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大学生はスナックに行け!【スナック入門】

 ガラジマくんのような人生経験でもない限り、普通に育ってきた大学生諸君が大人たちと飲む機会はそう多くはないだろう。バイト先の飲食店で飲み会がある?君が就職したいのはそんなところなのか?フリーターに毛が生えたような大人になりきれない大人の話なんぞ何の価値もない。そもそもが職場の飲み会は、プライベートとは言えないのだ。
 そこで諸君らにオススメしたいのがスナック・バー、通称スナックである。ママや女の子たちがカウンター越しに接客する飲酒店のことだ。当たり外れはあるものの、キャバクラと比べてはるかに他の客と交流する機会が多い。できれば、ママや従業員があまり若すぎないほうが望ましい。若い女の子目的で来ているだけのエロ客は、他の客とあまりコミュニケーションを取りたがらないことが多いからだ。
 筆者は2021年2月現在で34歳の男性だが、10代半ばくらいから頻繁にスナックに出入りするようになった。当然のことながら初見はそこそこ緊張する。(あまり緊張しないたちの私ですら)
 さて、とあるスナックに初見で入店する自分をイメージしてほしい。常連がすでに何人か座っているだろう。ドアが開くやいなや、数人の視線が自分へと注がれる。「こんばんは」などと軽く挨拶しつつ、席に座り飲み物を注文する。どんな人が居るかなんてわからない。やたらと話しかけてくるパタン、新参者をスルーして常連同士で話し続けるパタン、どんな状況でも対応できるコミュ力が要求されるのだ。
 空気を読むか、または、空気を作るのだ。順応し、自らが居心地良いと思える空間に変えていく。もっとも、どれだけ通っても雰囲気の悪い店も当然ある。慣れてくると一度行けば「NG店」とわかるようになるが、初めは二、三度通ってから判断してもいいだろう。とにかく、第一歩を踏み出してほしい。
 上手く馴染めるようになると、大人たちの色々な情報を聞き出せるようになる。客たちの職業は様々だ。お堅い仕事から、フリーターまで、実にバラエティ豊かなのである。酒の場なので、普通に生活していたらなかなか聞けないような裏情報に出くわすこともあって面白い。特に大学生にとっては大変刺激的で勉強になる内容も多いと思う。
 察しの良い若者であれば、ここまでの話で「何故スナックに行くべきか」理解できたのではないだろうか。就職活動、そして就職した後の社会人としての立ち振る舞い、いずれにおいても非常に役に立つ情報で溢れ返っているのがスナックなのである。スナックには人事部で働いている大人も来る。ともに酒を飲み交わすなかで気づくだろう。「この人たちは別にすごーく偉い人ってわけじゃないんだな」と。そりゃそうだ。みんなサラリーマンを「演じている」に過ぎないのだから。面接官も面接官を演じているだけ。緊張する要素などどこにもないのだ。また、初見から馴染んでいくまでの段階、その経験は、まさに入社後に活かされることになる。年上、目上の人たちとどう付き合っていけばいいのか、入社時点ですでに同期とは比べものにならぬほどに理解していることだろう。
 諸君らにとって、ゼミ(研究室)やサークルと飲み明かすことは学生時代にしか味わえない喜びだとは思う。ただ、一人でスナックに飲みに行く時間を週に一度だけでもいいので作ってもらいたい。価値のない就活本や就活セミナーに何千円、何万円と使うくらいなら、スナックの飲み代の方がよほど有意義である。場合によっては、スナックでの人脈が活きることすらある。百利あって二害くらいしかないのだ。(飲み屋なので二害くらいはあるかも)

 「スナックに行ってみようかな!」という気になってくれた若者のために、スナック攻略法を伝授しよう。手始めに私のオススメドリンクを紹介する。ずばり、焼酎のコーヒー割り。これが美味い。焼酎、コーヒー、水を、1:1:1で割る。ただの水割りよりも焼酎臭さがなく、コーヒーがあまり得意でない人でもいけるという最強のドリンクである。
 慣れてきたらボトルキープをしてみよう。「ボトル入れてください」と言えばいい。ママや女の子がどれ入れますか?と訊いてきてくれるから気軽に言ってみよう。ちなみに、私は、焼酎か麦焼酎をボトルキープすることが多い。ボトルキープをすることで常連感も出るし、価格を安く抑えられるからオススメだ。
 なお、酔って失敗した経験のある人は特に大人な飲み方をするよう心掛けてほしい。若年層が集うようなスナックでもない限り、一気飲みのような文化はまずない。(常連同士でのおふざけ程度では時々あるかも知れないが)また、ママや女の子を執拗に口説くのも嫌われる行為だからNGだ。これらの行為は、店が許してくれても常連客たちは許してはくれないだろう。
 カラオケがある店では、人前で楽しく歌う技術が身に付けられる。年上の人たちが多いので、古い曲を知るきっかけにもなり、社会人となった後に大いに役立つことだろう。

 さて、どうだっただろうか。ここまで読んだ諸君らは、すでにスナックに片足を踏み入れている。勇気を出してあと一歩、進んでみては?

扉の向こうは、明るい未来へと続いている。
スナックマスター ガランサス






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