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【評価・感想】名作ステルスゲーム復活...?『Thief(2014)/シーフ』レビュー

『Thief』は、2014年に発売されたステルスゲームです。シリーズの三作目にあたる『Thief Deadly Shadows』以降、新作が途絶えていましたが、10年後の2014年に、「リブート」という形でシリーズが復活しました。

ストーリー:主人公は、貴重な品々を頂戴して報酬を得るプロの盗賊。そんな彼は弟子をサポートするために、ある仕事に加わる。この街の秘密を巡る、巨大な陰謀に巻き込まれていく。

(発売当時としては)モダンなステルスゲーム

良いステルスゲームです。前作『Thief Deadly Shadows』から10年経っているので、操作やゲームシステムなどは別物になっており、全体的にカジュアルなステルスゲームです。具体的には、一部のアクションが半自動化されているので、スピード感あるステルスプレイが可能で、丁寧すぎる誘導のおかげで、次に取るべき行動がすぐに分かります。ステルスゲーム的な取っ付きにくさが、ある程度解消されており、非常に遊びやすくなっています。

もちろん、今作も「暗闇」は安全地帯です。接近しすぎない限り、暗闇にいれば敵に発見されないため、隠れること自体は簡単な方です。また、主人公愛用の棍棒である「ブラックジャック」も再登場しており、今作でも敵を背後から一撃で気絶させることができます。

肝心のミッションは、いちステルスゲームとして見れば良く出来ている方です。各ミッションのエリアは小規模ですが、ルートは複数あり、ユニークなギミックが隠されていることもあります。個々のエリアはそう広くないので、じっくり探索する余地はほとんどありませんが、限られた範囲を注意深く観察すれば、隠しルートや攻略のヒントなどが発見できるゲームになっています。
「ガスを充満させて、エリア内の敵を気絶させる」というように、取る選択によってプレイ内容が大きく変化することもあり、狭い中にも広がりがあるゲームです。

「暗闇を武器にステルスプレイする」「一本道だが、少し広がりがあるエリア」という意味では、「スプリンターセル」に近いゲームになっています。

一方で、「Thief」としては、特徴的な要素が姿を消しています。「Thief」と言えば、広大なエリアが用意されており、「どのように攻めていくか?」と考えて遊ばせるゲームでしたが、今回は一つ一つのエリアがかなり小さいため、「目の前の敵をどうするか?」に終始するゲームになっており、スケールダウンした感が否めません。
これまでは、屋敷への侵入であれば、屋敷全体で一つのマップでしたが、今回はフロアごとにぶつ切りにされているようなイメージです。他にも、多機能なアロー(弓)や細かなアクションも、実行できる場面が決まってしまっており、こちら側で工夫して遊ぶことが考慮されていません。

モダンなステルスゲームの要素はしっかり押さえたゲームなので、良いステルスゲームではあるのですが、良いThiefではない、と言ったところです。

少し話は逸れますが、遊ぶ場合はHUDをオフにして遊んだ方が良いです。デフォルトの場合、進行ルートやアイテムなどがハイライトされる「フォーカス」が使えるのですが、これがオンだと”見えすぎ”で、遊ばされている感が強いです。
また、ロックピックの補助もオフにした方が良いです。ロックピック中に失敗すると異音が鳴って敵が警戒するのですが、補助がオンだとそれがほとんど起きないので、意味のない要素になっています。補助をオフにして遊ぶと、ロックピックにも緊張感が生まれて、いつもの作業感が薄れます。

ハブ型オープンワールド

若干オープンワールド要素を含んだゲームでもあります。ミッションの合間には「シティ」と呼ばれる街を自由に探索できる時間が用意されており、ここでアイテムを補充したり、サイドミッションを遊んだりします。
「シティ」は他の区画とロード画面で繋がるハブ的な構造で、かつ各区画も小規模なので、「オープンワールド」と言えるほどではありませんが、”ある程度”探索できる余地が確保された空間です。過去作で言えば『Thief Deadly Shadows』と同じです。

ただ、この「シティ」、各区画が小規模にもかかわらず、お店や民家への出入りで、毎回ロード画面(もしくは裏でロードするための時間稼ぎ)を挟むため、探索すればするほど、そのテンポの悪さが目に付くところがあります。
大きな建物に侵入する場合は仕方ないとしても、小さな部屋(ベッドと少し歩き回れる空間のみ)に入るときはシームレスであって欲しかったなと思います。

総評

ステルスゲームの良作。「Thief」として見ると不満がないわけではないですが、一つのステルスゲームとして見れば、大きな不満なく最後まで遊べる内容にまとまっており、「ステルスゲーム好きであれば、遊んで損はない」と言える一作になっています。

「で、本来のThiefはどんなゲーム?」と気になる場合は、ぜひ『Dishonored』を遊んでみてください。『Dishonored』は「Thief」シリーズの後継作と言える作品になっており、カジュアルにThiefっぽさを味わうことができる一作です。ゲームの作りが似ていること以外にも、『Dishonored』内で「Thief」への言及があったり、「Thief」で主人公を演じた俳優が『Dishonored 2』で主人公を演じたりなど、ファンサ的な要素もあります。

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