2019年朝鮮半島情勢を展望する

2019年朝鮮半島情勢情勢を展望する

 毎年行われる金正恩委員長の新年の辞。昨年の朝鮮半島情勢「激変」の影響もあって、多くの専門家たちが各々持論を展開している。しかしながら、朝鮮の歴史、朝鮮人民の感覚を知らずして、金正恩委員長の新年の辞の意味することろは到底理解し得ない。実際、少々的外れな憶測が飛び交っている。
 では、朝鮮人民の感覚を理解した上で、2019年新年の辞をテキストとして、朝鮮半島情勢を展望すると、どのようなことが見てくるのか。
 金正恩委員長の2019年新年の辞において、核心的部分は以下のフレーズである。
「不正義の挑戦をはねのけていくわが人民の不屈の闘争によって、わが国家の自強力は限りなく育成され、社会主義強国へと向かう足取りは、さらに早まっている。」
 2018年は、北・南首脳会談が3回も行われ、結果、朝鮮半島には「実質的終戦状態」が招来され、朝鮮半島平和の強固な礎が築かれた。また、地球上もっとも敵対関係に置かれている朝・米が歴史上初の首脳会談を開催し、両国の新たな関係構築への幕があがった。このような世界史に特筆されるべき出来事がなぜ起こり得たのか。
 本音では朝鮮半島の平和と繁栄を望まない「保守陣営」は、この大きな人類史(民族史)の必然的流れをくい止めようと命がけの抵抗を試みた。日・米をはじめとする国連の朝鮮に対する「経済制裁有効論」を唱え、追い詰められた朝鮮が非核化要求を受け入れたのだと主張する保守言論。それらの内容が、「朝鮮経済破綻論」、「文政権不支持論」などであろう。また、アメリカの保守原理主義者たちも、どうにか朝・米共同宣言の履行を阻止すべくあの手この手をくつしている。日・米・韓の保守陣営が結託し、朝鮮半島の緊張状態を維持しようとしている。
 このような保守勢力との戦いを誰が主導し、そして、誰が、その勢力らに決定打を与え、そして、朝鮮半島の大多数の人々が渇望する平和と繁栄の礎を築き、そして、その構築を支持する客観的諸条件を築きあげたのか。その主人公がまさに朝鮮労働党と朝鮮人民である。
 新年の辞では、「2018年は、わが党の自主路線と戦略的決断によって対内外情勢において大きな変化がおこり、社会主義建設が新たな段階に突入した歴史的な年であった」と指摘しているのは、まさにそのことである。
 振り返れば、2012年の所信表明、2013年3月の並進路線宣布、2014年の新時代教育革命、そして、2017年11月29日革命(核抑止力の完全装備)、その結果として、2018年4月の並進路線勝利宣言および新たな戦略的路線の提示と、朝鮮は、情勢変化によって政策を変更しているのではなく、己の政策によって情勢を変化させてきた。そして、現在に至るのである。このことを朝鮮人民はあまりにも正確に把握しているがゆえに、2019年の情勢を非常に楽観的に、自信に満ちて、展望しているのである。
 新年の辞において、経済強国建設や文明国家建設の課業について詳細に提示し、社会主義を崩壊させる主たる要因を内部に潜む官僚主義であると焦点化させ、党員・幹部たちの要求性をいつになく吊り上げ、人民たちの利益を最優先・絶対視する姿勢には、自強力という「万能の宝剣」を所持している朝鮮の自信が垣間見れる。おそらく、朝鮮は、2018年4月総会で打ち出した科学教育事業における革命的転換の思想に基づいて、人材育成に国家的投資を集中し、「人材の海」をもって、自強力をさらに増強させ、自己の工程表どおりにことを進めていくとことであろう。
 最後に、北・南関係、朝・米関係、朝・日関係であるが、金正恩委員長は新年の辞において、相当「暖かい言葉」を述べている。とりわけ、南に対しては、無条件で、対価に関わりなく、開城工業地区と金剛山観光を再開する用意があるとした。まさに、南の政権に対する助け舟であろう。南の保守勢力さえも民族の平和・繁栄の大路へと導く朝鮮の懐の深さとしか説明のしようがない。北・南関係は今後、アメリカや保守連合の邪魔さえなければ、順風満帆に進むことが予測される。
 では、朝・米は如何に? 朝・米問題は朝・日問題と連動している。朝・日は、朝・米が動かなければ決して動かない。したがって、朝・米関係がキーとなる。新年の辞で金正恩委員長は、「6.12朝・米共同声明において明らかにしたように、新世紀の要求に応じ、両国間の新たな関係を樹立し、朝鮮半島に恒久的な平和体制を構築し、完全な非核化へと進むことは、わが党と共和国政府の不変的立場であり、私の確固たる意志である」と述べた。この発言には、対等な主権国家どおし新たな関係を構築しようとの前提が存在しており、6.12共同宣言採択以降、一度も核・ミサイル実験を行わず、約束を守り、信義誠実を貫いている朝鮮の道徳的勝利をも垣間見れる。確実にボールはアメリカが持っている。アメリカが朝・米共同宣言を履行すれば、朝鮮は平和協定を締結することなり、履行しなければ、朝鮮半島での戦争を望むものが誰なのかが世界の面前ではっきりとするだけのことである。そのような意味で、アメリカの選択肢は非常に限られているとしか言いようがない。
 以上、2019年朝鮮半島情勢を展望する一視点を提供した。客観的情勢よりも、主体的力量を最重視する朝鮮であるがゆえに、朝鮮半島情勢は、朝鮮労働党の政策をより深く研究するところにその科学性が担保されということを最後に記しておく。

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