見出し画像

テトリス99から考える、格ゲー人口拡大の方法

徹底した初心者向けゲーム、テトリス99

 テトリス99は、徹底的に初心者が楽しめるように作られているゲームです。もっと言ってしまうと、テトリス上級者には好まれにくいゲームとも言えます。
 しかし、初心者はテトリス99を遊べばよいし、上級者の多くは他のテトリスで一対一の対戦をすれば良い。何も、一つのゲームの中で初心者も上級者も満足に楽しめなければならないわけでは無い、というのを示したゲームだと思います。

 大会などでテトリスを見た人が初心者向けのテトリス99から入り、そのうちの一部がハマって一対一のテトリスにも流れる、といった風になります。
 つまり、どのゲームにしても一対一の対戦をするガチ勢というのは少数派なので、とにもかくにもプレイヤーの母数を増やすことが結果としてガチ勢増加にもつながる、というわけです。
 実際にその流れを確認したわけでは無いですが、少なからずそういう人がいても不思議じゃないと思います。

 今回は、この流れを格ゲーにも応用できないか、という話をしていきます。実際のところ現状では、テトリスでプロとしての活動は難しいので、むしろ多くのプロが活躍している格ゲーの方がチャンスがあるのではないか、とさえ思っています。
 また今回の話はぷよぷよなど、一対一がメインの初心者が入りにくい他の対戦ゲームでも、参考になる部分があれば良いなと思います。
 ちなみに、2D格ゲーしかほとんど分からない上に、そこまでプレイしているわけでもないにわかの意見ですので、色々と大目に見ていただけると幸いです。


テトリス99の初心者への配慮

 まず、99人で遊ぶという時点で中~上級者の状況判断能力を鈍らせに行っているだけでなく、一対一で白黒つけるという勝敗の重みも緩和しています。

 また、自分が負けないと対戦相手の名前が分からないので、バトルロイヤル系特有の、誰か特定の相手に嫌がらせをするという行為がしにくくなっています。
 もちろん、特定のプレイヤーの癖を見抜いて執拗に攻撃するというのも考えられますが、そもそも初心者の洗練されていない動きの癖を99人の中から見抜くのは難しく、上級者が好みにくいゲームでそこまでの技量のあるプレイヤーも少ないです。
 また、配信を見ながら嫌がらせをするいわゆるゴースティングは仕方が無いですが、やはり99人なので他のゲームと比べれば難しく、配信者には申し訳ないですがそもそも普通の初心者とは少し違う立場なので、ほとんどの初心者への配慮は出来ていると思います。

 さらに重要なのが、基本的に序盤で相手にボコボコにされることがほとんど無く、自分のミス以外で90位くらいより下になる事が極めて稀という事です。
 というのも、テトリス99は誰かからの攻撃を受けた時に、その攻撃が自分のフィールド内に反映されてせり上がるまでに、少し時間があります。対戦時間が長くなるとこのせり上がりまでの時間が短くなりますが、開始直後はかなり長いです。しかも、一定以上の攻撃は無効になるので、どんなに攻撃が集中してもシステム上で想定された以上の攻撃は受けません。
 つまり、序盤は初心者でも対処しやすい攻撃しか来ないので、そこで負けても自分のせいだと納得しやすいわけです。初めて対戦してみたら何も出来ずにボコボコにされて終わったという事がほぼ皆無で、ミスさえなければもっと続けられたのに、という次へのモチベーションへと繋がります。
 このような序盤が楽になる仕様も、上級者の好むルールをあえて切り捨てる割り切りから生まれたものだと思います。

 このように初心者がすぐに楽しめる対戦環境があるため、多くの初心者が対戦の場に残りやすくなり、結果として強すぎる対戦相手とも当たりにくいという環境が出来上がります。
 また、数人程度強い人がいたとしても、一位を取ることが難しくはなりますが、初心者であれば半分の50位を超えたくらいでもかなり達成感があると思います。


