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【評価・感想】『フォールアウト ニューベガス』の「追加ストーリー」レビュー

Fallout New Vegas』向けに4本の追加ストーリーが配信されています。

それぞれ3~5時間ほど遊べる内容になり、本編のストーリーを拡張したり、全く新しい世界を冒険したりなど、見所の多い追加ストーリーになっています。


Dead Money

『Dead Money』は、「シエラ・マドレ・カジノ」と呼ばれるカジノを舞台にした追加ストーリーです。

あるラジオ放送に引き寄せられるように、謎多きカジノへとやってきた運び屋は、ある人物の罠に掛かり、命と引き換えにカジノ強盗に協力させられます。

一連の追加ストーリーの中で、もっとも賛否が分かれていると言っても良い『Dead Money』は、色々な意味で、遊ぶ人を選ぶ内容です。

ジャンル的には、本編のようなオープンワールドRPGではなく、サバイバルホラーと若干のステルス要素をミックスさせたものに近いです。

開始時点でアイテムはすべて没収され、ゴーストピープルと呼ばれる強力な敵が徘徊するエリアを、手探り状態で遊んでいきます。

アイテム自体は意識して探索すれば、ある程度集まるのですが、ゴーストピープルが厄介で、俊敏な動きと重い一撃、正確すぎる投擲武器で、ジリジリと追い詰めて来ます。主人公のスキルやPerk次第では非常に苦戦する相手です。

また、ゴーストピープルとは別に、そのまま撃って倒すことができないホログラムの敵も出現し、そうした場面ではステルスプレイが求められます。

地形を利用して敵を倒したり、スルーしたりしながら物資をかき集めて自分を強化し、クエストを進めていくという作りになっていて、制約の多い中での遊びに終始します。

個性的なキャラクターや意味のある選択など、ストーリー面では本編の追加ストーリーに相応しいものになっているのですが、プレイ部分は、かなり独特です。

遊ぶ場合は、ステルス風味のサバイバルホラーゲームを遊ぶくらいの気持ちでいた方が良いくらい、本編とは色々と勝手が違います。

個人的には、ステルスプレイもサバイバルホラーも好きなジャンルなので、楽しめた方ではありますが、そうしたジャンルに苦手意識がある場合は、遊ぶ前に注意しておきたいです。

ただ、楽しめた方の自分からしても、エリア中に存在するトラップや首輪型の爆弾は、プレイのモチベを削ぐ要素でした。

主人公の首には、首輪型の爆弾が括り付けられているのですが、いくつかの通路ではラジオをオフにしたり、無線機を破壊したりしないと、それが爆発してゲームオーバーになってしまいます。

ラジオや無線機は、分かりにくいところに、複数あったりするので、探している間に爆死することが何度かありました。

また、エリアには様々なトラップが仕掛けられているため、ラジオや無線機を探しているときに引っ掛かることもあり、なかなかイライラさせられました。

ストーリーやキャラクターは面白いのですが、ゲームとしては諸々の制約をそういうものだと許容できる人向けかなと思います。

Honest Hearts

『Honest Hearts』は、新マップ、ザイオンを舞台にした追加ストーリーです。

険しい渓谷と入り組んだ地形が特徴のザイオンで、主人公である運び屋は、ある条件と引き換えに、部族同士の紛争に深く関与することになります。

今回は、本編のショート版です。

オープンワールドの舞台としてザイオンがあり、各地のロケーションを巡り、サイドクエストも遊びながらストーリーを進めていくという内容です。

マップは広すぎず狭すぎず、クエストもそれなりにあり、本編の要素をコンパクトにまとめていて、それと同じ感覚で遊ぶことができます。

ストーリーの方では、バーンドマンと呼ばれる謎の人物の存在と、部族の運命を決める重い選択が見所になっています。

Old World Blues

『Old World Blues』は、ビッグエンプティと呼ばれる新マップを舞台にした追加ストーリーです。

メカ科学者たちによって脳を摘出されてしまった運び屋は、その脳を取り返すべく、その場所を支配するもう一人のメカ科学者に戦いを挑みます。

『Honest Hearts』と同じく、今回も本編のショート版ですが、ストーリーとキャラクターが非常にユニークで、『フォールアウト ニューベガス』における『Mothership Zeta』枠とも言える内容が他と差別化する点です。

どこか人間性に欠けるロボ科学者との議論や、自分の脳との対話など、ストーリーを語る方法が面白く、これまでのドロドロとした策略に疲れた運び屋にとっては、一服の清涼剤となる内容と言えます。

ロボサソリとの戦いが多く、最後の方はダレてしまっていた以外は、概ね満足できる追加ストーリーでした。

Lonesome Road

『Lonesome Road』は、もう一人の運び屋との対決を描く追加ストーリーです。

かつては街として栄えるも、その後の核爆発によってすべてが消え去ったザ・ディバイドは、今なおその傷跡が深く残る終末世界です。運び屋は、獰猛なミュータントや危険な敵が支配するこの地を歩き、その果で待ち構えるもう一人の運び屋との因縁にケリを付けます。

今回は、ストーリー重視の作りが特徴です。

少しだけ探索できる余地は残されていますが、基本的にルートは直線的で、敵の出現も、ある程度ゲーム側でコントロールされているなど、一本道なゲームに近い内容です。

一本道なゲームとしては、ロケーションが多彩で、見せ場もそれなりにあるなど、ちゃんとそれ用に作られていて印象が良いです。

また、今回は最後の追加ストーリーということで、敵の火力が増しており、レベル上限に達していても手こずる場面もあり、なかなか遊びごたえがあるのも良い点でした。

ストーリー面では、写し鏡とも言えるもう一人の運び屋を通して、第三者的に自らの行動とその結果を見ていくというストーリーの切り口が面白く、その結末は、「ニューベガス」の締めに相応しいものになっていると言えます。

ただし、運び屋の過去に触れる内容ゆえに、ゲーム側に背景を追加される形となるため、ロールプレイ的には手放しに歓迎できないところもあり、そこは意見が分かれるところです。一応、それを拒否する選択肢もありますが、ストーリーの流れ的に「自分(運び屋)がしたことなのだろう」と思ってしまいました。

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