見出し画像

「▶︎続ける」「▶︎耐える」以外のコマンドを増やす

辞めフェチというか、物事の終わりフェチというか。辞めるの好きだなと思います。特に仕事。石の上にも三年、継続こそ努力、みたいな節はまだまだあるし、事実でもあるし。真面目な人からしたら、とんでもないことを言ってるように聞こえるのかもしれない。仕事なんか特に、辞めたらその後どうすんの?だし、待ち受ける就活とかだるいし…。

でも、思い出してほしい。学生の頃にバイトを辞めると決めて、勇気を出して店長やらに伝えて、最後の出勤を終えた日の、肩の軽さを!次は何しようかなーと、夜な夜な求人を巡回する日々を!面倒くささや不安はあれど、なんだかんだ新たな出会いにワクワクしている自分に気づいてみると、少しは楽しくなってくる。(ちなみに私はバイトをしこたま辞めてしこたま始めた。学生の特権といわんばかりに。)

などと、「続ける」ことばかり良いとされる世の中で「辞める」ススメをしてみる。でも最近はそうでもないか。転職の時代だし。

もちろん、続けた方がいいこともある。私だって小・中・高・大、辞めなかったし、剣道も8年続けたし(辞めようとした。周りの人たちのおかげで続けられただけ)。大学でプラスαで履修した教職課程も辞めなかった。でも、それは「学校」という閉鎖的な、守られた世界でのお話。そしてそんな世界で、属していた集団がたまたま善良で、理不尽な目にも遭わず、運が良かっただけのお話。

が、はたまた社会に出ると、カオス。穴があくほど求人を見たとて、実際に働いてみるまでは、その職場が、会社がどんなもんか分からない。つまり博打。賭け。さらには各方面からいろんなタイプの理不尽が降りかかってくる。もちろん運もある。でも、学校に比べて運で左右される要素が、不確定要素が多すぎる!だから、箱の中身を開けてなんか違ったら「やっぱい〜らない。はい次、次〜」でいいと思うのだ。働き口はたくさんある。

でも、そうはいかないのも現実。働かにゃあ食えない事実、経験や職歴がものを言う就活市場で、採用されるか否かの恐れ。それに伴って、履歴書テトリスに説明できない空白や歪みを生みたくないプライド。その全てが逃げ道に霧を発生させる。その霧が、一寸先も見えなくして、私たちをがんじからめにする。

そんながんじがらめの闘争と向き合ったり、逆に「逃げてるんです」などと言いつつも、なんだかんだ闘っている人たちはいっぱいいる。すごくカッコいい。そして、何かを継続したり、何かに耐え忍んだ経験のある人たちは、その後の人生においても「▶︎続ける」のコマンドが表示され続ける。そしてそのコマンドは、いつしか「▶︎耐える」に変わったりする。ここで「継続なんてしたことがない」という人も、自分で自分を辛抱強いと思っていなくても、生きているだけで、みんな何かに耐えている。耐えることは決して簡単なことではないが、誰しもが、様々な場面で何かに耐えている。

でも、逃げたことがなかったら。きっと、経験した数だけコマンドが増えるから、どんなに辛い状況でも「▶︎逃げる」「▶︎辞める」のコマンドはなかなか表示されず、「▶︎耐える」ばかりを選択し続ける。または「逃げるな」という社会の抑圧から刷り込まれた価値観が「逃げる」という選択肢をないものにしている。そして、充電が切れたりして強制終了、みたいなこともあり得なくない。

もちろん生まれ持ったタフさで「▶︎耐える」を選択し続けて、経験や知識をどんどん積み重ねていく人もいる。というか「▶︎耐える」なんて端からなくて、選択肢が「▶︎学ぶ」「▶︎挑戦する」とかの人もいる。それは本当に羨ましいし、素敵なことだ。ただ、それも運。たまたま私はそうじゃなかった。たまたまあの人はそうだった。そんなあの人も、かつてはコマンドがネガティブなものだらけだったかもしれない。これから充電切れを起こすかもしれない。私が知らないだけで、既に過去に充電が切れていて、ちょうど今はフルパワーなだけかもしれない。

人のバッテリー事情はもちろんのこと、自分のバッテリー状況ですら、把握するのは難しい。そして、その容量はほんとうに人それぞれ。優劣でも何でもなく、顔や性格が違うのと同じような個性のひとつ。しかも、同じ人間でもその時々で変わったりする。だからこそ、1度は「逃げる」もして「▶︎耐える」「▶︎逃げる」両方のコマンドがあることが健康的だなぁと私は思う。そんなこと、私や他の誰かに言われなくても、図らずしもみんなそうなっていって、バランスが取れていくのかもしれないが。かくいう私も、その途中。

まさに今「▶︎耐える」のコマンドしか表示されなくて、辛い思いをしている人がいたら。それはあなたが今まで頑張ってきた証拠だよと言いたい。そして、今こそ「▶︎逃げる」をしてみてもいいんだよと言いたい。ここで逃げたらこの先の人生もずっと逃げそう、なんてのはたぶん杞憂。今よりずっと軽やかに、素直に選べるようになるだけだ。

それに、辞めることに責任を感じる必要もない。人が1人辞めて困る職場は、この世界のどこにもない!あるとすれば、今はただ、首の皮一枚で繋がっているだけ。そのうち潰れる。そのときは、早々に見切りをつけて、部外者として、潰れる様を遠巻きに見てやりましょう。

つまり、辛いなら辞めよう!もちろん、辞めることを辞めるのも賛成!辞めなきゃと思えば思うほど辛くなる時もあるから、そこからすら、逃げてみるのもアリだ。でも家に帰ったら好きなことをしろーっ。いや、何もするなーっ。とにかく、各々、楽な体勢を受け身にして、心と体がマシになるほうに転がれーっ。

▶︎目をつぶる
▶︎夕陽に向かって走る
▶︎踊る
▶︎寝る

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?