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使ったお金を費目分けすると、何がわかってくるのですか?

 家計簿の中で支出における「費目分け」は、家庭の経済を管理・把握するために切っても切れないものです。一般的な家計簿だと、「食費」「日用品」「交通費」「交際費」「固定費」「特別費」など、大きく分けて3〜6項目程度でつける家計簿が多いようです(これら費目も分類については大雑把だったり曖昧だったりします)。また、家計簿記帳を続ける観点でも、費目はあまり多くしないようにと推奨する専門家もいます。
 婦人之友社の『羽仁もと子案家計簿』は、14の項目を軸とした費目になっています。一般的な費目に比べると数が多いですが、買ったものが必ずどこかに収まるので「この買い物は、どの費目にするの?」と迷うことが減ります。さらに、お金の使い過ぎにも気づくことができ、使い方の傾向を知ることもできます。

婦人之友社の家計簿の費目一覧
・副食物費(「食費」の1つ。野菜、肉、魚、果物等の食材、お菓子、お惣菜など)
・主食費(「食費」の1つ。米、パン、麺類、外食、給食代など)
・調味料費(「食費」の1つ。基本の調味料、ジュース、酒、嗜好品など)
・光熱費(電気、ガス、灯油、カセットボンベ、電池など)
・住居・家具費(家賃や住宅ローン、家電、電話代、水道料金、台所用品、掃除道具など)
・衣服費(衣類、靴、寝具、洗濯用品、クリーニング代など)
・交際費(通信、慶弔、友人知人・兄弟へのプレゼントなど)
・教育費(授業料、保育料、クラブ活動費、子どもの習い事、学用品、通学交通費、こづかいなど)
・教養費(新聞、雑誌、本、大人の習い事、テレビの受信料など)
・娯楽費(旅行費、遊びの費用など)
・保健・衛生費(医療費、衛生消耗品、化粧品、散髪代、メガネなど)
・職業費(職業上にかかる費用、定期代、大人のこづかいなど)
・特別費(自家の冠婚葬祭、直系親族にかかる費用、掛け捨て保険、帰省代、家庭事務費など)
・公共費(募金、献金、寄付など)
*これら以外に、自動車費など必要な費目は任意で追加します。

『羽仁もと子案家計簿』をつけ始めた方の感想から、面倒にも思える費目分けをがんばることで何が見えてきたかをご紹介しましょう!

やりくりできている実感のなかったAさんの場合

 以前のダブルインカムの生活から、出産を期に夫ひとり分の収入で暮らしていくことになったAさん(30代)。節約しなければ、と
①必要なものだけを買う
②安いモノを選ぶ
③家族で遠出はしない
④人と会わない!!
を心がけることに。使ったお金はきちんと記録しているものの、上手にやりくりできている実感はなく、窮屈に感じるようになってきたそうです。
 そこで、お金と真剣に向き合おうと思った時に出合ったのが『羽仁もと子案家計簿』でした。1カ月つけてみると、新たな気づきがありました。

1カ月でもつけてわかったことは・・・

 1カ月だけでも漏らさず記帳してみると「何のためにいくら使っているのかが見えてきました」とAさん。一番に目についたのは、お菓子代8000円。ひとつひとつは少額なので自覚していませんでしたが、スーパーに行くと必ず何か買っていました。100円ショップの雑貨も意外と大きな支出に。主食費では、気分転換にと外食やテイクアウトが多くなっていました。それまではお金の使い方が「ぼんやり」としかわかっていなかったと気づいたそうです。

 Aさんは、その後も家計簿をつけていますが、当初の問題は「収入内に支出を収めること」だったそうです。続けるうちに「食費は確保したい」「今年はお弁当を毎日つくる」「化粧品のランクを下げよう」など、譲れること、譲れないことが明確になりました。また、「家賃や返済金が生活費の30%以上になると、家計全体が苦しくなる」と家計簿の先輩から聞き、夫婦で話し合いました。補う分は、月8万を目標にパートへ出ることにしたそうです。

出納帳では満足できなかったBさんの場合

 結婚して、かわいらしい表紙絵に惹かれて家計簿を購入したBさん。つけはじめて、食費、光熱費はもちろんのこと、親戚やご近所付き合いなど生活消耗品の出費が多いことにびっくり! しかし、このかわいい家計簿は出納帳に近い形式で、個別の値段やひと月の支出合計金額はわかっても、いったいどういう目的で、いくら使っているのかが実感できませんでした。
「家計全体を把握できる」家計簿とは? と、探る日々。自分でもパソコンの表計算ソフトを使って、支出したお金を分類してみたりしましたが、結婚して3年目に家計簿の並んだ書店で『羽仁もと子案家計簿』と出合いました。「費目に分かれたページ」を見て、「私が求めていたのはこれ!」と思ったそうです。

 『羽仁もと子案家計簿』の特徴のひとつが、お金をつかう目的ごとに、費目に分けて管理すること。例えば、同じ石けんや洗剤でも、洗濯に使うなら衣服費に、台所・掃除用なら、住居・家具費に。洗顔や入浴用なら保健衛生費で記帳します。食費が3つ(副食物、主食、調味料)に分かれているので、外食やお惣菜への支出が多くないか、野菜はきちんと摂れているかが見えてきます。

 Bさんは、あいまいだった分類(費目分け)がきっちりできたことがうれしく、納得しながら記帳。お金の使い方のどこを改善すればいいのか、家計簿が示してくれるようでした。調理器具や家電を衝動買いしたり、セールに誘われてなんとなく衣服を買ってしまったり、4月にはお弁当用品や細々とした調理用品を買いすぎて、住居・家具費がふくらんでいるなど、ありのままに記帳していくことで把握できるようになりました。
 振り返って見たときに、本当に必要な買い物だったか、思いつきで買ってしまったのか、その都度検討すれば、お金の使い方の引き締めと翌年の予算立ての参考にもつながっています。

まとめ:家計の気づきが生活の姿勢も変える

 使った金額を「書いたまま」では1カ月の支出額はわかっても、適切な支出であったかどうかを判断できないまま使いすぎになりがちです。費目に分けて記帳していると、何のためにいくらお金を使ったかがはっきり見え、必要な支出とムダな出費がわかってきます。また、予算を立てて、その金額内で差し引く「引き算」の家計簿は、今使えるお金がハッキリわかるだけでなく、生活の仕方を変えるきっかけにもなります。

 例えば、Aさんのお菓子代のように、1回の金額は小さくても積み重なると、まとまった金額になることがあります。外食やテイクアウトの回数が多かったとか、ペットボトル飲料を思った以上に買っていたとか、スナック菓子を買い込みすぎていたとか……。その気づきは支出額を見直すにとどまらず、生活の姿勢を変えることとなるでしょう。
 外出時にマイボトルを持参したり、テイクアウトが減ることで包装材や容器としてのプラスチックの消費が減り、環境問題に関心を持つきっかけにもなります。
 Bさんは、主食費が膨らんでいることから、休日に外食をすることが多いことがわかりました。そのため、休日の外出から戻った際に手早く夕食を整えられるよう工夫するようになったそうです。外食が減った分、不足しがちな果物をとれるようにもなったと喜んでいました。
 また、夫婦で、家族で、家計簿を元にわが家の家計を考える時間をもち、それぞれの生活の中で気をつけることをイメージできるようになります。これも目的別の費目を持った家計簿ならではと言えるでしょう。


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