【20分で書く掌編小説】第4回「女役員」
毎朝、ゴミを出しに行くまでの20分で書く掌編。
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校正室でいつものように向かい合って仕事をしていると、大木が夏目に話しかけた。
「なあ、どうして山形が役員になれたんだろうなあ」
「また、その話か」
夏目は苦笑する。
大木と夏目は中堅出版社に同期で入った。編集の同期入社は4人だったが、1人は早々に大手出版に引き抜かれ、1人は家庭の都合で退職し、残った大木と夏目が代わる代わる編集部門の部長になった。しかし、二人とも役員に上がれず、役職定年を迎えた。
そのとき役員に