【20分で書く掌編小説】第6回「GO TO! 頻尿旅行」
毎朝、ゴミを出しに行くまでの20分で書く掌編。
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「いやー、コロナはなかなか消えませんな」
「本当にねえ、大変ですなあ、世の中は」
前のほうの席で男が二人、話をしている。
のんびりした口調で、本当に大変に思っているのかわからない。
バスの中にいるのは男性老人客だけ。口調も動作も、おのずとのんびりしている。
「コロナの前に、伊豆を旅行したのですが、私以外は若い女の子ばかりのツアーで。しかもバス移動が多くて、つらかったですよ」
一人の老人が話しはじめると、後ろの