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【民俗芸能】未来へつなぐ民俗芸能

 2023年6月17日(土)、国立劇場(小劇場)に『未来へつなぐ民俗芸能』を観に行きました。初代国立劇場さよなら公演の一環です。民俗芸能としては、最後の公演となるようでした。
 投稿が遅くなってしまいましたが、メモを残します。追記箇所あり。


■民俗芸能とは

 初めに民俗芸能の定義や範囲をおさえたいと思い、文化デジタルライブラリーのHPを見てみました。

地域の暮らしの中で行われる祭礼や行事において人々が演じる歌や舞、踊、演劇といった芸能、またその祭礼や行事そのものを民俗芸能といいます。
こうした芸能は、地域の人々が担い手となって、その地域の風土や信仰などを色濃く反映しながら、日本各地で受け継がれています。

文化デジタルライブラリーのHPより抜粋

 私は地方出身であるのですが、住宅街のようなところで育ったこともあり、地域の伝説ぐらいはありましたが、それほど昔からの「民俗芸能」には触れて来なかったように思います。人の流動性が高い今日において、こうした地域の伝説や行事などを意識し、保存していくことの難しさや大切さを感じます。(追記箇所)

 以下、各演目について、メモと感想を記載します。
 購入したパンフレットからの引用が多く恐縮です。あまり民俗芸能に詳しくない私は、パンフレットをPDF化しておいた方がよいのではないか、と思ったりしました。

■浦浜念仏剣舞けんばい

 「浦浜念仏剣舞」は、岩手県の沿岸南部、大船渡市三陸町浦浜地区に伝えられている念仏踊りです。
 死者を偲ぶ鎮魂の舞であり、今回、東日本大震災慰霊の位牌が設置されました。冒頭の古水力さんの解説によると、「南無阿弥陀仏」を唱えることが多いそうです。私は、念仏の部分は上手く聞き取れませんでした。

 ①踊り手、②胴踊り(太鼓・唄)、③笛吹きの三部門で構成されていました。①踊り手の総括者(リーダー)が「ささら」です。
 踊り手のうちの「ささら」と、胴踊り、笛吹きが僧侶の役、他の踊り手が亡魂を表すと記載されていました。また、源平合戦も被せられていているようで、「ささら」が弁慶の役、他の踊り手には平家一族の名が当てられるそうです。
 進行としては、香炉への焼香に始まり、静かな踊り、後半は、刀を持った激しい踊りへと続いていきます。ささらが「亡魂と遊び戯れながら成仏させ」ていきます。ささらに、他の踊り手(亡魂)が討たれていくような形で成仏していきます。

 (観ていた人の解釈によるのでしょうが、私としては)最後は、「ささら」の左右の人が「日の丸」の扇子を持っていたこともあり、目出度い感じや、丸く収まって良かったという感じが伝わってきました。
 ※ここの部分を迷いましたが、追記しました。

 なお、余談になりますが、私は今回の公演で、「反閇へんばい」という言葉を初めて知りました。短くいうと、修験道の悪気邪気を踏み破り清める呪法だそうです。相撲の四股も反閇の一つの例のようですが、古い歴史があるようです。

■チャッキラコ

 「チャッキラコ」は、毎年1月15日の小正月に神奈川県三浦市三崎の花暮・仲崎地区で行われている女性だけの行事です。五穀豊穣・家内安全・商売繁盛などの願いを込めて踊ります。平成21年9月に、ユネスコの「無形文化遺産代表一覧」にされたとありました。

 役割は、①踊り手と②音頭取りに分かれていました。踊り手は、4・5歳から12歳までの少女たちで、②音頭取りは、祖母世代・母親世代の女性たちが担います。
 冒頭に、各曲の見どころの解説がありました。①踊り手たちは、晴れ着姿で、扇を手に持って踊ります。扇は1本だったり、2本だったりで、花に見立てたりするのでしょうか、華やかでした。「チャッキラコ」とはなんだろうと思っていたのですが、曲の一つでもあり、手に持つ綾竹の小道具でもありました。

 私が一番印象に残ったのは、②音頭取りです。楽器などが無いぶん、静かな中で唄が響き、唄をじっくりと聴くことが出来ました。

■芸北神楽(八岐大蛇)

 最後は、広島県安芸高田あきたかた市の「芸北神楽」『八岐大蛇』でした。
 こちらも他の2つの演目同様に、冒頭に解説がありました。松田祐生さんの解説によると、①スピード感、②豪華絢爛な衣裳、③ストーリー構成が3つの見どころとのことでした。
 個々の点に少し補足を入れます。
 ①「八調子(8ビート)」との解説があり、想像より早い囃子でした。
 ②「一着200万円するものもあり」とあり、会場から笑いがこぼれていたのですが、舞台が始まると確かに豪華な衣裳で、ほんとに一着いくら位するのかな、と思いました。
 ③明治維新、第二次世界大戦での敗戦を経て、戦後の「新舞」が中心のようです。「神事」から「民衆の娯楽・芸能としての一面」が強まってきたような解説がありました。

 以下では、舞台が始まってからのメモ・感想を二点残します。
 一点目は、須佐之男命の台詞回しが印象に残りました。滔々とした語り口で、どこかで聞いた語り方のような気がするのですが、いまだに記憶から出て来ません。「能」や「歌舞伎」の要素が入っているのは、なんとなく分かりました。
 二点目は、ここが最大の見せ場と言えるでしょうが、八岐大蛇です。パンフレットには8人の方の名前がありました。1体の大蛇は約18メートル(!)あり、それぞれの蛇胴を1人の舞手が操ります。長い蛇胴が伸びたり、とぐろを巻いたり、絡まないよう、引きずらないように1人で操るのは至難の業のように思いました。更に後半は、8匹の大蛇が重なり合ったり、絡みあったり、様々な「型」を繰り返します。1体でも大変そうなのに、8体が合わせて動くのは、すごかったです。
 開催は小劇場の方でしたが、舞台をはみ出さんばかりでした。舞台後、会場から「すごい迫力だったね。」とたくさんの声が漏れていました。見どころが多くある神楽だったと思います。

■最後に

 初代国立劇場では最後の民俗芸能の公演ということでしたが、すごく良かったと思います。記事にするのが1ヶ月ほど遅れたのですが、感動醒めやらぬ内に記載いしておくべきだな、と改めて思いました。

 本日は以上です。

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