BC20「2015年、ものすごい暑い夏の熱い出来事」

[水道橋博士のメルマ旬報 vol.69 2015年9月10日発行「オトナの!キャスティング日誌」より]

皆様おはようございます。TBSテレビでバラエティプロデューサーをやっています角田陽一郎(かくたよういちろう)といいます。9月になって猛暑も一段落しました。今回は僕のこの夏の熱いお話です。
7月に、このメルマ旬報での連載を大幅加筆修正した拙著『成功の神はネガティブな狩人に降臨する-バラエティ的企画術』を発売しまして、この夏は少しでも拙著を知ってもらおうと、出版記念トークイベントを繰り広げました。

①8月15日にはキングコング西野亮廣さんがこの夏約1ヶ月青山で開催したアート展覧会『おとぎ町ビエンナーレ』で西野さんとトークイベント。ちなみにトークテーマは『西野亮廣とは何か?』。超満員で大盛況でした。

②8月28日には大阪のカフェで本が読める話題の本屋さん“スタンダードブックストア”で、代表の中川和彦さんとトークイベント。ちなみにトークテーマは『これからの新しいスタンダード』。出版業界の裏話や未来も聞けて、これまた大盛況でした。

③9月2日には出版エージェント・アップルシードエージェンシー主催で『考具』『発想法の使い方』などのベストセラーの著者、博報堂の加藤昌治さんとプレミアトークイベント。ちなみにトークテーマは『アイディアと企画術』。加藤くんとは高校時代の同級生で、まさに気心しれた間柄の、かなり核心に迫った革新的なお話をしました。

④翌日の9月3日には下北沢の“B&B”で、こちらメルマ旬報の原カントくんプロデュースで落語家の立川談慶師匠とトークイベントをやらせていただきました。ちなみにトークテーマは『人生をもっと楽しくするトーク&企画術』。もう2時間しゃべりまくりました!

その間にも、ラジオ出演を2本行いました。
⑤TOKYO FMの『澤本・権八のすぐに終わりますから』。電通の人気CMプランナー澤本嘉光さんがMCのラジオ番組で、こちらもしゃべりまくってしまいなんと2週も放送していただけました。こちらはアドタイで記事になっております。

明石家さんまさんにプレゼンするより怖いものはない【前編】
http://www.advertimes.com/20150821/article200997/

企画が採用されなかったら、実現する座組みを自分で考えればいい【後編】
http://www.advertimes.com/20150824/article200974/

⑥FM FUJIの番組、和田裕美さんMCの『WADA CAFÉ』。こちらもポッドキャストに音源があります。トークテーマは『「面白いこと」「くだらないこと」だらけの世の中を想像してみよう!』です。
https://itunes.apple.com/jp/podcast/wadahiromi-channel-wadacafe/id478441796?mt=2

もうね、自分で言うのもなんですが、この夏はしゃべりまくりましたよ。そして一番気をつけたのは、なるべく違う話を心がけたこと。同じ話をしているのを同じ人が聞いたら冷めるかもしれませんし、なにせバラエティプロデューサーを名乗っているプライド(!?)も少なからずあります。自分はトークのプロではないので、せめて話のバリエーションの豊富さで勝負に出ようと考えたのでした。まじめな話もくだらない話もギョーカイ裏話も、盛りだくさんのマシンガントークを繰り広げました。メルマ旬報の読者です、という方も多数いらっしゃって、その場で出会えた方々本当にありがとうございます。
そして裏方の僕が一人で喋っていても、イベントとしては注目度が弱いし、インパクトに欠けます。なので必ず注目度が高い方と一緒にトークイベントを開催したのも特徴です。それは普段自分自身がイベント等を開催しているプロデューサーでもあるので、集客を考慮した構成を考えるのは、まさにプロデューサー本来の仕事なわけです。例えば、①のキンコン西野さんのトークなんて、集客が見込めるトークテーマが思いついたのは前日でした。おとぎ町ビエンナーレは西野さんの芸術性の高いアートときめ細かい配慮が行き届いたイベントで連日大盛況で、期間中は1万人の来客を達成したらしいのですが、そんな盛況のイベントで自分のやるトークが閑古鳥なのはなんとしても避けたく、テーマをつらつら考えているうちに思いついたのです。それは・・・
『西野亮廣とは何か?』
日々Twitterで何かつぶやくたびに炎上し、好感度低い芸人No.1の西野さんです。ちょうどフジテレビの27時間テレビが終わって、深夜の芸人トークコーナーに不参加だったのをナイナイの岡村隆史さんがラジオでクレームを言った直後です。西野さんはこの事態をどう思っているのか?この『西野亮廣とは何か?』というテーマには皆が食いつくはずです。案の定、立ち見が出るほどお客様も来てくださり、そしてもう絶対公開できないような他言無用の西野さんの爆笑暴発トークの連続になったのでした。

