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101 聖書の中の脳科学 赤塚さんへ


赤塚さん 小松でのウクレレイベント、本当にありがとうございました。こんなに幸せな時間があるでしょうか?
大切な大好きな仲間と、ひとつのことをずっと一緒に頑張って、その時間を含めてライブの時間も楽しむ。
これも赤塚さんが最初に、ライブに出る? と言ってくださったことから始まりました。ありがとう赤塚さん。
遠いのに、お忙しいのに、本当にありがとうございます。

赤塚さん、『宇宙の約束』の原稿をありがとうございました。私はそのあとの文も書き続けています。
そもそも、聖書に書かれたことが、実はサムシング・グレートと矛盾しないのではないかと考えるようになったのは、赤塚さんとの最初のイスラエルの旅のあとからでした。

何度も『魔法の文通』でも書いているように、自閉症のお子さんたちが揺れ続けたり、回し続けたり、回り続けるのを見て、どうして、そんなことをするのかなと思っていた私が、イスラエルの嘆きの壁で揺れながら祈っているみなさんを見たときに、一緒だ!と感じたことが始まりでした。
それから脳のことを考えるようになったのです。

赤塚さん、脳のことを調べるうちに、私は脳のことを考えるのが面白くてたまらなくなっていったんです。

人間が他の動物と違うのは、人間は大脳新皮質がとっても大きくなって、その大脳の部分とそれから原始脳というか脳幹の部分が2つ働いていると言うことだと思います。
大脳の部分で考えることは意識的なことで、それから原始脳というか脳幹の部分はサムシング・グレートとつながれるというか、無意識な部分です。
私たちの脳はとてももろいのですが、安全装置が働いて、ちょうどよく働くようにできています。
もしその安全装置がうまく働かないと、例えば、精神的病、たとえば二つの場所の統合がうまくいかない統合失調症、それからパーキンソンとかで、意図した運動ができなくなって、人が運動できないというようなことなどが起こります。

私たちは昔から、その安全装置を緩ませることにあこがれを抱いてきたのだと思います。音楽や絵、芸術など素晴らしいものを作りたい人や、しっかりとサムシング・グレートとつながって、予知能力を得たいと思う人もいるかもしれません。それから、やはり、神様とつながれることは、心地よい安心感が得られるのだと思います。
嘆きの壁の前で揺れ続けたり、自閉症の方が揺れ続けるということは、その安全装置を緩ませることにつながるのだと思います。だから、自閉症の方は、未来や過去の曜日がわかったり、一度聞いただけの音楽をピアノで弾けたりというような才能を持っている人がおられるのですね。
赤塚さん、宗教でよく「修行」が行われます。どうして修行をするのかなとずっと思っていました。
そして思ったのは、おそらくは脳の安全装置を外そうとしてると思ったのです。
安全装置を外すことで動物のように、サムシンググレイトと直結していろんなことがわかるようになりたいっていう思いがあったり、素晴らしい芸術を表現したいという心が人間に働くのだと思うのです。
人はその方法を昔から知っていました。滝に打たれたり、苦しい坐禅をしたりとか、苦しい修行をしたり、あるいはシャーマンが幻覚植物などを使うのもそうだと思います。
沖縄のユタというシャーマンがいます。ユタになるには、厳しい修行があります。そのときの脳の中がどうなっているか研究された方がおられるのです。
修行になぜ苦しみが伴うかというと、そういう修行を行うことで、脳の中にシナプスがこう伸びて、脳幹、原始脳と直結しやすくなるんですけど、その行為はとても苦しくて、一番苦しいのは、幻聴や幻覚が見えることだそうです。怖いもの、たとえば魑魅魍魎(ちみもうりょう)が見えたり、それからありもしない自分を殺そうとしてる人がいるとか、いろんなことが感じられてしまうそうなのです。
ところが、その過程を通り抜けて、しっかりとシナプスが伸びてしまうと、その苦しみというのがどうも少なくなるようで、簡単に予言ができたり、素晴らしい演技ができたりするようになるそうです。
赤塚さん、私がすごく面白いなと思うのは、聖書とか、それからイエスやブッダのことを考えた時に、聖書などに、そのことがちゃんと書かれてあるのがすごいなと思うんですね。
例えば、イエスは荒野をさまよって歩き続けました。40日間もご飯を食べないでいました。おそらくは、脳の中で大きな変化が起きていたと思います。そして、その時にサタンが現れて、3回も試されます。
一度目は「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ」と言われるのですね。イエスは「人はパンのみで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きると旧約聖書に書いてある」と言うのです。
次に、イエスをエルサレム神殿に連れ出して、屋根の端っこに立たせてサタンは「神の子なら飛び降りたらどうだ、詩編に『神はあなたのために天使たちに命じると、あなたの足が石に打ち当たることがないように、天使たちが手であなたを支える』と書いてあるだろう」とそそのかすのですね。そのときイエスは「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」というのですね。そしてそのあともまた高い山では、世界が見えるところで「もし平伏して私を拝むなら、これをみんな与えよう」と誘惑するけれど、イエスは「退けサタン」と言います。そのあと、イエスはしっかりと軸作が伸びて、大きな力を得て、伝道活動が始まります。
 脳のお話とぴったり合致することにびっくりしました。それで、ブッダはどうなのかと思ったらやっぱり同じなんですね。
インドではそのころ、やはり、苦しみや痛みに耐えることで、悟りを開き、真理を知ろうとする修行が行われていました。
ブッダはどうしたら、人々が苦しまずに平和で幸せに暮らせるのかを知りたいとずっと思っていたのです。それを知るためにさまざまな修行をしたのですね。
イエスと同じで、脳のお話にもここでも、ぴったり合うのが、赤塚さん、私にはやはり面白くて仕方がなかったのです。
ブッダはやはり、何日間も断食をしたり1日中片足で立ち続けたり、太陽を裸眼で見続けたり、土の中に体を埋めたりということも自らしたのです。けれどどれだけ修行をしても、悟ることができず、ブッダは苦行は無意味だと思うのです。
けれど、おそらくはこのとき、ブッダの脳の中には、軸先が伸びていたと思われます。
そのあと、ブッダは「極端にかたよっては真理に到達することはできない。中道を歩むことが大切だ」と、苦行から離れることになります。
そして、菩提樹の下で、「我れ正覚(しょうがく)を成ぜずんば終(つい)に此(この)座を起(た)たず」(悟りの境地に至るまで決してやめない)と決めて坐禅を組み続けました。そのあいだに、何度も悪魔が現れ、ブッダは「煩悩」に苦しめられました。でもついに悟りの境地に至って、その後は、インドを旅しながら悟りを説いて回りました。
 赤塚さんどう思われますか? 違うのに全く同じなのです。
ムハンマドはどうだったのだろうと思ったのです。そして、こんな記述を見つけました。
『脳のなかの倫理 : 脳倫理学序説』
マイケル・S.ガザニガ著 ; 梶山あゆみ訳
紀伊國屋書店, 2006.2 Gazzaniga, Michael S.  The ethical brain 2005
……*……
第9章 信じたがる脳 側頭葉てんかんと信仰(P.213-220)

