見出し画像

【ビジネス/軍事】『戦略』と『戦術』

(全2,000文字)
ビジネスでよく耳にする『○○戦略』といった言葉がありますが、世の中に溢れ返っているそれらの殆どは、実は単なる『戦術論』の羅列だったりします。今日は結構な頻度で混同されがちな『戦略』と『戦術』という言葉の意味や違いについて、少し書いて見ようと思います。

まずは一般的な言葉の定義から。

1.戦略とは

カンタンに言うと、戦略とはマクロな視点での考え方や大きな指針のこと。通常、『戦略』という言葉は、国・政府レベルの大きな話になります。ビジネスでは、会社や企業などが中長期的な視野に基づいて策定する方向性や計画のことを差すのが一般的です。

軍事的には?:個々の会戦で用いられる用兵術を『戦術』と言うのに対して、国家レベルでの方針や指針のことを『戦略』と言ってきました。尚、軍事ドクトリンに対するアプローチについて、西側各国と旧ソ連では評価や分析のプロセスが根本的に異なることから、戦争学における『戦略』と『戦術』の位置づけは旧東西各陣営で大きく異なります。(旧ソ連側の方が研究が大きく進んでいたとされます)

2.戦術

ミクロな視点での現場で積み重なる組織的な行動。ビジネスでは具体的な問題解決策やタスクとも言えます。もともとは、軍隊で部隊や兵士を実際に配置して運用する用兵術のことを言ってきました。現代では戦略を実現するための手段として戦術は欠かせないものであり、とても深い関係があったのですが…。

テクノロジーの進歩によって戦場の環境が大きく変化し、一回の戦闘だけでは戦略目標の達成がだんだん困難になってきます。

米国はベトナムでそれを経験します。各戦場では敵に勝ってるのに、なぜか『最終的に戦争に勝利する』と言う戦略目標に繋げられなかったのです。

そこで、旧ソ連で生まれ、WW2の対ドイツ戦でソ連を勝利に導いた【作戦術】が脚光を浴びることになります。
作戦術を徹底的に分析して導入したことによって、後の湾岸戦争勝利にも大きな影響を与えたとも言われています。

3.作戦術

1920年代に旧ソビエトにおいて誕生した(当時としては)新しい戦争理論の概念です。それ以前の米・英・仏では、作戦上の成果は、各会戦(=各戦場における戦術の結果)の総和として考えられていましたが、ソ連は1918~1920年の間、WW1における外部からの干渉と国内で発生した紛争の異なる性質をもつ軍事作戦を同時に連続して行った経験から、『連続する軍事作戦の重要性』について認識することになり、そこから作戦術が生まれることになります。

作戦術とは、『戦略と戦術の中間的概念』とされ、米国では、作戦(オペレーション)は戦術との境界線が曖昧なことから、それらをひっくるめて戦術と呼ばれることが多かったようです。近年この作戦術の評価が変化しつつあるようです。

ビジネスでは作戦術にあたる概念や用語が使われているのはあまり見たことかありませんし、今のところあまり浸透してないようですね。

上が決めたことを深く考えずに現場は黙々とやっておけばいい、現場の言ってる事なんて上の人間から言わせたら小さなことだから聞かなくていい、とにかく頑張ればなんとなかる…昔はこんな感じだったかなと思うのですが、経済や市場の環境は大きく変化していますから、これでは『脳』と『身体』がちぐはぐで、バラバラになってしまい、上手く行くはずはありません。

4.なぜ戦術論が氾濫するのか

現場で目に見える問題は解決策や対処策が思い付きやすく、近年のネット環境やSNSなどのツールの発達とも相まって情報発信が簡単だからです。

ただし、戦術的な論考は、目の前のことに個別具体的に対応はできても、大局的な方針・指針や計画性の無い、言わば『対処療法』であることが多いため、息切れもしやすく総合的な成果の獲得に結び付かない場合が多い。
(最悪は事業の失敗、巨額な損失、倒産など…)

遠くを見通す『鳥の眼』と、近くを見る『虫の眼』の両方があって、はじめて、無数にある問題点の中から優先的かつ早急に解決すべきものが明確になります。それこそが戦略的視点で導きだされた企業や会社などの主要事業などに繋がるもととなる『問題認識』になるのではないかと考えます。

5.まとめ

『ナントカ戦略!』とても聞こえは良いのですが、実はソレって単なる『○○戦術』だったりもするので、シーンに応じて正しい用語をきちんと使い分けることでチームビルディングにも正しい方向性が付けられるのではないかな?と思うところであります。

大きな視点と小さな視点にはそれぞれに重要な役割があり、それらを繋げる中間概念が存在するという事も、役立つ知識かとも思います。

戦略=大きな目、未来志向

戦術=戦略が掲げる目標に到達するために欠かせない実行力

作戦術=戦略と戦術をつなげる中間概念(原文は非常に難しいです…)

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

出典


よろしければサポート頂けると嬉しいです。頂いたサポートはクリエイター活動費として使わせて頂きます。