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画面の向こうのアフガニスタン/②パコール


アフガニスタンを代表する帽子

ミリタリーでないアフガニスタン報道でも登場する天板が平たく巻き込み部分があるエリンギめいた帽子がパコールになります。これ一つでぐっとアフガニスタンらしくなるアイテムです。
現地の方々は巻き込み部分にこだわりがあり、膝に天板をひっかけて巻き巻きしたり、端切れを巻き込んでボリュームを出したりしているのが複数の和書で確認できます。

ムジャヒディンのアイコン

この民族帽が一躍有名になったきっかけは、ソ連のアフガン侵攻に立ち向かったムジャヒディンです。書籍では、元々はヌリスタンの伝統帽でヌリスタンが反ソ闘争を苛烈に遂行したので他のムジャヒディンもあやかって流行した説が紹介されます。真偽は不明です。
ムジャヒディンのアイコンとなったため、カミース同様にアフガニスタン以外のサラフィージハード主義者がなにかデザインがちがう煙突みたいな御当地パコールを着用しています。
加えて、1990sのタリバン運動はラバニに代表されるムジャヒディン勢力へのアンチというのが立ち位置です。このためこの時代のタリバン戦闘員はパコールを着用することはまずありません。タリバン政権時代の軍事パレード動画を見ると参列者や参加者の頭にパコールは皆無です。また、柳田大元さんの手記「タリバン拘束日記 アフガン潜入から拘束、解放までの26日間」では北部同盟の検問所を通過する前にターバンを解いてパコールを被り、通過するとターバンを巻くタリバンが描写されます。第一次タリバン政権崩壊後には、タリバン戦闘員も着用するようになるので一個あるとなにかと便利な帽子になります。

装飾性が高いパコール

天板のひらひらがすごく大きかったり、天板に派手な刺繍があるパコールが2010年代以降は見受けられます。ミリタリア的には刺繍の着用例は皆無ですが、ひらひらしているのは散見されます。ポピュラーとは言い難いのでコレクション以外では避けたほうが無難です。


ナジブラーバッジがチャームポイント
刺繍入りパコール。ストールで頬かむりする着こなし

レプリカ?それとも実物?

まともな出来のレプリカは国内にないので、実物一択になります。
アフガニスタンでないイラクやシリアの装備であれば、パコールという商品名だけど形状がおかしいパコールであればレプリカが再現に使用できます。
カミースの記事に掲載したショップで実物は入手できます。

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