そして嬉しいのは、トークイベント終了後には、拙著を皆さんがかなりの確率で買っていってくださったことです。握手を求められ、サインを求められ、なんなら写真を一緒にとお願いされるのは、恐縮しつつも嬉しいものです。こちらはサラリーマンなので、領収書のサインみたいなものしか書けないですが・・・。やはり自分がお客さんの前で喋ること自体が一番のPRなんだって実感いたしました。この実感はテレビ番組を作っているときはあまりわからないものなのです。テレビの成果は、視聴率しかありませんから。でも自分の著作を、自分の眼の前で購入してくださる方がいる。この幸福は本当にかけがえのないものなのでした。
そして拙著を読み終わった方が後日TwitterやFacebookで感想をつぶやいてくださいます。すごく嬉しい勇気付けられる言葉も多く、このメルマガから出版まで、本当にカタチになってよかったと心底思えるわけです。

またこの夏は他の活動も行いました。
⑦8月3日は、ダイノジの大地さんと、下北沢の“ろくでもない夜”で若手芸人によるネタ見せイベント『大地お笑い道場』のMCもやらせていただきました。このMCという立場も、ネタを見た直後に毎回コメントを求められます。7組なら7組違うことを言いたい、彼らの違う面をフィーチャリングしたい!それこそ長年バラエティ番組を作ってきたプライドで頑張ったつもりです。実際大地さとのMCはすごくやりやすく、楽しい夜になりました。

そしてなんと舞台の演出もやらせていただきました。この夏は舞台の稽古にも明け暮れたのでした。
⑧ダイノジさんの活動20周年記念公演と銘打った、キングコング西野さん脚本の舞台「テイラー・バートン~奪われた秘宝~」が8月18日(火)から23日(日)にかけて、“草月ホール”にて開催されましたが、これは各回同じセットで演出とキャストを替えて展開される喜劇テイストの舞台で、僕は初日のグランジ、鬼ヶ島アイアム野田、怪獣まゆみちゃんが出演する「グランジ班」の演出をやらせていただいたのです。

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この舞台の演出はものすごく楽しいものでした。たったの1回公演だったのですが、稽古は10日間くらい行い、当日は大評判もいただきました。アイアム野田さんのセリフ憶えの悪さを逆手に取り、舞台上にカンペと台本を出しておくという、離れ業演出もやってしまいました。でもこれも西野さんのミステリー調コメディの脚本がしっかりしているので、遊べるところは遊びまくっても本題への復帰がやりやすいことを稽古していて気付いたからなのでした。もっともっと公演をやりたくなりました。そして、他班の公演を見ると、これまた勉強になったのです。各班で若干台本そのものも各演出陣が手直ししているのですが、その手直しした部分が違うのはむしろ当然なので、そこは「なるほど、あの班はこうきたか!」というほどの感想なのですが、驚いたのは、全く同じシーンで同じセリフなのに、全然違う演出がなされていたときです。こうも同じセリフで、こんなにも違う場面になるなんて・・・これが舞台なのか!!普段舞台好きで、結構観劇しているつもりでしたが、この自分が舞台演出をしてみて、同じ脚本を他人の舞台演出で見ることができるというなかなかない経験は、ものすごく演出の勉強になったのでした。そしてそんな思いをTwitterで呟いたら、オトナの!のナレーションをやってくださっている演出家で俳優のマギーさんから、こんな返答をいただいたのでした。

