上達への階#9
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読みの話
よく「プロ棋士は何手先くらい読むんですか?」なんて質問を見かけます。
プロ棋士でもない自分が答えるのもなんですが、読みやすい局面・読みにくい局面があって、読みやすい局面では数十手先、読みにくい局面では数手先読んでいるでしょう。
しかし数手先を読むとしても、1パターンだけ読むわけではなく複数の分岐を読むことになるので、手の数だけで言えば数百手分読んでいると思います。
アマチュア初段の目安
ではアマ初段ならどれくらい読めばいいだろうか。
持ち時間にも寄るので一概には言えませんが、将棋俱楽部24なら30秒の秒読みで、中盤なら3手×3パターンの9手、終盤なら5手×2パターンの10手程度、将棋ウォーズなら10分切れ負けでは毎回30秒も使えないので、急所の局面で30秒使って3~7手読んで指し進め、読んでない手を指されたらまた時間を使って読めれば十分でしょう。
将棋中継を見ていたり、棋譜並べなどで時間をある程度掛けられるのであれば、10手×5パターンの50手程度読めるようになりたいところです。
読みのトレーニングには詰将棋
読みのトレーニングには詰将棋が最適です。
詰将棋は盤面の端で作られることが多く読みやすいですし、玉を詰ますという目標が明確なので実戦よりはるかに深く読むことができます。
実戦で3手なら読めるけれど5手は大変という場合には、5手・7手の詰将棋を解いていくのがいいでしょう。
詰将棋のいろいろな解き方を以前記事にしましたが、読みのトレーニングを意識して解く際は脳内で解くことをおすすめします。
(↓はハンドブックシリーズに限らず適用できるので)
読むだけではダメ
先を読む、ということは将棋を指す上でとても大切なことの一つではありますが、読むだけでは勝てるようにはなりません。読むだけで勝てるのは終局まですべての手を読むことができる存在だけです(それを将棋界では神と呼びますね)。
神ではない人々はどうするかというと、形勢判断をするわけです。
例えば5手先を読めたとしても、その局面で自分が不利になるようでは読む価値がありません。かといって自分が有利になると言っても相手が悪手を指すように読んでいても意味がありません。
将棋において"読み"とは、相手が最善の手を指してきたとして、読んだ先の局面で形勢判断をするということなのです。
詰将棋がトレーニングにいいのは、形勢判断は不要ですし、相手の応対も王手を避けるための手で限定されるため手を読むことに集中できるからです。
最後に
将棋において、先を読むことはとても大切なことではありますが、読むことよりも読んだ先を正しく判断できているかのほうが遥かに大切です。
プロ棋士も消費している持ち時間の大半は形勢判断に使っているという話もあります。
読みと形勢判断は車の両輪のようなものと思って、どちらかに特化するのではなくどちらもより正確にできるように勉強できるといいと思います。
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