徹底した初心者向け格ゲーを考える

 テトリス99は徹底した初心者向けのゲームで、もちろん上級者にしか出来ない戦い方の面白さもありますが、基本的には上級者の好むルールを後回しにした仕様だと思います。
 なのでそれに倣い、あくまで現状の格ゲーとは別物として、徹底した初心者向けの格ゲーを考えていきます。そして、初心者向け格ゲーを楽しんだ多くの初心者の中から、一定数が一対一の格ゲーへと移るという流れを作りたいです。
 これは、現状の初心者には難しい格ゲーを、そのままのルールで残したい人にとっても良い話のはずです。

 実は格ゲーというのはそれがしやすいジャンルだと思っています。なぜかというと、同じキャラで同じ技で同じような操作が出来れば、全く別のルールだとしても多くの人は同じジャンルだと感じるのではないかと思うからです。
 格ゲーは操作も難しければ一対一の立ち回りも難しいので、まずは初心者向けのゲームとして操作部分だけを切り離します。この部分で、「好きなキャラがいるから遊びたいけど難しいから続かない」という初心者層をごっそりと掴みます。
 また、「格ゲーを見るのは好きだけど自分でやるのは難しい」といういわゆる動画勢が多くいると思うのですが、その人達が気軽に入れる格ゲーというのは本当に重要だと思います。そして、一対一の駆け引きなどにも興味を持ったら、従来通りの格ゲーへと移ればよいわけです。

 開発という視点からしても、従来通りの格ゲーのグラフィックをそのまま流用することで、新しいプレイヤーを開拓できる可能性があるわけです。
 また、格ゲーはなるべくキャラ格差の少ない調整を求められますが、初心者にはそこまで細かいキャラ差はあんまり関係ありません。
 もちろん、あまりに差がありすぎるなら調整は必要でしょうが、そもそも上級者が好みにくいゲームを目指すので影響力のある人の正確に近いキャラランクも出にくいでしょうし、従来の格ゲーほどの繊細な調整はそれほど必要が無くなるはずです。


初心者の「格ゲーの面白さの本質」とは?

 よく「格ゲーの面白さの本質」という話を耳にしますが、読み合いや自身の成長など、と言われていると思います。しかし、これらを何も知らない初心者が始めて対戦して実感できるかと言うと、それは難しいです。
 そこで、初心者の「格ゲーの面白さの本質」はシンプルに、「好きなキャラを動かせること」「気持ちよく技を出せること」の二点と考えました。
 加えて、格ゲーに限らず初心者に対戦ゲームで必要だと思われることとして、「良く分からないけど勝ったり負けたりすること」も追加します。

 この三点を考えると、もはや対戦ゲームである必要すらないわけです。
 なので「格ゲー人口拡大には一人用モードの充実が必要」という話を良く聞くのだと思います。実際にストーリーモードの充実などは一定の効果があると思いますが、格ゲー以外の要素を楽しんでもらうことで格ゲーの部分にも目を向けてもらおう、という取り組みだと思います。
 今回はもっと直接的な方法として、「好きなキャラを動かせること」「気持ちよく技を出せること」「良く分からないけど勝ったり負けたりすること」を目指す為に、テトリス99のようなバトルロイヤル形式が参考になるのではないかと思いました。

 前者二つの「好きなキャラを動かせること」「気持ちよく技を出せること」というのは、実はトレモに全て詰まっているんじゃないかと常々思っています。
 スト2ブームの時代は、波動拳などを出してみたいとかそんな分かりやすい理由で流行ったのだと思いますし、ハードルは上がりますがスト4時代もセビ滅が似たような役割を果たしていたと思います。そしてキャラゲーとして、格ゲーに様々なアニメや漫画のキャラを出すゲームも多くありました。
 後はトレモをやれば「好きなキャラを動かせること」「気持ちよく技を出せること」は完璧なのですが、実際のところトレモは練習であって、本番となる対戦のための苦行となっている人が多いと思います。

