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~おいちゃんへ~

そっちでも元気にしてる?

おいちゃんは運転が上手で休みの日に
でっかいトラックの助手席に乗せてくれてたよね
ちょっとした坂道のふわんとなるあの道
あたし達が喜ぶからあの道通ってくれてたでしょ?
時々あの道を通ると思い出すよ

私が就職で県外に出て
初めておいちゃん宛に送った荷物覚えてる?

「ありがとう」
自分は両親も血のつながった兄弟もいないから
初めて自分宛に届いた荷物だと喜んでくれた

中身は何でもない
お菓子とカップ麺だったのに

私の身近な人の中でいなくなったのは
おいちゃんがはじめてだった
人が亡くなるという現実が
受け入れられなかった

棺に横たわるおいちゃんに
近づくことができなくて
お葬式の日も恐くて仕事に行った
その場から逃げた

小さくなった夜
会いに来てくれたんだよね
真夜中、こっそり開いたドアは
おいちゃんだったと思ってる

ごめんね
最後にさよならもできなくて
近づくことも顔をみることもできなくて

一緒に乗ってくれた遊具覚えてる?
娘さんとは乗らなくてあたしと乗ったやつ
すごく楽しかったよ
父と遊ぶことがなかったから
幼いあたしはお父さんのような存在だった

あたしは運転が下手すぎるから
教えてもらいたかったな

麦チョコ食べながら
チャッピー抱いてる姿が浮かぶよ
今でもどこかにいるような気がしてる

楽しい思い出をありがとう


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