見出し画像

【おはなし】古書店の知恵

今回は古本屋さんに行った時に実際に体験したお話しです。

少し前、普段通らない道通ったら古本屋さんがあったんです。「Googleマップに乗ってない本屋さん」ってだけで誰も知らないこの街の秘密を見つけたようでした。今度行こうと思いつつなかなか行けず、先日ようやく行けました。
足を踏み入れた瞬間、物語の中に飛び込んだかのような気分に陥りました。

ひとつ。古本屋の価格設定に驚きました。値札が古びていて、ほぼ全ての本がわずか70円というなんとも採算の取れそうもない価格でした。
一体いつから値段を変えてないんだろう…
私は1冊の本を手に取り、レジに向かいました。しかし、そこで店主は驚くべきことを言いました。「ありがとう、1冊サービスしますよ。選んでおいで」と。

この言葉に戸惑いながらも、私は感謝の意を表し、1冊の本を選びました。しかし、1冊の値段で2冊の本を手に入れることになることに申し訳なさを感じ、最初の1冊とは別に追加で購入することにしました。そこで再び店主が微笑みながら言いました。「ありがとう、もう1冊サービスしますよ」

4冊で140円。その4冊を持って店を出てすぐの現実世界だったという事を思い出しました。

店主は利益を求めているのでしょうか、それとも単に本を愛し、共有することを優先しているのでしょうか。古本屋は目に見えない心温まる秘密を抱えているようで私は再びその扉を開けて物語の世界に足を踏み入れたいと思ったのでした。

加えて、PayPayが使えるというのが不可思議さを助長してました。もう一度同じ場所に行ってもその古本屋さんは無いのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?