 おそらく、このトレモでちゃんと本来の楽しさを味わえないと、格ゲーを続けることは難しいのではないかと思っています。
 本当は誰でも楽しめる要素が詰まっているのに、ちゃんと楽しさを評価されないトレモは本当にもったいないと、常々思っています。とはいえ、トレモは目標を自分で決めなければならないので、ゲームとして誰でも楽しめるものでは無いのも事実です。
 そこで、初心者向けゲームの遊び方として、「良く分からないけど勝ったり負けたりすること」を明確に用意して、トレモのもったいない楽しさを遊びやすく抽出できないかと思います。


フィールドを分けながら、対戦している感を演出

 テトリスやぷよぷよなどと、格ゲーやFPSなどとの大きな違いのひとつは、フィールドが分かれているか否かです。つまり、テトリスというのは一対一のガチ勢の対戦だとしても、基本的にはフィールド内で一人用のゲームと同じことを行い、攻撃時に相手のフィールドへと影響を与える、というゲームになります。
 そうなると、駆け引きの中で自分がコントロールできるのは基本的に「攻撃するタイミング」と、あとは火力を出すためのリソースを溜めたり使ったりする、格ゲー的に言うなら「ゲージ管理」みたいなものになります。この例えの場合、テトリスはゲージを使わないと一切攻撃が出来ないことになります。
 ただし、リソースを溜めるために素早く適切に設置していく事、タイミングを見極めるために相手のフィールドを把握する事、これらにパズル的な知識と経験とセンスが必要なのがテトリスなどの対戦になります。

 このように、必要なタイミングに適切な行動が出来るようにリソース管理するためのパズルゲーム要素がある、という戦い方になります。
 火力が必要なタイミングにリソースが無ければ一方的に攻撃を受けてしまうので、特にスピード差が出やすいテトリスでは、上級者が相手も見ずに初心者をボコボコに出来てしまいます。
 多少タイミングがずれて初心者の攻撃を不意に受けてしまっても、ぷよぷよとは違ってテトリスは地形そのものは維持されるので、上級者の火力が止まりません。

 だからこそ、テトリス99では攻撃がフィールドに反映される時間を遅らせることで、攻撃タイミングによる駆け引きの影響を少なくしたり、一定以上の火力を無効化したりしています。特に初心者が多くいる序盤では、本当に攻撃が反映されるのが遅いです。
 こうなると、少なくとも序盤に関しては自分のミス以外で負けることはあまり無く、ほとんど一人用ゲームみたいなものなのに対戦っぽい感覚も味わえるゲーム、と言えてしまえます。

 つまり、フィールドを分けて、攻撃タイミングの影響を極力減らすことで、もはや対戦とは呼べないようなものの中で、それでも相手への影響が少しはあるので何となく対戦している感がある。
 これこそが「良く分からないけど勝ったり負けたりする」感を演出していると思います。
 これはテトリスだけではなく、現在は終了していますがマリオ35も似たような感じです。普通のスーパーマリオブラザーズのステージを遊びつつ、敵を倒すと他の人のステージに敵が増える、といったほぼ一人用ゲームなのに対戦している感を演出しています。

 初心者向け格ゲーにおいても、基本的にはトレモっぽい一人用ゲームなのに、何かしら相手への影響を与えることで対戦している感を演出する、というのが良いと思います。
 テトリスやマリオと違って格ゲーの映像を何十人分も表示するのはゲーム機の性能的に難しいので、フィールドが違うからこそ何かしらの簡略表示でも問題ないはずです。
 バトルロイヤル形式というとスマブラのような形を想像するのが普通だと思いますが、このようにフィールドを分けることで、コマンドやコンボといった格ゲー特有の部分を初心者が楽しめるようにしたいです。そして、それらの操作に楽しんで慣れることで、そのまま一対一の従来通りの格ゲーへの導入にもなります。


