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布団

  眠るときの体勢は難しい。数多の選択肢から適切な体勢を選ばなければならない。仰臥位(あおむけ),伏臥位(うつ伏せ),側臥位(横向き)から寝方を選べる。側臥位の場合には右向きか左向きか,好きな方を選ぶ。仰臥位は鼻が通って息をしやすい気もするが,伏臥位は落ち着く。側臥位も良いが右にすべきか左にすべきかが悩むところだ。

  さらに手の位置,足の位置にも気を遣う。手は曲げるか,伸ばすか。曲げるか伸ばすかは1と0ではない。曲げると伸ばすの間に無限の角度が広がっている。曲げるのも肩,肘,手首,指,と関節ごとに決める。複数の無限がそこにある。しかも手は2つもあるかもしれない。さらに可能性は無限に広がっていく。

  もっとも問題なのが足の位置である。足は揃えるべきか,交差すべきか。足首のあたりで交差すると,寝入る時には足にかかる重みが心地よいが,寝ている間に下に置かれた足が窮屈になる。せっかく寝ているのに窮屈になるのは良くない。4の形をとるのも落ち着く。しかしやはり足が交差してしまうと下に置かれた足は不満を溜める。適度に交代してやらなければならない。

  そうやって寝方を模索するうちに布団が温まる。布団のぬるさにまた落ち着かなくなる。こうして夜は更けていく。

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