マギー(おっさんのほう) @u_1_gp
こういう企画って、むしろ同じセリフに違いが出ますよね。解釈というインプット、演技というアウトプット、役者の身体性の違いも大きい。舞台の再演も然り。そこが面白いですよね。

こうマギーさんにお言葉をいただいたので、僕はすかさずこう返信したのでした。

角田陽一郎/かくたよういちろう @kakuichi41
そうなんですね!!いやー舞台おもしろい!こりゃ役者演出家が一生かける仕事なんだって今更ながらようやく気付かされました!自分のオリジナル作品上演もしたいけど、むしろ人の書いた本をおもしろく演出したいって野望が新たに僕に加わりました!


こんな風に新たな挑戦、トークイベントとお笑いイベントの司会と舞台の演出をやっていましたが、当然通常業務のテレビ番組のプロデューサーとして『オトナの!』の収録もありました。
8月12日収録回には、俳優の三上博史さんと行定勲監督。そしてハナレグミの永積崇さんとコンドルズの近藤良平さん。
そして、9月1日収録回には、くるりの岸田繁さんと漫画・宇宙兄弟の小山宙哉さん。そして、リベラルアーツ研究家の麻生川静男先生と計算生物学者の仲木竜さん。

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『オトナの!』は毎回、さまざまなジャンルの方に出演をお願いして、事前取材させていただき、収録本番に臨む。今回は特に職種がバラエティに富んでいて、取材も多岐にわたりました。楽しかったあ!!

そして7月末には、特別編の収録もしていたのです。横浜の赤レンガ倉庫で開催された『70’sバイブレーション』という70年代音楽のミュージアムに『オトナの!特別編』と銘打っていとうせいこうさんと曽我部恵一さんで開催前日にロケを行い、その場所で曽我部さんに何か70年代の曲を歌っていただけないか?とオファーすると、そこでなんと曽我部さんは、斉藤哲夫さんの「悩み多き者よ」と高田渡さんの「自衛隊に入ろう」を歌っていただけたのです。

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元放送禁止歌の「自衛隊に入ろう」を、安保問題を抱えている終戦70年のこの夏に、テレビの中で演奏する意味、僕は曽我部さんの愛情と覚悟を感じた夏なのでした。以下で御覧になれます。ぜひごらんください。
https://www.youtube.com/watch?v=eeCkC6j3BDk


なんていうか、いつにも増してチャレンジングな暑い熱い夏でした。あまりにバタバタで、いつもは足繁く行っちゃう夏フェスですが、今年は全然行けなかったのが残念ではありますが・・・。
でも僕がバラエティプロデューサーとして確実に一段階ステップアップした夏でした。
そして夏の終わり、④の下北沢B&Bでの談慶師匠とのトークイベントの9月3日は、偶然同じ下北沢の「ろくでもない夜」でダイノジ大谷さんとキンコン西野さんもトークイベントをやっていたのです。そのままトーク終了後、大谷さんと西野さんの打ち上げに合流したのでした。
大谷さんと西野さんと飲みながら、いろいろ、それこそいろいろお話ししました。今やっていること、この夏のそれぞれのチャレンジ、これからやろうとしていること、いつかやってみたいこと、なんて言うかいい歳したおっさんどもが、熱く夢を語りあったのでした。その晩僕はこうツイートしています。

角田陽一郎/かくたよういちろう kakuichi41
ダイノジ大谷さんは、この撮影時、この写真が近い将来伝説の最初の1枚になる!と言ったとか言わなかったとか、、、。

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読んでいただきありがとうございました!

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