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「月島ってさ、除霊師なんだってさ」 視線の先には、月島奈々子がいた。休み時間だというのに、窓際の席で独り憂鬱そうに外を眺めている。彼女の一家は有名な霊媒師らしい。それがいつの間にか除霊ができる女子高生として、クラスに広まっていた。スラっとした長い黒髪に切れ長で冷たい眼をしている彼女は、噂と相まって神秘的に見えた。 今年の夏休みは、肝試し大会をやることになっている。僕がオカルト好きだとバレてしまったが最後、肝試し大会の場所探しを押し付けられていた。 僕は月島の方へ向