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TAR TAR してんじゃねーよ

日記

・起きて、タラタラして、玉ねぎとひき肉を炒める。

・最近になってようやく料理中に味見をするようになった。前までは味のネタバレになるからと、お皿に盛って箸をつけるまでは一切口に運ばないようにしていた。ただ、やっぱり味見をすると修正が効くので、慣れていない料理でも成功率が格段に高くなる。それに、味見をした時点で失敗に突き進んでいると感じたら路線を変更して仕切り直すこともできる。

・当たり前のことを書いているけど、意外と味見の重要性に気づいていない人は多いと思う。味の管理能力は味見をして料理に修正を加えていく作業の中で養われていく。今、私はちゃんとめちゃくちゃ普通の話をしているという自覚がある。自覚があった上で書いてる。大丈夫。「普通のことだけど、だからなに?」という気持ちで書いてる。


・昨日届いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(毎回中黒の多さにビビる)のBlu-rayで飛ばし飛ばし好きなシーンを見返した。好きな映画だから円盤で持っておいてもいいんじゃないかと思って、数日前の夜中にAmazonで衝動買いした。WOWOWで放送されたときの録画が残っていたと気づいたのは昨日のことだ。

・「ワンハリ」は本当に一番好きな映画と言っても過言ではないから、ちゃんと時間を作って観直したい。ドでかいスクリーン貸し切って観たいよなぁ。


・『TAR』という映画を観た。世界最高峰のオーケストラで指揮棒を振り、時代の寵児として音楽の世界に生きるリディア。しかし、創作者としての悩みも、家庭での悩みも尽きない日々を送っていた。そんなある日、彼女が過去に指導していた生徒が自死したことがわかり、その責任を追求されたことから足元が崩れはじめる……というお話。

・派手な映画ではないものの、常に空気がシンと研ぎ澄まされていて画面に吸い込まれそうだった。正直、音楽の専門用語とかオーケストラ内の政治とかは全然わからなかったけど、凄みだけは感じることができる。すごいバカな感想だ。凄みの映画。セリフだけで進んで、説明らしい説明もない作品なのに、飽きずに引き付けられてしまうのが不思議で仕方ない。

・リディアの名誉男性的な振る舞いとか、上に立つ人間なのに業界の問題に向き合おうとしない態度とか、細かい「ん?」を積み上げてキャンセルカルチャーという壁を作っていくのが見事だった。誰が見ても悪人というわけではないし、誰が見ても善人というわけでもない。シーンごとでも観る人によってリディアの言動がアリかナシが分かれると思う。現実に生きている人間にカメラを向けたようなゆらぎ方をしているので、よくこれを演じられたなと感嘆した。

・そして、ラストシーンの意外さ。これはもう「意外」という言葉を使うしかない。どうやったらあのオチを思いつけるんだろう。ラストシーンのこともそうだし作品全体のことを、音楽に詳しい人も詳しくない人も含めて円になって語り合いたい。


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