金から、銀、鉛、そして錫と、私たちの頭脳は、一日のうちに変化します。鉛の頭脳では、「金の仕事」はできないと、理屈ではわかっても、切り替えることができない私たちではないでしょうか。コロナ禍のクリスマスの前だからこそ、ご紹介したい羽仁もと子の言葉です。
新型コロナウイス感染予防のため、経済活動にも大きな影響が出て、2021年「自殺対策白書」によれば、2020年全国の自殺者数が11年ぶりに増加(男性は微減だったが、女性は前年より15.4%増え、7026人に)。コロナの影響は行動の自粛だったという方もいれば、親しい方をコロナで失った方や、後遺症に苦しんでいる方もいるのではないでしょうか。「死や悲しみが襲って来た時には、すべてを忘れて金にもまさる純な涙を流しましょう」そして「心からの悲しみを訴えましょう」と、羽仁もと子は語っています。
クリスマスをまもなく迎えるにあたり、ぜひこの羽仁もと子のことばを心に留めておきたいですね。
羽仁もと子とは、どんな人?
1873年、青森県八戸生まれ。1897年、報知新聞社に校正係として入社。その後、日本初の女性記者として、洞察力と情感にあるれる記事を書く。同じ新聞社で、新進気鋭の記者だった吉一と結婚。1903年4月3日、2人は「婦人之友」の前身、「家庭之友」を創刊。創刊号の発売前日には長女が誕生し、自分たちの家庭が直面する疑問や課題を誌面に取り上げ、読者に呼びかけ響き合っていった。1930年に読者の集まり「全国友の会」が誕生した。最晩年まで婦人之友巻頭に友への手紙を書きつづけ、そのほとんどが著作集全21巻に収録されている。
婦人之友では、2021年1月号より、森まゆみ氏による「羽仁もと子とその時代」を連載中です。