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「男性性って何ですか」2023年12月20日の日記

卒論の仮提出が今日だったので、夕方頃まではずっと唸りながら卒論を仕上げていた。なので、時間は一気に夕方まで飛ぶ。


グレイソン・ペリー『男らしさの終焉』を読んでいる。まだ半分くらいしか読めてないので、そこまでの感想。

ちなみに、きっかけはこのpostだ。ちょっと炎上っぽい形で広がっていて気になったので読んでみました。最初に言うと、このpostと本書を読んだ後だと持つ印象が多少変わってくるので、このpostを見て色々と思った人はちゃんと本書を読んだ方がいいです。私もまだこの話題が出てくるところまでしか読んでないけど…..。

私は男性性とは男性の振る舞い方のことだと思っている。大勢の人に女性的だと考えられている振る舞いを、男性もするようにしないといけない。つまり、思いやりがあり、人を幸せな気持ちにさせ、地球を救う振る舞いである。

p12

序盤からずっと「男性性」という言葉が用いられているのだが、そもそも「男性性」という言葉がもうあまりピンとこない。筆者は「男性性」をことごとく否定しているのだが、「男性性」という偏見が私の世代だとそこまで染み付いていない感じがある。
筆者自体が男性に対する偏見が強くて、結構読んでられない感じなのだが、そもそも著者が1960年生まれで私と世代間の差もあるし、国籍も違うから育った環境も全然違うだろうし.....と思って我慢して読み進める。

大抵の男性はいい人だし、道理をわきまえている。しかしである。乱暴な人間、レイピスト、犯罪者、殺人者、脱税者、汚職政治家、惑星荒らし、セックス中毒、ディナーで退屈な話をする輩は、男性ばかりだ。

p15

このあたりについても、話の進め方がかなり乱暴な気はする。データを見たわけではないから性別による犯罪率の差やセックス中毒の割合は分からないが、少なくとも「ディナーで退屈な話をする輩」についてはそれは流石に偏見では......と言いたくなる。

流石に許容できない部分もあって、この挿絵なんかは明らかに男性のことを馬鹿にしているし、「男性下げ」をしたいようにしか思えない部分も多々あった。ジェンダーを論じるならできる限り中立の立場であるべきだと思うが、この著者は女性寄り.....というか、「反男性」すぎるような気がする。

 イギリス人女性の四十五パーセントは、ドメスティックバイオレンスか、性的暴行か、ストーカーの被害にあっている。ドメスティックバイオレンスの被害者の七十パーセントは傷害を負っている(これに比べて、知人による暴力事件では五十パーセント、不審者によ る暴力事件では四十八パーセント、強盗では二十九パーセントの被害者が傷害を負ってい る)。被害者とケアサービスと国は、ドメスティックバイオレンスに対して一年間におよそ 二百三十億ポンドを費やしている。
 世界的に行われた複数の調査によると、殺人事件の女性被害者の半数は、当時あるいは昔の夫やパートナーに殺害されている。 ジェンダーはパフォーマンスかもしれないが、ごっこ遊びではない。多くの男性にとって、男性であること自体が重大事をもたらす振る舞いと結びついている。基本的には、男性性は、多数を占めるために必要であり、それを主張する最も古いやり方が力である。男性は本質的に暴力を振るうものらしい。しかし、肉体的に強くなることと、他人に害を加えるためにその強さを用いることは別である。男性は筋肉を増し、リスクを取れるように進化したかもしれないが、男性による危害のほとんどは、しつけのせいだと私は思う。男の子は怒りと暴力のみを表現しがちだ。幼児のかんしゃくは可愛いくて、「強い個性」のしるしである。小さな男の子が力を使ったとしても、その子はどこまでも「ただの男の子」なのである。男の子がいじめられていたら、父親はこう言うかもしれない。「立ち上がってやり返せ」。男性が激しく攻撃することはいまだに当然とされているが、相手に深刻なトラウマを与えかねない。 これら二つは関連がある。家庭内暴力を受けて育った男性は、そうでない男性に比べて、暴力的で虐待を行う人間になる確率が三倍から四倍高い。暴力は暴力を生むのである。

p107

いよいよ本題となる文章につながるところなので、多少長いが引用する。

「多くの男性にとって、男性であること自体が重大事をもたらす振る舞いと結びついている。基本的には、男性性は、多数を占めるために必要であり、それを主張する最も古いやり方が力である。男性は本質的に暴力を振るうものらしい」

