『ミステリと言う勿れ』を読んだ日曜日

日曜日はもっぱら近所のショッピングモールに出かけるというのが我が家のルーティンです。昨日はふだんあまり行かない本売り場に足を運んだら、マンガ大賞の受賞作がディスプレイされていました。そこで改めて気づいたわけです。大賞の『彼方のアストラ』はもちろん、3位の『ブルーピリオド』も僕は持っているのですが、2位の『ミステリと言う勿れ』だけ持っていないどころか読んですらいないなと。

「よいエンタメは〜」なんて最近口にしたからには…、ということでその場でKindleで買っちゃいました。(ヨドバシさんごめん)

まだ4巻までなのでサクッと買ってサクッと読みましたが、これもおもしろいですねえ。ジャンルはミステリーということですが、特徴的なのはおもしろさの座組が「事件がなくても」成立するところです。

話すのを聞いていたくなる人

起こる事件や真相なんかに関してはわりと荒唐無稽っぽさがある気がしました。ただまあ、そのあたりは些末なことだなとも思っていて、減点ポイントではないです。逆にそこがよければ加点できるのになあ、とも思ったり。

横道に逸れました。

この漫画、キャラクターの語りがおもしろいんですよね。何か聞かれると、「ちょっといいですか」「こういう話がありまして」と聞いてもいないウンチクのような、持論のようなものを語り始めるのです。それが他の登場人物に影響を与えたりして事件が解決に導かれるというのがこの漫画のルーティンです。このなかの語り自体に魅力があるわけです。ある登場人物なんかは主人公の「語り」にハマって、のちの話で個人的に相談に乗ってもらったりもしています。

でも、現実世界にもこういう人いませんか? なんか、話をしているのを聞きたくなる人。僕がお会いした人のなかではヤフーで人事のトップをやられている本間さん(ヤフー株式会社 執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長 本間浩輔氏)ですね。

とあるセミナーに、本間さんもアドバイザーみたいな立ち位置で参加されていて、合間に話されていたのです。僕はそのとき本間さんを認識していなくて、なんだか話好きのおじさんだなくらいで聞いていたのですが、気づくとその人の話に聞き入っていました。話題も興味深いし、例えもおもしろくて説得力もある。引き込まれる話し方をする人っているんだなあと感心しました。(その後、話を聞きたすぎてうちの会社で講演をしてもらいました)

再び逸れた話を戻します。『ミステリと言う勿れ』の主人公、久能 整(くのう ととのう)も完全にこのタイプなんです。

容疑者として取り調べを受ける立場の久能が、いつの間にかこの「語り」で刑事たちの興味を引いてしまうのです。もう一度言いますが、事件の手口や解決方法などは正直あまり「お!」と思うことはありませんでした。ですが、彼の「語り」は一見の価値ありかなと。

あと、個人的には作者の田村由美さんといえば『BASARA』のイメージだったので、作家としての幅広さにも驚きました。勝手ながら少女漫画家さんって作風狭そうなイメージだったので。

今日は「土日にあったこと」にかこつけたレビューでした。ではまた。

某IT企業の編集部所属のふたりで運用中のアカウント。「なにか書きたい」ということで毎日更新しております。