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名著「だから英語は教育なんだ」をワークショップで紹介する

今年の目標の一つが、ワークショップをしてみたいでした。

自分の中では発表でもよいという位置づけでした。

自分が所属している教育コミュニティーの運営メンバーから、発表してもらえませんか?という依頼ありました。発表する日が4月の後半でしたので、ちょうど年度初めの忙しい時期でしたが、与えられた仕事は基本断ることをしない性分なのと、今年の目標達成のため、引き受けることに。

そして、その依頼内容が「だから英語は教育なんだ」という自分の中での名著についてお話をしてもらうというものでした。

2002年発行の書籍なので、もう20年以上も前に出版されたものですが、いまだに定期的に読み返す本です。

この本について、所属しているコミュニティで話題として取り上げると、「紹介してほしい」という依頼が来たわけです。



さて、依頼が来てから、もう一度読み返したり、自分の教育観にどういう影響を与えたか、自分の教え方がどう変わったかということについて再考しました。

1.BEFORE


初任のころの私の授業は、暗記・暗唱が中心でした。とにかく覚えることに重点が置かれており、ペアで日本語を言ったら、英語に直したり、英語を言ったら日本語に直したりという活動をしていました。自分でこれはまずいと思ったエピソードに、指導案を作成していて、活動のことを「訓練」と書いてしまい、自分ではっとしてしまったことがありました。言葉のやり取りの中に「自分の言いたいことを伝える」「相手の考えていることを知る」といった、気持ちや考えのやり取りなどはなかったわけです。

当然生徒の感想としては「将来英語を使うことはないので、やっていることが無意味だ」「暗記ばかりで楽しくない」といいうものが多くなります。

付焼刃的に楽しいゲーム要素の強い活動をしますが、その場では盛り上がるものの、そのゲームが終われば、また生徒の目は死んでいました。

2.「だから英語は教育なんだ」の中身


英語は日本にとって、「外国語」なので、特に使えなくても何の支障もないわけです。しかし、学校で行うのにはやはり意味があるわけです。「コミュニケーションの素地を養う」わけですが、コミュニケーションを行うことで、自己理解が進む、自己表現ができる、他者理解ができる、などができます。

人間の基本的欲求に、自分を表現したい、相手にわかってほしい、相手のことを知りたい、誰かとつながりたい、承認してほしいなどというものがあります。英語はその欲求を満たしてくれるわけです。

英語という教科を通して、「教師」も「生徒」もよい方向に変わっていくことができます。すなわち「だから英語は教育なんだ」となります。

3.AFTER


この本を読んだ後、次第に私の授業は次のように変わっていきます。

・教科書本文が持つメッセージについて考える授業
・あるテーマについて事実を調査し、それについて自分の考えを自分の言葉で語る授業
・自分のこと、自分の考えや思いを自分で語る授業
・生徒のOUTPUTをクラスメイトが読み、それに対して自分の感想を伝え合い、生徒と生徒がつながる授業

つまり、自己表現したいという欲求を満たし、自己発見を促し、新しい自分や友達の新しい一面に気付く授業に変わっていった。

生徒の感想は以下のようになりました。

・先生の授業を受けて思ったのは、やっぱり英語は最高だということです。文法は間違っているかもですが、自分の考えが相手に伝わったときは、こんなにうれしいことはないと思います。先生はその楽しさを改めて私に感じさせてくださいました。

・授業を通して、自分の思ったことを言葉にして話したり、書いたりする力を身に付けることができました。リテリングでは思ったことを英語にして話すことの楽しさを学ぶことができました。

・最近は英語の問題を解いているときに、心から楽しいと感じるようになりました。英文を読みながら、書いている人がどんな気持ちから書いているんだろうと、書いていないことも読み取ってる感じがします。

・英語はとても苦手であまり好きではありませんでした。ですが2年間先生に教えてもらい、英語がある日が楽しみになりました。後輩には勉強は苦しいものではない、楽しむものだということを、これからも思ってほしいと改めて思える授業でした。

・3年間ありがとうございました!将来は英語でたくさんの人と交渉したい!!

4.ワークショップで


英語という教科の目的が、「英語を使えるようになること」なのであれば、語学学校やAIアプリなどにはかなわないかもしれません。学校で英語を行う理由は、「英語を使えるようになること」以外にもなければならない、それが「コミュニケーションの素地を養うこと」だったんですねという感想ができてたのは、大変うれしかったです。

他にも、英語教師としてスタートしたばかりの方が参加して、この本に興味を持ってくれたり、いろいろな示唆をいただくことができたのは、私にとっても有益でした。

この機会を与えてくれたコミュニティの主催者・運営メンバーの方々には感謝です!やってよかった!



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