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【声優課題の振り返り】コッペくん1話の動画にアフレコ@コルクラボマンガ専科

パフォーマーは一回の表現が全て!つくった作品で全てを語れ!が心情ではありますが、#コルクマンガ専科 の受講中は2020年5月の自分が、どういう思考で作品に取り組んでいたのかを、なるべく残していこうと思います。

キャラクター作り

声質や人柄(動物柄?)が被らない形で、自分の中で3キャラを配役していきます。お芝居は声を作ってするものではなく心をつかって、キャラクター同士のドラマや関係性を描くもの、という前提はありますが、とはいっても一人3役なので演じる前に↓のような事を考えました。

コッペくん

"くん"とつくという事はきっと男の子ですよね。この設定をどう活かすか考えました。

男の子ではあるけど、あまり"男の子っぽさ"に、こだわり(冒険心などを少年性に紐付ける考えもありますが)は感じなかったのでキャラクターとして可愛いか、一生懸命であるかであるかを重視して、いわゆる少年声では作り込まず、どちらとも取れる子供の声質にしました。

子供の声は、映画「ファインディング・ニモ」の吹き替えの声が可愛すぎて、何とかしてそれを大人の骨格で出す事は出来ないか一時期、研究した時に近い音です。声優、そういう一人遊びやりがち…!

あとはコッペくんの身体が大きさをどこまで声質に反映するか。コッペくんは身体に幅があるのでリアリティを追求するならもう少し太い声にした方が良いと思います。ただ「冒険記を書く」というひとつのゴールが設定されている事から、もしかしたらコッペくんはこの物語を通して成長すると考えたんです。

そうすると今後、物語の中で成長して、すこしどっしりとした存在感を出す可能性があり、その際の成長曲線に傾斜をつけたいなと考え、一旦、最初はふわふわとした軽めな所でつくりました。

ただコッペくんにはちょっぴり抜けて?いるけど、どこか本質を見抜く賢さもあるのかな?と思ったので、ふわふわとした中にもフォーカススピードのようなものを残しています。

ネズミくん

コッペくんの連載媒体はLINEマンガということで、大人の読者も多いという予想と、ネズミくんは顔はんぶんで全くみせる印象が異なるという事は何らかの二面性がある&耳が欠けていたので何か過去がある…?と予想して、ちょっぴりシニカル&リアリストに作りました。ここは作家さん・演出家さんによって考えが分かれる所だと思います。

本番の収録などでは、もう少し小動物としての可愛さ&エンタメとしての明るさを求められる可能性があるので、そちらの振り幅や引き出しも準備していくと思います。

コッペくんのお父さん

1番悩みました。私たち声優は、声を作る事が果たして、芝居なのか問題にぶちあたります。迷走が若干声にものっています。女性の私が低い声で作り込む事は出来ますが、普段と違う音にし過ぎてお父さんの繊細な気持ちをちゃんと伝えられるのかと。

職業人=冒険者としてのお父さんだけを表現するであれば、飄々とした浮世離れした存在でも良いと思うのですが、個人=パパとしてのお父さんはきっと、コッペくんのことが大好きで、ほんとは一緒にいたいと思っているはずです。

なので、キャラクタービジュアルから受けた印象から少しとぼけた雰囲気は出しつつ、声は自分も気持ちをのせられるギリギリのピッチを狙っていきました。

お父さんをもっと解像度高く、安定して体現するためには、低い音を使う筋肉をもっと鍛えて、身体をつくる必要がありそうです。

シーン毎の表現

自分の中で自分を配役したら収録スタートです。判断に迷ったところを幾つか。

●ネズミくんのシニカル度具合

絵柄や作品全体のトンマナを考えるとかなりシニカルに作りすぎている可能性があります。ここは自分も悩んで、1.スタンダードに子供っぽく聴く、2.呆れながら言う、3.かなり深刻に言う、の3パターン収録しました。

他のキャストさんがそんなにシニカルにはやってこないだろうなと思い、作品の可能性を探る上でシニカル路線もいってみようと2と3で悩み、最終的にエンタメ作品としてのラインは残しておこうと間をとって2を採用しました。

●お父さんの「じゃ」アドリブ

動画の1:40で漫画の本編になかった台詞で「じゃ」というお父さんのアドリブを入れています。このアドリブを入れるかは悩みました。

必要な言葉は作中にすべて書いてある、ムダなものなどひとつもないという考え方もあるからです。

ただ今回は漫画を動画化した作品のため、視聴者側のペースでみる事が出来ず、それを考えると台詞のないシーンは間延びする可能性があるため、お客さまの集中力を切らさない音があった方が親切かな?と思い、提案ベースのアドリブで「じゃ」を入れています。

●ラストの「つづく」

連作の場合、次回予告などは遊べるポイントなので読んでみました。毎話、キャラクターや言い方が変わっても面白いですし、キャストさんが多い作品になれば、誰がどんな風に読むのか…?といった楽しみ方も出てくると思います。

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普段はこういった細かいことを収録前に準備をして、スタジオでみんなですり合わせて作っていきます。

声を出すだけなら勿論一人でも出来るのですが
作家さんの意図をちゃんと汲めているか
作家さんの作品を届けたい人の気持ちも叶えられているか
お客様に喜んで頂けるものになっているか
は、やっぱり皆で話し合っていきたいな、と思いました!まる!

他の方の作品をみて

●声優ライター・ゆぴさんのお芝居
コルクラボマンガ専科の方ではないのですがお見かけしたので…

魅力的な生き生きとしたキャラクターを誰かに届けるのに、こんなに一生懸命&パッションでキャラクターを掴み、全力で演じること以上に尊いことってある……?

●佐瀬 恭代さんの作品

舞台俳優さんのお芝居を拝見させて頂くと、声を変えよう!というのは声優側のエゴではないか…?と。素直に描かれた言葉や絵を掬い上げて、芝居で勝負する事の大事さをすごく感じます。

●こっとんさんの作品

こっとんさんは声優枠の受講生の中で、誰よりも早く課題に取り組み、投稿してらっしゃいました。1番成長する方って、早く動いて数をこなして試行錯誤出来る方だと思うんです。そういう真摯さを見習いたいな、と改めて思いました。

心と身体と技術のバランス

物凄く自分は「技術」過多というか、すぐ頭でっかちになると感じる事が多いので、他の方から頂いた刺激を大事にしながらお芝居に必要な「心」と「身体」に対して改めて向き合っています。

「技術」も素晴らしいものなんですよ。現場でもそうだし、ディレクションの仕事では、この思考の技術に何度も助けられました。

どんどん深堀りしたら、きっと自分が愛する技術にも良い跳ね返りがあると思うので…!前のめりで取り組んでみます( ´   ` *)

【課題マンガ】コッペくん@やじまけんじ先生

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