2020年2月に、新型コロナウイルス感染拡大で、スーパーなど「トイレットペーパー・ティッシュペーパー完売」になったことがありました。今使っているものがなくなった時のことを考えて、安心のために「買い置き」することは多いようです。
羽仁もと子著作集 第9巻『家事家計篇』には、「買いものについて」という章があり、大正から昭和初期にかけて羽仁もと子が「買いものの心得」について記しています。シリーズでお送りしている「羽仁もと子のことば-買いものについて」3回目は、「買い置きの利益」をご紹介します。次回は最終回!「買い置きの不利益」です。
電気冷蔵庫のなかった時代、食品の「買い置き」といっても「まとめ買い」は難しかったことと思います。現在、話題となる「食品ロス」を減らしたいという思いは、ここでも見られますね。
羽仁もと子とは、どんな人?
1873年、青森県八戸生まれ。1897年、報知新聞社に校正係として入社。その後、日本初の女性記者として、洞察力と情感にあるれる記事を書く。同じ新聞社で、新進気鋭の記者だった吉一と結婚。1903年4月3日、2人は「婦人之友」の前身、「家庭之友」を創刊。創刊号の発売前日には長女が誕生し、自分たちの家庭が直面する疑問や課題を誌面に取り上げ、読者に呼びかけ響き合っていった。1930年に読者の集まり「全国友の会」が誕生した。最晩年まで婦人之友巻頭に友への手紙を書きつづけ、そのほとんどが著作集全21巻に収録されている。