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「広島の祖父母に会う」2023年6月23日の日記

今日は広島に住む祖父母の方に行った。
メンバーは祖父母の世話をよくしている母親と、暇な大学生である私と、暇な無職である兄だ。
祖母の定期検診的なやつで施設から大きめの病院へ行く必要があったらしく、手伝いもかねてついて行くことに。

途中で寄ったサービスエリアでソフトクリームを買う。作る人が下手くそだったようで、普通の1.5倍くらいの量を作ってくれた。
外に出ると一瞬で溶け始めたので、慌てて3人で食べた。


とりあえず祖父の住む家に行って必要な荷物を取って祖母のいる施設へ。

祖母は入院からそのままリハビリ施設へと移され、ここ数年はずっと施設で暮らしている。
コロナ禍に入ってからは面会も禁止され、しばらく会えない時期が続いた。
最近はようやく面会ができるようになったが、10分間という短い時間だけであるし、パーテーションで区切られたままだ。私の周りではもうすっかり聞かないようになったけれど、実際にコロナはまだ続いている。

監獄みたいだなと思う。何も悪いことをしていないのに、歳をとって老いたというだけで閉じられた空間での生活を余儀なくされる。全てを管理され、長生きさせようとしてくる。想像してみると、そこは地獄だった。

祖母はお菓子が好きだった。施設では限られた量しかお菓子が提供されない。
一度母親が祖母にお菓子を持っていったことがあるらしい。持っていったお菓子はすぐに職員に回収され、定期的に祖母に与えられた。しかし、施設で与えられるお菓子は微量で、一部は職員が食べてしまうらしかった。
でも、それも仕方がない。決められた量しか与えてはいけないのだろうし、食べないままずっと置いてあっても腐っていくだけだ。それなら職員に食べてもらった方がいい。

パーテーションで区切られているのも、面会時間が短いのも、お菓子を決められた量しか食べられないのも、全部仕方がないことで、仕方がないと頭では分かるからこそ、行き場のない怒りがある。誰かに向けられた怒りではない、当たり前に存在しているシステム自体への怒りだ。誰かが悪いとか、施設が悪いとか、国が悪いとか、そういう問題ではない。根本的に、「死」というシステム自体が間違っていると、どうしてもそう思ってしまう。

母親が祖母を迎えにいっている間、少し兄と散歩をすることにした。

倒壊on家(東海オンエア)


車に戻ると、祖母が車に乗っていた。
祖母の髪は真っ白になっており、おそらくもう白髪染めをしていないのだろう。前会った時に比べたらひどく痩せており、頬もこけているように見えた。実際に体重も減っているようで、34キロしかないと言っていた。私の半分くらいの体重しかない。私の4倍以上生きていながら、体重は私の半分しかないことが少し不思議に思えた。元々祖母はふくよかな方だったが、こうして余分なものは削られていくのだろうと思った。

電話で喋った時よりも祖母の言っていることを聞き取ることはできたものの、それでも何回も聞き返す必要があったし、単語だけを聞き取ってこちらで補完する必要もあった。モゴモゴと小さい声で喋る祖母を見ては涙が出そうになった。どうしてもまだ慣れない。母親はよく祖母に会っているからある程度慣れたのかもしれないが、どうしても私は弱ってしまう。

元々祖母は眼鏡屋にも行きたかったらしいが、施設の人に寄り道は駄目だと釘をさされたらしく、本来の目的であった病院だけに行くことになった。コロナの影響はまだ続いているらしい。仕方がないなと思う。やるせなさは加速する。

病院に到着し、検診を終えてまた施設へ。
会話もそこまで多くしたわけじゃないし、どこにも行けなかったし、せいぜいお菓子を一緒に食べたくらいでまた施設に帰っていく。輸送だ、と思った。まるで囚人みたいな扱いで、あまりにも酷いと思った。でも、どうすることもできない。やるせなさは加速する。


途中、母親がスーパーに行って皆のアイスを買ってきてくれた。
アイスの容器が柔らかく、祖母はうまく持てないようで、手がベトベトになっていた。焦って食べたせいか、息が荒くなり始めて少し心配したが、姿勢を正してやると徐々に落ち着いた。アイスを食べるだけで走った後のように息が切れていて、どうにも可哀想に思えてくる。しかし、祖母は久しぶりのアイスが美味しいと呑気に笑っていた。


施設に向かう途中に下ろしてもらい、海辺を散歩する。ここで祖母とはお別れだ。
数年前から、別れるたびにこれで最後かもしれないと強く思っている。この別れる瞬間がもしかしたら最後の会話になるかもしれない。そう思って、強く記憶するように意識している。けれど、日常を過ごしていると忙しさに飲み込まれてしまって、この前いつ会ったのかすら忘れてしまう。だからこそ記録しておく必要があると思う。

海辺を歩いていたら、葡萄のようなものが落ちていることに気付いた。なんだ?と思って石で触っていると、砂が付着した薄い膜のようなものが剥がれて、透明なものが現れた。
よく見ると、中に何か入っている。目のようなものが見え、どうやら何かの卵のようだと分かった。

調べてみると、おそらくこれはコウイカの卵で、干潟や砂浜で見つかるのは結構珍しいらしい。
毒もないことが分かったので、素手で軽く触れてみると、かなり弾力がある。グミのような感触だった。


祖母を送り届けた母親と合流し、スーパーで夜ご飯と朝ご飯を買ってから祖父の住む家へ。

祖父と一緒にスーパーで買った寿司や惣菜を食べた。
祖父もかなり弱っているようで、足のむくみがひどい様子だった。実際に見てみると、パンパンに腫れ上がっており痛そうだった。

いつもよりも早く晩ご飯を食べ終えて、夜はゆっくりとした。

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