コンボが音ゲーと言われるなら、そのまま対戦にしてしまえば良い

 ここからは、具体的にどのようなゲームになるのかを考えていきます。あくまでひとつの例なので、ここまでの考えが合っていそうかどうかと、ここからの具体的な案が良さそうかどうかは、別々に考えていただけると大変ありがたいです。

 基本的に、コンボを楽しめるゲームが良いと思います。少しずつコンボを覚えて上達していく達成感、そして覚えた難しいコンボを手癖で出せる爽快感、これらを丁寧に初心者に楽しんでもらおうとする試みは、今のところあまり無いように思えます。
 スト5のトライアルのようなものを想像しても良いのですが、もっと徹底的に初心者向けにしていきます。最近のRPGでは親切に目的地が表示されて迷わないようになってるものがありますが、初心者向けに必要なのは「指示に従えばあまり考えなくても楽しめる」ことだと思います。
 テトリス99はルールそのものが分かりやすいので指示は不要なのですが、格ゲーのルールは複雑なので適切な指示が必要になってきます。

 そこで、よくコンボは音ゲーなんて言われていますが、ならば音ゲーとして初心者が遊べるゲームにしてしまえば良いと思います。音ゲー的な表示を出すことで、格ゲーの指示になるわけです。
 音ゲーは極めるのは当然難しいですが、ルールや操作自体は初心者でも理解しやすく、特にソシャゲなどゲームが苦手な人でも遊ぶようなものにもあります。そして、同じ曲を何度も遊んでいれば、勝手に覚えていき、ある程度までは勝手に上達すると思います。
 格ゲーのコンボの場合は、音ゲーよりも短時間でコンボが成功した爽快感を得られると思うので、操作に迷うことのない指示をちゃんとできれば、同じコンボを何度も繰り返すことで勝手に手癖になっていくでしょう。そうなれば、一対一の格ゲーに移った場合も、手癖になったコンボに意識を割く必要が無くなります。

 必要なボタンを表示するのももちろんですが、どんなに操作が遅くても絶対にコンボが失敗しないようにする配慮もします。音ゲーは曲を止めるわけには行かないのでミスがありますが、フィールドを分けたほとんど一人用の初心者向け格ゲーであれば、ボタンを押すまで待ってしまっても良いと思います。
 例えば昇竜コマンドの場合、テンキー表記で623なので、まず6を入力したらそれが分かるように表示して、次は2だと分かるようにも表示して、どんなに遅くても2が入力されるまで待つということです。ボタンのタイミングは後回しにして、まずはどのボタンを押すのかを覚えて、そして初心者でも確実にコンボが出来る易しいゲームになるわけです。
 操作が遅くても失敗や低評価ではなく、評価無しという扱いにする配慮もあるとなお良いです。

 もちろん、どのタイミングで押せば良いかも分かりやすく表示して、従来通りの格ゲーでも成功するタイミングで操作が出来れば高得点、音やエフェクトも気持ちよいものに変化、という感じです。コンボが上手いほどスコアが高く、そのスコアを競うというのが基本的なゲーム内容になります。
 また、指示は出来ればエフェクトなどを駆使して、キャラの上に重ねたりなるべく周囲に表示するなどが理想です。別のところに表示してしまうと、いろんなところを同時に見るというのも初心者には難しいかと思います。
 なんとか格ゲーのコンボをしている感を損なわないように、音ゲー的な指示が出せれば最高です。


飛び道具を処理しつつ近づいてコンボ

 コンボの上手さをスコアで競うというゲームが基本ですが、バトルロイヤル形式の対戦としても何かもうひと捻り欲しいです。それに、テトリス99やマリオ35のような対戦している感を出すには、対戦相手に何かしらの影響を与えられなければなりません。

