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「特別費」には何をつけるのですか?

 一般には、「特別費」とは「毎月あるわけではないけど、年間を通して想定する特別なイベントなどの支出」としている家計簿もあるようです。   
 一方、『羽仁もと子案家計簿』では、年に一度の特別なイベントであっても、家族旅行は娯楽費に、冠婚葬祭に関する交際費用は交際費にと、記帳します。

 では、『羽仁もと子案家計簿』の「特別費」には、どのような支出をつけるのでしょうか? 特別費は、日常的な費用には入らないさまざまなことを幅広く含む費目で、下記の4項目に分類できます。

『羽仁もと子案家計簿』の特別費の中は??

直系親族への送金と贈り物
 直系への送金と贈り物、帰省費、お年玉、誕生日・クリスマス・入学・卒業・出産・結婚祝い、教育費・生活費の援助、親の介護費用など

*直系の親族とは、祖父母、親、子ども、孫、ひ孫と、それぞれの配偶者を含む家族です。きょうだいや、前記に含まれない親族への費用は交際費となります。

かけすて保険
生命保険、医療保険、損害保険、交通傷害保険など

家庭事務費
家計簿、カレンダー、印鑑、文房具、カード年会費、証明書交付料、貸金庫など

そのほか
自家の冠婚葬祭(七五三費用や家族記念写真なども含む)、先祖のための費用、墓地購入・管理、財産管理費、引っ越し、不明金など

特別費の占める割合は、高年になるほど高く

 近年、金銭的な援助の必要な若い家庭が増え、親世帯からの支援も増えています。『婦人之友』の読者の集まりである「全国友の会」の家計報告(2020年)では、20代~50代前半までは、純生活費に占める割合は5~6%ですが、50代後半で10%を超え、60代~70代では14%台、80代以上で16%になっています。家計報告をもとに、東京第一友の会高年家計グループが2010年にまとめた調査でも、65歳以上の年代では、特別費は純生活費の約16%を占めていました。特別費の内訳の、約45%が「直系家族への送金と贈り物」でした。

 お年玉や種々のお祝い金、家庭事務費、かけすての保険などは比較的予算が立ちやすいものですが、病気や事故、失職などが起きたときの援助、葬儀などは不測のこと。そのため、往々にして予算外の出費があるのが「特別費」です。

「長女の結婚を境に特別費は大きく変化しました」とは、Oさん(70代)。それまで(50代まで)は、純生活費に占める割合は3~5%だったのが、初孫誕生から孫たちにかかる嬉しい支出が増えた一方、親の逝去、長女の病気などのために悲しい支出も。孫たちのお祝いにはルールを作り、贈る際には手書きのメッセージを添えるなどしているそうです。

生き方があらわれる特別費

 特別費は予算の立てにくい費目である反面、親族への費用など、自分の裁量によって支出額を決めることができるともいえます。普段からの家計簿記帳によって、「わが家の家計」の大枠をつかんでおけば、いざというときも、その対応が、その人、その家族の生き方となっていくでしょう。

(『明日の友』189号「家族とつながる特別費」より一部引用。『明日の友』では毎年10月発売の秋号で、年金生活者の家計特集を掲載しています。2021年10月発売予定の『明日の友』254号では「年金生活を豊かにするお金の使い方 普段の家計・大きな支出」を特集します)



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