神経心理学の成果からもわかるように、私たちが好むと好まざるとにかかわらず、特定のこころの状態を生み出すのにとくに大きく関与する脳領域が存在する。たとえば言語の処理は右脳より左脳で、また後頭部より前頭葉で行われる。信念体系の場合も、関与の大きい脳領域がある。私たちは人生の本質について物語を作ろうという性質を持っていて、その物語を生み出すのが左脳の解釈装置だ。

左脳の解釈装置を理解する上で分離脳患者が手がかりになったように、別の脳神経疾患や異常からも心の働きに光が投じられてきた。なかでも、側頭葉てんかんと呼ばれる疾患のの患者は、物質としての脳と、そこから生まれる「心」がどのように相互作用しているかを教えてくれる。
(中略)
てんかん発作を経験したと見られる著名な宗教家はいる。そのひとりが、イスラム教創始者のムハンマドだ。ムハンマドが神の啓示を受けるときにしばしば経験した幻視や幻聴や感情は、てんかん発作に伴うものとよく似ていた。しかもムハンマドは「脳のまわりの液体が多すぎる状態で生まれ、子どもの頃はひきつけを起こした」と言われる。このひきつけが、てんかん発作だったのかもしれない。
……*……
 私はそれから、歴史に書かれたものは、ただ書いたのではなくて、本当のことに基づいて書かれてあるのだと一層思うようになりました。
 赤塚さん、そう思うと、聖書の中のひとつひとつの物語は、サムシング・グレートを広くしっていただきたいと思っている私にとって、どんな意味があるのか、すごく知りたいと思うようになっていったのです。
赤塚さん、このあいだお友達がお葬式に行って、かっこちゃんに言ってること、これだなと思ったって言ってくださったことがあったのですね。
それはこう、波のようなお経をずっとこう聞いていたりとか、鐘の音、チンチンチンって音を聞いたりとか、あるいはそういったお線香の香りとかを嗅いでいると、不思議な気持ちになってきたそうです。おそらくは、安全装置が少し緩んだ状態になったのだと思います。
そういうことを私たちは脳科学みたいなことを何も知らないうちからみんなわかっていて、そういったことを世界中のあちこちで知っていたり、歴史の本にも書かれてあるっていうどころか、本当にすごいなって思うのです。
 今度の旅はどんなことを考える旅でしょう。すごく楽しみでなりません。

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