 そこで注目したいのが飛び道具の処理です。飛び道具の処理は2Dアクションゲームである、という話をどこかで聞いたことがあります。ならば、お互いのフィールドが分かれていて一人用ゲームのような感じならば、この2Dアクションゲームとの相性は良いはずです。
 それに、普通の格ゲーで初心者が飛び道具の処理に困ることが多いですが、頑張って処理して近付いても相手が攻撃してきたり逃げたりしてしまうので、飛び道具そのものへの意識を欠いてしまう事も多いと思います。
 なので、初心者向けの格ゲーとして、攻撃も逃げることもしない目標へと飛び道具を処理しながら向かい、近付けたらご褒美として確実に成功するコンボが出来る、という遊び方なら飛び道具の処理のモチベーションも高くなると思います。そして、処理の仕方に慣れたら、従来の一対一の格ゲーでもその経験が役に立つはずです。

 また、コンボをしたら相手への攻撃として、相手のフィールドに飛び道具を出すようにします。つまり、開始直後は飛び道具が無いので初心者でも確実にコンボが出来て、コンボが終わったら自動的にコンボ対象が離れ、そして他のプレイヤーからの攻撃として飛び道具が飛んでくる、という流れになります。
 序盤は簡単なコンボをすることにして、コンボ終了時の相手への攻撃、つまりフィールドに発生させる飛び道具も弱いものとします。終盤になるにつれてコンボの難易度が上がり、それによって相手のフィールドに発生する飛び道具も強くなるようにして、初心者の目標をまずは中盤くらいまで生き残ることにします。
 テトリス99でもそうなのですが、フィールドを分けて相手への攻撃を時間差で発生させることで完全同期を避ければ、特に初心者に多そうなラグい環境の影響を少なくすることも出来ます。

 さらに、飛び道具に上段中段下段を用意して、そのガード方法を分かりやすく表示するなどすればゲーム性も上がり、従来の一対一の格ゲーに移った時にその経験が役立ちます。序盤は処理しやすい飛び道具しか発生しないので、初心者にルールを覚えてもらえるわけです。
 さらに飛び道具だけではなく、一撃で倒せる弱い敵なども用意して、見た目で上段中段下段や投げなど、どれで倒せるかを分かりやすくして、それらを処理しながらコンボ対象に近付くというのも良さそうです。コンボ対象自体も上段中段下段や弱中強などのどれをコンボ始動技にするかが状況やランダムなどで変わり、それによってコンボが毎回変わるようにします。
 飛び道具などもそうですが、初心者向けのゲームということで、必要な部分へのランダム要素は入れていくことで、毎回違った遊びにしていきます。

 基本的な初心者向け格ゲーの内容は以上になります。操作キャラ側の飛び道具とか、ワープ系の技とかどうするんだとかありますが、そういう細かいところは色々と対処法が考えられるでしょうし、とりあえずは置いておきます。
 大まかな方針から考えて行って、行けそうと思ったら細かいところは色々な人の意見を取り入れた方が、何かと上手く行くと思います。


初心者向け格ゲーにおける追加キャラの意義

 前述で話した通りの初心者向けバトルロイヤル格ゲーにおいて、追加キャラについて考えて行きます。

 まず、現状の格ゲーの追加キャラについて整理します。格ゲーの追加コンテンツにおいて一番盛り上がる要素は、間違いなく追加キャラだと思います。
 しかし、中には残念ながらせっかく追加したのにあまり使われなくなったキャラがいたり、キャラ対策が増えるからと好ましくない感情を持つ方もいます。
 それらを含めた上でも、結局はキャラ追加以上のテンションの上がり方をする追加コンテンツは、多くの人にとっては無いのではないかと思います。なんだかんだで、キャラ追加での盛り上がりは凄いです。

