信念を持って行動すれば道は拓ける
10年ちょっと前、高校生活3年間を野球に捧げた。
小学3年生で始めた野球にはちょっとだけ自信があった。強豪校では無理でも、そこそこの高校ならすぐ試合出れるんじゃないか…?それくらいの淡い自信。
神奈川県のとある公立高校。公立高校の中では強い方だったとはいえ、激戦区神奈川で甲子園なんて夢のまた夢、口に出すことも憚れるほどだった。
それでも、3年間捧げた。野球が好きだったから。
入学直後は本当に辛かった。
練習メニューが基礎体力作りであることに異論はなかったが、雑務を全てやらされるのがたまらなく嫌だった。
一番嫌いだったのは、ボールの仕分けだ。キャッチボール用、ブルペン用、マシン打撃用、内野ノック用、外野ノック用などなど、ボールの傷つき具合や縫い目のほつれを見極めて仕分けなければならない。さっぱり分からなかった。もちろん間違えると口汚く罵られる。
朝練前後のグランド整備、昼休みに部室の掃除とグランド整備、放課後の練習前後ももちろん整備。昼休みがつぶれるので、弁当は常に授業中に食べるしかなかった。
理不尽なルールもたくさんあった。
先輩が乗っている通学バスに乗ってはいけない。自分が乗っているバスに先輩が途中乗車してきたら降りなければいけない。
校内で先輩に会ったら腰を90度に曲げて大声で挨拶をしなければいけない。階段の上から挨拶してはいけない。自分の後ろから先輩が上ってきたら下りて行って挨拶をしなければいけない。入部直後は顔も覚えられないので坊主頭を見かけたら手あたり次第に挨拶した。相手が野球部ではなく苦笑いされたことも何度もあった。
たった1,2年生まれたのが早いだけで、なんでこんなに偉そうにされなきゃいけないのか、納得いかなかった。僕は野球をやりに来ているんだ。あんた達にへこへこお辞儀をするためじゃない。
だから、実力で黙らせることにしたんだ。
5月の中旬、ちょうど今頃の時期、1,2年生主体のチームでやる練習試合が予定されていた。試合の前日、野球部監督である先生に直談判しに行った。
僕「試合に出たいです。チャンスをください」
監「そんなことを言いに来た奴は初めてだよ笑」
次の日、ダブルヘッダーの2試合目。9番セカンドで滑り込ませてもらった。中学まではショートとピッチャー。試合でセカンドを守るのは初めての経験だった。
とにかくがむしゃらにバットを振った。4打数3安打。守備も無難にこなし、アピールすることができたのだろう。
3年生がいる日でも徐々に練習試合に出してもらえるようになった。練習メニューも基礎体力作りから抜け出し、先輩に混じって同じメニューをこなすように。
それに比例するかのように、先輩たちからの嫌がらせも増した。挨拶しても無視される、練習中は故意に接触プレーをされる。
あろうことか一部の同級生にも無視され始めた。一歩抜け出した僕が気に入らなかったのだろう。
それがどうした と思った。僕は行動して結果を出したんだ。君たちはそれをしなかっただけだろう、と。
絶対に負けたくなかった。とにかく試合に出たかった。先輩とか後輩とかグランドで関係ないことを全部取っ払って、ただ野球をしたかった。
嫌がらせがエスカレートしても、初めてできた彼女に「部活ばっかでメールすら返してくれないじゃない!」と1か月で振られても、めげなかった。
そして初めての夏の大会、背番号4を貰った。1年生ながらスタメンに選ばれたんだ。ここまで来たら先輩たちも僕を認めざるを得なかった。
同級生たちも手の平を返し僕を称賛した。人間って汚いなと思った。
それから3年間、レギュラーを守り続けた。最後の夏は背番号6を付けた。
最上級生になったとき、くだらない部内のルールを全部撤廃してやった。坊主にするのもやめた。モテたかったし、髪を無くしたって野球上手くならないもん。関係ないものはすべて排除して、シンプルに野球に打ち込める環境を作りたかったし、後輩たちにはそれを引き継いでほしかった。
僕の部活の思い出は、あまりキラキラしていない。
野球は大好きだったけど、野球部は大嫌いだった。
チームスポーツをやる身としては間違っていたのかもしれない。
でも、自分の信念を貫いた3年間だった。学年とか嫉妬とか、関係ない物を大好きな野球の中に持ち込まれたくなかった。
スポーツは結果がすべての世界だ。過程も大事だという人がいるのも重々承知の上だが、僕はそんなの綺麗事だと思う。毎日素振りを10万回したとしても、試合でヒットが打てなければレギュラーにはなれないのだ。
信念を持って生きるということは、僕が人生で大切にしていることの一つだ。間違いなく高校3年間の経験で身に着いたものだろう。
信念を持って、それを曲げないのは、自分自身を大事にすることに繋がる。
なんでもかんでも我慢して生きる必要なんてないんだ。
おかしいと思うことは変えていけばいい。いくらでも自分の手で道を切り拓いてやればいい。
理不尽なことをただ嘆くのではなく、変える術を探っていけばいいのだ。
そうやってこれからも生きていく。
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