ここはよく分からなかったので、賢い人教えてください。男性は本質的に暴力を振るうものらしいですって。へぇ、そうなんですか。

 もっと恐ろしい性の不均衡を挙げてみる。暴力犯罪の九十パーセントは男性によるものだ。
 この統計だけでも、政府はジェンダーを政策の中心に置いてもいいと思うが、そういう話は耳に入ってこない。イギリスの財務省では、毎年数百億ポンドもの予算を男性犯罪に充てている。女性納税者がこれに税金を払うのをやめたとしたらどうなるだろう。政府はいわゆる 「タンポン税」を廃止して、男性に暴力事件の損害を請求してもいいだろう。それで男性が経済的な打撃を受けたら、男性はジェンダーの問題をもっと真剣に考えるようになるかもしれない。

p108

おそらくここが話題になっていた部分だ。やっぱり読み手が多少飛躍させていた部分があるのと、省略している部分があるせいで反感を買いやすい感じになっている。

まず、暴力犯罪の9割が男性によるものであることは情報として必要だろう。そして、本書では「タンポン税」、いわゆる生理用品を女性が負担しているという事実についても言及されていたが、これは男性が普段あまり意識しないことだろうから説得力がある。そして、話の主軸は男性の税率負担を上げるべきであると提案よりも、もし男性全体に経済的負担を課したら、ジェンダーの問題がより社会問題として受け止められるのではないかという願望の方な気がする。
個人的には、「暴力犯罪の9割が男性だから税率を上げろ」という主張よりも、話は少しズレるが、「生理用品を女性が負担しているのはおかしいから男性も負担しろ」という主張が腑に落ちる(というかなぜそうなっていないのかが不思議なほどだ)。
暴力犯罪をする人間と自分が、「男性である」という共通点を持っているだけで税率が上がるのはそりゃ不満だろうし、むしろ性別による差別、断絶を深める原因になると私は思う。

あと、話題となっていたpostでは、筆者が男性であることも書かれていた(「男性なのに男性の税率を上げろ!という発言をしているのが凄い!」という書き方のように私には思えた)が、筆者自身がトランスヴェスタイト(異性の服装をする人)であり、自分の性についても疑ってきた人物であることや、男性を嫌悪している発言が何度も出てくることから、当初私が思っていたような、男性なのに男性全体の税率を上げろというのは凄い、というニュアンスではないことは書いておきたい。どうしてもそう読めてしまうので。


めちゃくちゃ長くなってしまった。久しぶりにこんなに力を入れて本の感想を書いたな。読む時間とか考えている時間とか合わせたら2時間くらいかけて書いたことになる。頑張りましたわね。


夜ご飯を食べ終え、姉にアイスを買ってきて欲しいと頼まれたのでスーパーへ行く。なぜか弟もついてきて、2人で喋りながら歩いた。ついでに私の分のアイスも買った。あと、ポケモンパンが半額になっていたので買った。ニンフェアのカードだったので嬉しい。ポケモンパンは私が小学生の時からあり、たびたび買ってはシールを集めている。何枚くらい持っているんだろう。家族全員の持っているシールを集めたら100枚はゆうに超えていると思うんだけど。


今日は書くのを凄く頑張ったので、色々な人に読んでほしいという思いがある。ちなみに、普段の日記は全然頑張って書いてないので読まれたくないという思いがあります。

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