるか?

ではそうまでして僕たちはなぜ仕事をするのでしょうか?


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