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【文楽】義経千本桜、三段目(平維盛の消息編)

2023年1月8日(日)、大阪の国立文楽劇場で、初春文楽公演を観ました。
まずは、第2部で『義経千本桜』の三段目です。

少しだけあらすじを書きます。
『義経千本桜』は、源平の戦いで功績のあった源義経が、兄・頼朝と仲が悪くなって都を落ちのびていく物語に、死んだはずの平氏の武将たちが生きていたとして加わってきます。吉野の山が舞台として多く登場することもありますが、様々な人たちの栄枯盛衰が描かれることから、咲いては散っていく千本(たくさん)の桜の木になぞらえて『義経千本桜』と言われます。
文楽で、時代物・三大名作の一つです。

さて、今回の三段目は、平維盛の消息編で、いがみ(心のゆがんだ)の権太が出て来ます。
以前、歌舞伎で観たことがある段で、今回は2回目ということもあり、少し視野を広く持って観ることが出来ました。

まず、私が気持ちを惹かれる登場人物を2人上げてみます。
1、主馬小金吾武里
小金吾は、平維盛の妻若葉の内侍と息子の六代君に使える武士です。孤軍奮闘の立ち廻りを見せますが、この立ち廻りが私は好きです。そして、(理由は伏せますが)最後に、権太の父すしや弥左衛門から首を切り落とされてしまいます。割に合わない役どころのように感じる部分もあるのですが、企みなどない正統派の家臣で、私は小金吾に感情移入してしまう部分があります。
2、お里
お里は、すしや弥左衛門の娘であり、いがみの権太の妹です。平維盛に恋をしながらも、若葉の内侍と六の君の登場で、身分違いの恋をしていたことを知り、泣き崩れます。しかし、気丈に維守達を逃したり、生命力を感じる役どころです。この段の話が終わった後も、元気にすしやを切り盛りしていったのではないか(切り盛りしていってほしい)と、思うのです。

次に、今回、新しく気づいた点や考えさせられた点を箇条書きで上げてみます。
・なれずし
・小金吾の前髪がある理由。後に、すしや弥左衛門と権太のやりとりに影響してきます。
・権太が改心していくステップ。弥助の正体を知る→小金吾の首を見る、など、ステップを踏んで変わっていったのではないかと思います。
・権太の女房小仙、倅善太の気持ち
・嫁と孫の顔をじっくり見ることが出来なかった弥左衛門とその女房の気持ち
・人格者であった平重盛とその息子である平維盛の人柄

歌舞伎と文楽で、形は違えど観るのが2回目だったこともあり、話を思い出しながら、余裕を持って鑑賞することが出来ました。理解を深めるという点で、同じ話を観ることの利点を感じさせられた時間でした。

以上です。

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