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家事整理と時間03「仕事の後始末」

 元祖スーパー主婦・山﨑美津江さんは、著書『帰りたくなる家』で、「私の人生を導いてくれた」本として、「羽仁もと子著作集第9巻 家事家計篇」を紹介しています。
 また、著書の中で、「終わりの時間、決めていますか?」と、「終わりが時間通りにいかないと、次の予定も時間通りに始められません」と書いています。山﨑さんの「私の人生を導いてくれた」羽仁もと子は、時間について、どのような言葉を書き残しているでしょうか?

時間のくぎりを大切に思うこと
 食事などをさだめの時間までに、必ず用意しなくてはならないことはもちろん、昼の支度にかかる時間、お茶の用意にかかる時、夕方の掃除、料理にかかる時間、朝のかたづけ、昼のかたづけ、晩のかたづけをすます時間なども、必ず正しくまもらなくてはならない。昼の支度に立つときがきても、いま少しだからと思っては縫い物をやめなかったり、洗たく物を干すのに、ひまをとったりして、五分おくれ十分おくれすることは何よりも禁物です。その五分十分のちがいから、家庭の時間は総くずれになってしまうからです。時間のくぎりくぎりということを、皆よくはっきりと頭にいれてほしいと思います。

仕事の後始末
 仕事のくぎりくぎりをきちんとするほかに、いま一つ大事なことは、仕事の後始末をはっきりときまりよくすることです。
 たとえば朝起きて顔を洗う。顔を洗うという一つの仕事をはじめたら、使ったあとの歯ブラシも石けん箱も金だらいも、十分きれいにして、置くべきところに正しく置くこと、手拭いをかけるのでもよくひろげて正しくかけること。そうして次の仕事にうつらなければなりません。
 ご飯の後片付けをするにしても、まず食堂から食器類を台所にはこび、食卓をよくふいて、食堂が完全にきれいになったところで、台所に出してある洗い物にかかるように。料理をするにしても、材料を切って鍋にいれたら、俎板や包丁を始末して次の仕事にうつるようにすれば、台所は料理をしている間でもきれいであるし、後片付けも早くすみます。
 お客さまを送りだしたら、すぐと座敷に出したものを片付けて、お客についての用意に、きっぱりとくぎりをつけて、それから次の仕事にかかるのです。
 仕事のくぎりのことは、ことによくよく頭に入れて、日々それぞれの場合にあたって、十分に実行しなければならないことです。
 ちゃんと掃除のできた部屋で、誰かが新聞を見る。そうして片付けずにいってしまう。子供がおもちゃを以て遊ぶ。また片付けずに庭に出てしまう。そういうことで、せっかく部屋を掃除してもきれいなのはそのときだけで、すぐに乱れてしまうのです。そうしてまた次の掃除のときに非常にときがかかるのです。ついすべてのものをそれぞれの置き場所まで持っていかずに、床の間などにあれもこれもと重ねておくと、さがしものを多くするもとになります。顔を洗った手拭いがだらしなくかかっていたり、金だらいの水がこぼさずにあったりするのは、不潔な家です。

羽仁もと子著作集 第9巻『家事家計篇』第5章 家事整理と時間 六  家人の日課 から

 上記に引用した『羽仁もと子著作集 第9巻家事家計篇』には、「置き場所の決まった家」という章もあります。あわせて読んでいただくと、「仕事の後始末」についても、より理解しやすいでしょう。
 山﨑美津江さんも、「人の居場所が心地よいものになるためには、物の置き場所を決めることが大切であると、確信するようになりました」と書いています。収納の基本的な考え方は、「置き場所」をつくることであり、「小さな物ほど指定席」がモットーだそうです。


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