 ですが、今のキャラ追加はもったいないという気がしてしまいます。というのも、キャラを追加するために頑張って開発して一瞬の盛り上がりを見せたとしても、実際にそのキャラを使い続ける人は少数だからです。
 これはキャラ人気の有無などに関わらず、単純に格ゲーは使用キャラを少数に絞らないと思い通りに対戦が出来ないからです。
 格ゲーの開発は何の楽しさを作っているのかというと、各キャラを操作した時の楽しさだと思います。つまり、パッケージ代や追加コンテンツ代というのは、それぞれのキャラを操作する楽しさに対してお金を払っているはずです。
 にもかかわらず、キャラ対策の為に仕方なく全キャラにお金を出すという人も少なくないのが現状だと思います。もちろん、環境維持のためとか、長く遊んでるからお金くらい払わせて欲しいという人もいると思います。

 格ゲーはそういう文化だと割り切り、今回はそこに触れることはしません。
 ただし、多くの初心者に対しては、前述のバトルロイヤルであればなるべく無駄にしにくく出来ると考えました。どういうことかと言うと、ずっと同じキャラを使って極めて行くのではなく、ある程度の操作やコンボに慣れれば一位を取ることが可能になるというゲーム性にすれば、より多くのキャラで一位を取るというのが目標になります。
 こうなると、不慣れなキャラを始めて下位を取ることも当たり前となるので、他の初心者が比較的勝てる可能性の高いゲームになります。また、キャラを追加することが、すなわち新しい操作の遊びを追加することに直結します。
 好きなキャラが色々といる場合、どのキャラを持ちキャラにするかを悩む必要は無く、どの順番で遊ぶかを悩むという、アクションゲームのステージ選択のような感覚で遊べれば理想です。
 このために、キャラ毎の最高順位や、一位を取ったことのあるキャラの人数、十位以上を取ったことのあるキャラの人数、などの表示をして意識付けできればと思います。

 どの程度機能するかは分かりませんが、中上級者が触ったことのないキャラをちょっと試してみるためにも、この初心者向け格ゲーでトレモの代わりにちょっと触ってみるというのも良いと思います。


追加キャラを軸とした販売方法

 ゲームの良し悪しとは別の話になるので分けて考えて欲しいのですが、前述のキャラ追加の話を元に、どのように収益を上げていくかという話をします。

 基本無料で1~3キャラ程度遊べて、他のキャラも遊びたかったら有料という形が良いと思います。前述の通り、キャラを操作する楽しさがそのまま遊びの楽しさに直結するものを目指しているので、有料キャラがそのまま遊び方を増やすことに直結します。

 基本的にはこのような考え方ですが、従来の格ゲーの売り上げを伸ばすための販売方法も考えました。
 初心者向けバトルロイヤル格ゲーが基本無料なのは同じですが、そこに別の新作格ゲーのキャラを1~3人ほど無料で追加して、半分体験版のような形で遊べるようにします。無料キャラは無くても良いのですが、その後に新作格ゲーのパッケージを購入することで、そこで使用できるキャラ全員を初心者向け格ゲーの方でも使用できる、という形を考えました。
 つまり、新作格ゲーのパッケージをまるごと初心者格ゲーの追加コンテンツのような扱いとすることで、新作格ゲーの売り上げを伸ばすという方法です。
 元々、従来の格ゲーのグラフィックなどを流用して負担の少ない開発を目指しているので、ついでにと言うには手間が大きいとは思いますが、初心者にも向けて何とか背伸びして開発出来ないかという話です。

 また、初心者向け格ゲーということで従来よりは厳密なバランス調整が必要ではなく、プレイヤーごとにフィールドが分かれていてスコアを競うようなゲーム性なので、それぞれのフィールド毎の遊び方が違っていても問題ないと割り切ってしまう案もあります。
 これは少々強引かもしれませんが、このようにすれば別々の格ゲータイトルの別システムの上で動くキャラを、同じ対戦の場に立たせることも可能では無いかと思います。
 基本無料のひとつの初心者向け格ゲーに対して、新作格ゲーが出るたびにそのキャラを追加することで、高頻度でキャラが追加されるという状態を作り出すだけでなく、企業の壁を超えたあらゆる格ゲーの新作祝賀会場のようなコラボゲーになり、そしてひとつの格ゲーの中で常に人口が多いという状況も作れます。
 この流れが出来れば、キャラゲーとしての新作格ゲーも多く出やすくなる環境にもなるはずです。

