「新生活」2024年3月20日の日記

今、新居(といっても会社の寮だが)でこれを書いています。まだWi-Fiを契約していないので、私の数少ないギガを使って投稿したいと思います。


今日は家を出て本格的に引っ越す日だ。午前中は準備などをして過ごす。


家を出る時間になったので、下の階に住む祖母にも挨拶をする。祖母は凄く悲しんでいるようだった。私の家の近くに住む同じ歳の従兄弟も今年から遠くへ行ってしまうということで、祖母からしたら近くにいた孫が二人も離れてしまうのだ。祖母の目には涙が浮かんでいた。最近は祖母の死の気配を鋭敏に感じ取っていて、それを思うと自分が酷いことをしているような気もした。


母親が近くの駅まで車で送ってくれるというので、ありがたく甘えることにした。車で通る道はこれまで何回も通ってきた道だけれど、これからはここを通ることも少なくなるのだろうか。そう思って、でも別にそんなに離れてないしな、と感傷的になりそうだった自分が少し冷静になる。別にそんなに大したことではない。たかだか一時間半程度離れた場所に移動するだけだ。

車を出る時、また色々なことを考えてしまって、少しだけ泣きそうになってしまった。家を出ることとか、仕事が始まることとか、これまでの日常が変わっていくこととか、そういった全ての思いが一気に溢れだしそうになった。自分でも思っていないくらいに私は皆のことが好きで、この街のことが好きだったのだろう。少しだけ目を潤ませながら、ちゃんと色々なものを悲しむことができて良かった、と思った。


電車が遅れていたので、赴任時間に遅れそうになり、少しだけ急いだ。この辺りで生活することになるから、歩きながら街をチェックした。概ね色々ありそうで良かった。個人的には、カラオケとラーメン屋を発見できたので良きです。あとは漫画喫茶と図書館が近くにあれば完璧だ。多分これまで私が住んでいたところよりも栄えているので、近場で色々と揃いそうだ。


寮は古い建物ということもあって、それなりに年季が入っていた。常人ならキツいと思う部分もあるだろうが、その辺りの感覚でいうと私は常人ではない(無人島に一週間も行くような人間の感覚なんて壊れているに決まっている)ので、全然平気そうだ。寮は衣食住がちゃんと揃っているので、色々と自分で決めることも少なくて楽だ。

寮では寮館と寮母の二人が管理しているのだが、二人とも個性豊かだった。年配の陽気なおじいさんと50代くらいのこれも陽気なおばさんという組み合わせで、漫画のキャラクターみたいな二人だった。なんか楽しい生活になりそうだな。


今、窓を開けてベランダから外を見ている。外の空気は冷たい。すぐ下を自動車が走っていて、テールランプの光が次々に流れていく。まだ知らない街を、これから知っていくことになる。早くこの街を散歩したい。実家の周りはもう散歩しきってしまったから。明日から新しい日々が始まる。まだ終わりきる前に、始まろうとしている。

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