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17 マブイのお話 石垣島行きの飛行機から 赤塚さんへ

17 石垣島行きの飛行機から 赤塚さんへ

赤塚さん、石垣島からお手紙ありがとう。そして、私も赤塚さんやみなさんがおられる石垣島へ向かう飛行機の中にいます。

赤塚さん、昨日送ってくださった動画を見て私すごく驚きました。赤塚さんの乗った飛行機の窓のそとに、雲のような竜が、いいえ、竜のような雲が、いいえ、まさしく竜のような竜が一緒に石垣島へ向かって飛んでいたのですもの。

まるで、早くおいでと竜が使いをよこして、赤塚さんたちを道案内してくれているようでもありましたよ。

石垣島! ずっと行ってみたいと思いながら、でかける機会のないままでした。羽田から3時間。ようやく行けます。赤塚さんやみなさんのおかげです。
あのね、石垣島に行ってみたいなと思ったのは、前に風車祭(カジマヤー)(池上永一)を読んだことも大きかったと思います。赤塚さんこのお話をご存知ですか? 直木賞候補にもなったそうです。

風車祭(カジマヤー)とは、お年寄りが数え年で97歳になったときに、お祝いする行事のこと。真っ赤なお洋服を着たお年寄りが色とりどりの風車を飾ったオープンカーに乗って、長寿を祝われるパレードをする祭りだそうです。
この物語にはオバァが出てきます。フジさん。そして、ご家族や豚。みんなみんなすごく個性的な人々。
フジさんは、とにかく、カジヤマーを目指して生きています。笑ったり泣いたりして、お年寄りを大切に思ったり、地面にしっかり足をつけて生きるということも、みんな素敵なのです。その中で、すごく心惹かれたのが「マブイ」でした。石垣島だけでなくて沖縄全部に共通するのかもしれませんが、「マブイ」という魂のようなものがお話に出てきます。沖縄の人間は、何かの拍子に、ひょいと生きているときに「マブイ」を自分の身体から落としてしまうことがあるそうです。「マブイ」をなくした人間は、お水をすごくたくさん飲むようになり、段々弱っていき本当に命をなくしてしまうのです。そんなときに、命を守るために働く沖縄の巫女・ユタさんが出てきます。
そんなお話が日常にある石垣島。ああいいなあ。いいなあ。きっと私がいつも思っている大きな存在、サムシング・グレートの中でみんなとつながりながら生きることを教えてくれるような気がしたのです。
赤塚さんのお父様のことを私、何度も思い出しました。と言っても生前お会いできたわけではありません。赤塚さんと生写しのお顔の写真を拝見して、赤塚さんのお話を伺っただけです。

赤塚さん、私はずっと今、映画を作っているから、映画のことをよく考えています。村上和雄先生の映画なので、先生のおしゃべりしておられる動画を何度も見ています。
先生は死についてもお話されてるのです。死なない命はないと。先生はよくおっしゃっていました。「かっこちゃん、死を恐れる必要なないよ。誰でも死ぬんだ。誰でも生まれる。誰でも死ぬ。その当たり前のことを自分だけ逃れられるはずがない。でもね。死ぬにはきっかけがいるんだよ」と。事故や病気もそのきっかけにすぎないのでしょうか? まだまだ大切な誰かが亡くなると、寂しくて仕方のない私がいるので、なかなかそんなふうには思えないけど、マブイをうっかり落としたみたいな感じで、バイバイって言えたらいいな。
赤塚さん、赤塚さんは、1/4の奇跡の映画上映のときに、たくさんの赤塚さんのお友達が集まられたことや、出路ちゃんの素敵なエピソードは「みんなおやじからのプレゼントやったんや」って言っておられましたね。私はそんなふうに感じられた赤塚さんとこうしてつながっていられることが、また大きなお父様からの、そしてサムシング・グレートからのプレゼントのような気がしているよ。

石垣島ではうっかりマブイを落とさないようにしなくちゃ。待っててね。もうすぐつきます。

かつこ

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