 どこまで現実的に可能かどうかは分かりませんが、基本無料というのが最初にあり、できれば新作格ゲーの購入でキャラが増えるようにして、さらにできれば別タイトルや別企業のキャラも追加したい、と段階的に考えています。
 格ゲーは入るのが難しいから基本無料が良いという声も良くありますが、現状では既存ユーザーのパッケージ購入で最低限の収益を確保している面があり、基本無料は失敗したときに後が無いというギャンブル性があるので、従来の格ゲーとは別の場所で基本無料によるユーザー拡大を目指すのが良いのではないかと考えました。


しゃがみガードの可視化

 今まで話したような初心者格ゲーについての話でもありますが、従来の格ゲーでも感じていることをここでは書いていきます。

 格ゲーの操作は、パソコンのショートカットキーのようなものだと常々思っています。
 例えばコピペはCtrl+Cでコピー、Ctrl+Vでペーストで、操作を知っていれば手癖で出来るとても便利な機能ですが、パソコン初心者には分かるはずもありません。ただし、パソコンの場合はショートカットキーを知らなければマウスで右クリックして選択しても使えるし、それも出来なければ根性で同じ文章を打てば同じことが出来ます。
 それに対して格ゲーは、波動昇竜のコマンドなどを知らなければ出来ません。せめてマウスの右クリックのように、何をしているかの視覚情報がもっとあれば、だいぶ良くなると思います。

 様々なところで格ゲーの操作を可視化するのは大事だと思いますが、今回は特に重要だと思うしゃがみガードについて書いていきます。基本操作のひとつだから重要というのもありますが、パッド操作の正確な斜め入力が難しいというのが大きな理由です。
 初心者の多くが遊ぶ環境を想定すると、アケコンを用意するとはあまり考えにくいし、コマンド操作をすると指が痛くなりやすい十字キーも考えにくいので、パッドのスティックが多いと思います。スティックも慣れれば斜め入力も正確に出来るのかもしれませんが、初心者がすぐに正確な入力をするのは難しいはずです。
 コマンド操作なら難しいからと斜めが入らなくてもある程度は納得できますが、本来は簡単操作のはずのしゃがみガードすらまともに出来ない、というのは初心者にとって大きなストレスになるのではないかと思います。

 対策として、ゲームシステムそのものを変更して、しゃがみガードを廃止したり、ガードをボタンにしたり、というのも考えられるし実際にそういう格ゲーもあるかもしれませんが、今回はあくまで一般的な2D格ゲーの操作を基準に考えます。
 なぜかと言うと、例え初心者向け格ゲーとはいえガチ勢の慣れ親しんだ操作じゃないと上手く界隈に受け入れられにくいと思いますし、そもそもエンタメはあんまり合理性を突き詰めすぎると面白くなくなってしまう気がするので、何かしらの解決策がありそうなら伝統的な不合理は残した方が良いと思うからです。

 なので単純に、しゃがみガードの操作が出来ている状態を可視化するのが良いと考えました。もしかしたらそういう格ゲーが既にあるかもしれませんが、なるべくそれを標準化したいです。
 しゃがみガード状態で専用モーションになるのが一番分かりやすいですが、普通のしゃがみと同じモーションの現状では、しゃがみ状態での前入力などを隠すテクニックがあると聞きます。なのでそれが難しい場合は、エフェクトなどでしゃがみガード状態を表示して、オプションでオンオフ切り替えられるようにするのが良いと思います。
 元のゲームシステムそのものに手を加えていないので、可能ならば従来の格ゲーにも取り入れてみても良いと思います。それくらい、初心者のパッドによるしゃがみガードは重要だと考えています。
 出来れば、それ以外の入力の可視化もなるべく何とかしたいです。


