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素浄瑠璃の会(鑑賞)

2022年10月22日(土)、国立劇場に素浄瑠璃を観に行きました。
素浄瑠璃とは、物語を太夫・三味線の義太夫節のみで語る上演形式です。人形は出て来ません。なお、国立劇場で素浄瑠璃が行われるのは今回が最後ですが、私にとっては初めての鑑賞でした。

観て思ったのは、私は、まだまだ、太夫や三味線の良さを聞き分けられるほどのレベルではないということです。
私が好きなのが文学作品であることもあって、床本を見ながらストーリーを追う形になりました。
以下、少しだけネタバレを含みます。

■双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)、八幡里引窓(やわたのさとひきまど)の段
・二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作。
・関取の濡髪長五郎が主人公の話。
・歌舞伎や文楽で、「角力場」や今回の「引窓」が上演されることが多い。
・パンフレットにもありましたが、擬音語が効果的でした。
 「ぴつしやり」「ぐわらり」「ぐわらぐわら」

■冥途の飛脚、封印切の段
・近松門左衛門作。上中下三巻で構成。封印切の段は中巻。
・『冥途の飛脚』という題名が面白いですね。今年(2022年)の夏に宝塚で上演されていて、(観には行っていませんが)私も興味を持っていました。
・冷静さを失っていく忠兵衛と、引き止めるようとする八右衛門
・三百両の封を切ったあと使い込み、「邯鄲の夢の間の栄耀」に浸る忠兵衛
・切羽詰まりながらも、一時の栄耀に浸る儚さ(一種、一瞬の華やかさ)を感じました。

■近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)、堀川猿廻しの段
・作者不詳
・祇園の遊女おしゅんがと伝兵衛の旅立ち(逃避行)を、おしゅんの母と兄が見送ります。ここで兄が猿廻しを行うので、猿廻しの段と呼ばれます。
・「門出の祝ひにこの与次郎が、お初徳兵衛が祝言の寿ぎ、こなた衆も生き別れの盃。アゝイヤイヤ祝言の盃」
・「くるりと返って立つたりな。」
・めでたそうに見送ることが、より悲しさを深め、今後の苦しさが浮き上がるような感じがしました。

■最後に
・一人の太夫が、場面の説明や複数の登場人物を演じ分けたり、盛り上がりを見せたり、しますが、それぞれの太夫によって、得意な面が違うのかもしれないな、と今回何となく感じました。
・今回、人形がない素浄瑠璃であったこともあり、床本に集中出来たようにも思います。鉛筆で、気になったところに印をつけながら、登場人物の台詞を追いました。私以外にも、ペンを持っている人も複数いて、みんな台詞や場面描写を楽しんでいる様子でした。
・また、次回も参加してみたいです。

以上です。

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