終わりに

 今回、格ゲーについて思っていることを書かせていただきました。

 格ゲー自体は好きか嫌いかと言われれば間違いなく好きなのですが、どうしてもトレモを長く続けることが出来ない、格ゲーにわかの長文でした。対戦もせずに、短時間のトレモをたまにやるのが自分が楽しめる限界で、あとはたまに大会やアプデなどで盛り上がっている時に配信などを見る程度です。
 最近はアプデがあったので10分ほどスイッチ版の携帯モードでメルブラを触った程度だし、にわかも良いところです。でも格ゲーを嫌いにも無関心にもなれないのは事実なので、こういう関わり方でもしょうがないと割り切ってしまっています。あまりプレイはしないのに、アプデ情報とかはつい追ってしまうんですよね。
 スト6のゲージシステムも前情報を見る限りでは凄く良く練られていて、やべえやべえとテンションが上がってしまうような感じの格ゲーにわかです。

 スマブラは結構プレイするのですが、結局こちらも最近は対戦を全然せずに、コンピューターとしか戦っていません。あんまりひとつのキャラを極めようとするよりも、そもそも色んなキャラの操作を楽しむという遊び方もあると気付いてしまい、浅く多キャラを使うような感じです。
 浅くと言っても、技の性能をそれなりに理解してそれなりに使い分けられるようになれば、普通の一人用ゲームの基準から考えたら十分遊び倒した内に入るのではないかと思ってしまっています。
 そのような遊び方に特化したのが、今回考えた初心者向けバトルロイヤル格ゲーです。自分が遊びたいゲームを考えた、とも言えます。

 今回はテトリス99を参考にしていますが、元からバトルロイヤル形式にすればどんな対戦ゲームも初心者向けになりそうという考えがあり、その上でテトリス99は初心者向け対戦ゲームの完成系を見た思いでした。
 もしかしたら他にもあるかもしれませんが、特に、フィールドを分けることで他者からの影響をゲームシステム側である程度コントロール出来る、というのが本当に良いです。

 テトリス99では4列RENという組み方が他のテトリスより仕様に恵まれていて明らかに強いというのはありますが、スト4のセビ滅みたいに初心者を引き付ける分かりやすくて有名な技はむしろありだと思いますし、そもそも4列RENが出来るほど強い人がそんなに多いわけでもないので問題ないと思っています。
 ぷよテトで現状では最強と言われているTD系とDPCという組み方に比べれば試しやすいと思うし、テトリス99での4列RENは適度な上達の目標になるはずです。他のテトリスでも、テトリス99ほどじゃないにしても4列RENは結構強いので経験が生きるというのも大きいです。
 また、テトリス99が出たころにはTD系が流行っていなかったので偶然だとは思いますが、このTD系とDPCがテトリス99では強くないというのも初心者に良い環境となっています。開幕テンプレとパーフェクトクリア(全消し)を弱くしようというテトリス99の方針が、そのままTD系とDPCにダイレクトにぶっ刺さっています。

 最後に格ゲーの話に戻りますが、格ゲーはキャラひとりひとりがかなり作り込まれていて、映像作品としても遊び道具としても素晴らしいものが多く、それだけに多くの人が手に取りやすいわけじゃない現状が本当にもったいないと思います。
 その原因は、とにかく一対一ではどんな対戦ゲームでも、あのポケモンでさえも初心者向けじゃ無くなってしまうからだと考えています。その上で、格ゲーは一対一以外の遊び方をあまりされません。
 格ゲーもバトルロイヤル系を模索した歴史もあるようですが、なかなか上手く行かなかったようです。なので、今回はテトリス99の成功例をなるべく格ゲーに当てはめて、新たなバトルロイヤル系格ゲーを考えてみました。

 以上になります。最後までお読みいただいてありがとうございました。

※ぷよぷよも考えました

※今回の補足的な内容のつもりです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?